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第11話 止まれない村
砂塵を越え、
ノアはまた歩いていた。
見渡す限り、
誰も休むことを許されない村。
朝も夜もない。
光も影も、絶えず流れていく。
小さな手が麦を刈り、
大きな背が土を運び、
痩せた指が織り機を叩く。
止まった者は、
そこにいなかった。
何もない空間だけが、ぽっかりと開いていた。
ノアは、
黙って歩いた。
砂に埋もれかけた風車の羽根を、
そっと直す。
一瞬、
どこかで、小さな音が止まった。
ひとりの子どもが、
ふと、手を止めた。
誰も気づかない。
空気が、
ほんのわずかだけ緩んだ。
ノアは振り返らず、
村を後にした。
ただ、
かすかに、風の音だけが、変わっていた。




