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第10話 沈黙の果てに

村へ足を踏み入れても、

音はなかった。


風の音すら、吸い込まれるように消えていた。


子どもたちは遊んでいた。

けれど、笑い声はなかった。


市場では、

物々交換が交わされていた。

けれど、呼びかける声も、値段を告げる声もなかった。


すべてが、

沈黙の中で営まれていた。


「……」


ノアは、歩く。


右手のキューブが、

かすかに震えた。


村の中央に、

大きな広場があった。


その中心、

朽ちた井戸。


井戸の縁に、

古びた笛が置かれていた。


ノアは、

それを手に取った。


口に運ぶことはしない。


ただ、

笛を、軽く傾けた。


カラリ。


乾いた音が、地面に転がった。


次の瞬間。


広場に、

かすかなざわめきが生まれた。


誰かが、

小さく息を呑む音が聞こえた。


ノアは、

何も言わず、歩き去った。


背後で、

微かな歌声が、風に乗った。

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