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二階堂合戦記  作者: 犬河兼任
第十四章 踊る関ヶ原の戦い(上)
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1600-9 小山

<1600年 9月1日>


 慶長五年七月二十四日、下野国の小山宿。


 奥州街道を北へと埋め尽くした軍勢の総数は十四万。

 見渡す限りの野州平野を、無数の陣幕と馬印、そして鋭利な槍の穂先の群れが埋め尽くしていた。


 自領と境を接する地勢を活かし、いち早く宇都宮方面へと押し出して先陣を張る結城秀康の二万。

 街道の中核を占め、本軍として堂々たる威容を誇る徳川秀忠の軍勢三万。

 後備えとして街道の後背をがっしりと押さえ、睨みを利かせる徳川家康の旗本三万。

 そして、先陣と本軍の間隙を埋めるように展開する福島正則、黒田長政、細川忠興、浅野幸長ら、豊臣恩顧の武将たちが率いる六万の軍勢である。


 小山城を見晴らす小高い丘の上に、徳川家康の本営が置かれていた。

 陣幕が張り巡らされたその中央には、徳川譜代の重臣たちがずらりと並んで床几に腰を下ろしている。

 その列の端、本多正純ら監視の視線が届く一角に、俺と、護衛の前田利益もまた床几に座らされていた。


 表向きは「徳川軍を仙台まで導く道案内」。

 実態が「盛隆と盛宗の手足を縛るための人質」であることは百も承知だが、百万石の血脈を背負う前当主に対し、家康も無碍な扱いはできぬとみえて、こうして陣頭の一角に席を与えている。


 その丘の上から見下ろす先――思川の西岸に切り立つ断崖を背にした小山城は、十四万の大軍を眼前にしながら、まるで大海の怒濤を真っ向から受け止める巌のように、不気味な静寂を保ったまま屹立している。


 一万の兵を率いて小山城を守るは、二階堂家の宿将・奥村永福。

 元亀二年、美濃へ商旅に出た俺の内縁の妻・吉次がその器量に惚れ込み、尾張から白河の小峰城へと連れてきた男である。

 破格の五千貫で召し抱えて以来、三十年近くにわたって二階堂家の屋台骨を支え続けてきた。

 背後に控える前田利益とは、尾張時代からの竹馬の友でもある。

 軍配のみならず政道にも通じた、二階堂家きっての文武両道の柱石であった。


 今、諸将の視線が注がれる中、一台の塗駕籠が、徳川の陣列を離れて静々と小山城の大手門へと向かっていた。

 乗っているのは、俺の正室、南御前である。


「……いよいよ、ですな」


 俺の背後に控える前田利益が、低く呟いた。


 江戸で交わした約定は明快だ。

 まずは南御前を小山城へ送り届ける。

 引き換えに城の門扉は開かれ、奥村永福率いる一万の兵は城から立ち退き、徳川軍に城を譲る手筈であった。


 床几に腰を据える徳川家康も、本軍を率いる徳川秀忠も、遠巻きに見守る福島正則らも、「これで小山は無血開城、次は宇都宮だ」と信じて疑っていない様子。


 秋の乾いた風が吹き抜ける中、南御前の駕籠は大手を守る枡形へと吸い込まれていく。

 護衛の二階堂兵数名がこれに付き従い、城内へと消えた。


 ――ガタピシッ、ドスン!


 重々しい地響きとともに、小山城の大手門が内側から固く閉ざされた。

 女人の身柄を城内に収めるための手順と見なし、徳川の将たちも怪しみはしない。


 それから、しばらくの静寂が流れる。

 やがて、ギギギ……と軋む音を立て、再び重い大手門が左右へと開け放たれた。


「おお、開いたぞ」


「これで退去、開城か」


 陣幕のあちこちから安堵の混じった声が漏れ、徳川の諸将の顔に笑みが浮かぶ。


 だが――。


 門内から現れたのは、立ち退きの隊列でも、小荷駄を連ねた降伏の使者でもなかった。

 背に二階堂の旗指物を一本差した、たった一騎の騎馬武者。

 その武者が土煙を上げて城外へと駆け出すや否や、背後で再び――ドスン!と地響きを立てて城門が固く閉ざされてしまったのだ。


 それどころか――。

 カッカッ、と乾いた木槌の音が塀の向こうから響いたかと思うと、水堀の縁に幾重もの逆茂木がせり出すように突き出された。

 土塁の上に張り巡らされた矢狭間、鉄砲狭間の蓋が一斉に跳ね上げられ、その無数の暗い穴の奥から、黒光りする銃口がずらりと徳川本陣を睨みつけてきたのだ。


 兵糧を積んだ小荷駄が運び出される気配もなければ、城兵が武装を解く気配もない。

 完全なる籠城態勢。

 十四万の大軍勢を前にして、小山城は「一人たりとも城内には入れさせぬ」という鉄の意志を、無言のまま突きつけてくる。


「……何事だ?」


「なぜ一騎きりしか出てこぬ? 門を閉ざしたぞ!?」


 徳川本営の空気が、一転して怪訝なざわめきに包まれる。


 その間にも、飛び出してきた騎馬武者は奥州街道を北へ向かって脇目も振らず疾走していった。

 だが、街道の前方は徳川の先陣――結城秀康の寄騎大名で街道封鎖の任に就いていた水谷勝俊の陣が固めている。


 街道の先で騎馬武者が遮られ、水谷の番兵たちと激しい押し問答が始まった。

 街道封鎖を破ろうとする二階堂の使番と、槍を交差させて通すまいとする水谷勢。


 やがて、水谷の陣から放たれた一騎の伝令が本営へと駆け込んでくる。


 伝令は馬から飛び降りると、本営に詰めていた先陣大将・結城秀康の前へ駆け寄り、息を切らせて平伏する。


「申し上げます! 先刻、小山城より馳せ出でたる二階堂の騎馬武者が、奥州街道を北へ通せと我が陣の柵前にて激しく食い下がっております。街道を通すべきか押し留めるべきか、いかがいたしましょうや!」


「何だと? 城の明け渡しはどうした。その騎馬武者の言い分は何じゃ」


 結城秀康の問いに、水谷の使番は恐縮しながら声を張り上げた。


「はっ! その者の申すには、『小山城にて南御前様の身柄を無事に受領した旨、直ちに宇都宮城の当主・二階堂盛隆公へ報告に参るところである。主君たる盛隆公からの正式な下知状が小山城へ届かぬ限り、小山城の引き渡しなどもっての外!』と言い張り、押し通る構えを崩しませぬ!」


「……ええい、何をまだるっこしい真似を」


 その報告を聞き、眉間を深く寄せて苛立ちを露わにしたのは、本軍を率いる徳川秀忠であった。


 年の頃は二十二歳。

 仕立ての良い見事な当世具足に身を包み、肌は白く面立ちは端正だ。

 しかし、その表情には育ちの良い貴種特有の神経質さと、内に鬱屈した苛立ちが色濃く滲み出ている。


 秀忠は床几から腰を浮かすと、苛立たしげに声を投げかけてきた。


「江戸での約定はすでに済んでおるはず。南御前殿を城内に収めれば明け渡すと申したではないか。左京亮、宇都宮の二階堂宰相へ知らせて下知を待つなどと、悠長な手続きを踏んでいる場合か。小山城の奥村とやらに、今すぐ城を明け渡して道を空けよと、其方から直接命を下せば済む話ではないか」


 秀忠の苛立ちに呼応するように、徳川四天王の一角・井伊直政が立ち上がり、周囲の旗本たちもざっと身構える。

 十四万の大軍の本営に、じわりと張り詰めた空気が漂う。


 だが、背後の前田利益は腕組みをしたまま「やれやれ」と小さく鼻を鳴らすのみであった。

 俺は床几に腰掛けたまま、不快そうに唇を噛む徳川秀忠を静かに見上げた。


「中納言様、そう焦れますな。あの小山城を守る奥村永福という男は、元を正せば尾張の生まれ。前田利家殿の兄君・利久殿にお仕えしていた前田家の忠臣でしてな。かつて織田信長公直々の命により、家督を継いだ利家殿が荒子城の受け取りに参った折にも、自身の主君である利久殿からの直接の書状が届くまで、頑として城門を開け放たなかったほどの筋金入りの頑固者にございます」


 奥村永富はその一件で男を上げた末に浪人となっていた。


「何を昔語りを……! それが此度の開城と何の関係があるのじゃ」


「大いにございますとも。永福にとって現在の主君はあくまで現当主の盛隆。この儂がいくら命を下したところで、主君たる盛隆の直筆の下知状が届かぬ限り、あやつは決して動きませぬ。……隠居の口添え一つでやすやすと城門を開け放つような軽々しい男であれば、盛隆もあのような要衝の城代には据えませぬよ」


「む……」


 筋の通った道理を突きつけられ、秀忠は言い返せずに言葉を詰まらせ、苦虫を噛み潰したように眉根を寄せた。

 俺は薄く笑みを浮かべ、両手を広げてみせる。


「宇都宮の盛隆への使番を通し、引き渡しの下知状が返ってくるのを、心静かにお待ちいただくほかありませぬな」


 俺は俺で、心中では奥村永福の手際の鮮やかさに舌を巻いていた。

 さすがは永福だ。


 阿南の身柄を無事に収めた瞬間に完璧な防衛線を敷き、即座に宇都宮の本陣へ使番を飛ばして時間を稼いでみせた。

 思川の崖端を背にした小山城は堅固であり、力攻めを敢行すれば徳川方は先陣の数百から数千単位の兵をすり潰すことになる。

 徳川秀忠の器量では、この鉄壁を前にして攻めるに攻められず、苛立ちを募らせるのが関の山であろう。


「……佐渡」


 床几から腰を浮かし、なおも煮え切らぬ面持ちで苛立ちを隠せない秀忠の頭越しに、ふいに、低く落ち着いた声が落ちた。

 床几にどっかと腰を据えたままの徳川家康である。


 丸顔に浮かべた表情は巌のように険しく、その奥にある細い目が、冷徹な光を湛えてじっと宙を睨んでいた。

 若さゆえに感情を昂ぶらせる息子とは対照的に、水底のような静寂を湛えた声音であった。

 呼びかけられた老臣――本多正信が、心得たりとばかりに薄い唇の端を吊り上げて進み出る。


「はっ。ここから宇都宮までは、およそ十里にございますな」


「ならば往復で半日、といったところか。十四万人の胃袋を満たす米の量を思えば、半日とて安くはないが……」


 徳川家康は身じろぎ一つせず、床几に深く腰掛けたまま、結城秀康へ顎をしゃくってみせた。


「良かろう。待とうではないか。使番は通せ」


 迷いのない、即断であった。

 だが、その冷え切った視線がぐるりと向きを変え、俺へと真っ直ぐに据え直された瞬間、本営の空気が張り詰めた。


「だが、刻限は日の暮れまでじゃ。後続の到着は遅れておるようだが、今ここにいる兵だけでも、あのような城など一揉みで落とせよう。もし日暮れまでに宇都宮から下知状が届かず、小山城が門を開かぬとあらば――この儂を謀り、奥州への道を塞いだものと見なす。小山城を灰燼に帰し、そのまま宇都宮まで押し潰すまでのこと。その時、我が本陣に留め置かれた其方の首がどうなるか……重々お分かりのはずだが?」


 人質による駆け引きは日の暮れをもって打ち切り、即座に俺の首を刎ねて力攻めに切り替える――十四万の軍勢を背景にした、冷酷な最後通告であった。

 だが、俺は床几に座したまま、平然とうやうやしく頭を下げてみせた。


「そのようなことにはなりますまい。この左京亮、身命を賭して秀頼公の御信任厚き徳川内府殿の道案内を務めると、太閤殿下に誓った身。盛隆とて親の命を粗末にするような不孝者ではございませぬゆえ、日暮れの刻限まで、どうぞ心静かにお待ちくだされ」


 この言葉の裏に潜ませた棘に、徳川家康は気付いているのだろうか。

 ――「秀頼公の信任厚き」徳川内府。

 もし上方の秀頼公が徳川家康への信任を取り消し、逆賊として討伐の号令を発したならば、道案内の約定も、親子の情愛も、何ひとつとして守る義理などなくなるのだ。


 今日の日の暮れまで。

 家康が自ら下したその猶予こそ、俺たちにとって十分すぎる時間であった。


 小山城の狭間から覗く無数の銃口と、それを取り囲む徳川十四万の大軍。

 張り詰めた糸のような沈黙が、小山宿一帯を重苦しく支配していた。


 しかし――俺の耳には、遠い上方から響いてくる、天下が崩壊する轟音がすでに聞こえ始めていた。






 西の空が茜色に染まり、斜陽が思川の水面を血のように赤く染め上げていた。

 崖端の上に聳える小山城の白壁もまた、沈みゆく夕日を浴びて不気味な朱に染まっている。

 矢狭間や鉄砲狭間の奥で光る銃口は、夕闇の迫る影の中に沈みながらも、徳川本陣を真っ向から睨み据えたまま微動だにしない。


 日暮れの刻限が、刻一刻と迫っていた。

 小山城の不気味な沈黙を前に、徳川秀忠が床几の脇で苛立ちを募らせ、しきりに夕空を見上げていた、まさにその時であった。


 街道の西側から、一騎の騎馬武者が泥しぶきを跳ね上げて本営の置かれたの丘の上へと駆け上がってきた。

 馬の口からは白い泡が吹きこぼれている。

 使番は馬から転がり落ちるなり、泥まみれのまま陣幕へと雪崩れ込み、息を切らせて叫んだ。


「――申し上げます! 大坂よりの早馬! 上方にて一大事これあり!!」


 その悲壮な絶叫に、幕舎内の空気が一瞬で凍りついた。


 使番は家康の足元へ平伏し、封蝋の施された漆塗りの小筒を震える手で差し出す。

 脇の本多正信が受け取って小刀で封を切り、そのまま主君である家康の手へと差し出した。

 家康は無言で受け取ると、自ら書状を押し広げて目を走らせる。


 離れた席に座る俺の位置からは、当然ながら細かな文面までは読めない。

 だが、広げられた書状の端に、複数の花押らしき黒々とした墨跡が並んでいるのが見えた。

 書状を一瞥した家康の眉根が、ピクリと跳ね上がる。


 表情を巌のように強張らせた家康は、押し黙ったまま傍らの本多正信へとそれを突き出した。

 受け取って視線を走らせた正信の手が、みるみるうちに小刻みに震えだす。

 井伊直政や榊原康政へ回覧されるにつれ、重臣たちの顔から次々と血の気が引いていく。


 ――大坂の徳川方の留守居が追い出されたか。あるいは三奉行による連署の弾劾状、『内府ちがひの条々』が諸大名へ撒かれたか。


 徳川を天下の逆賊と断ずる文面であることは、彼らの青ざめた横顔を見れば火を見るより明らかであった。

 重苦しい静寂が落ちる間もなく、外から激しい蹄の音とともに、別の怒声が飛び込んできた。


「京より継飛脚! 茶屋四郎次郎殿よりの密書にございますッ!!」


 二人目の使番が、脂汗にまみれた顔で幕舎へ転がり込んでくる。

 茶屋四郎次郎――徳川の御用商人の名が出た瞬間、家康は正信の手を待たずに自ら竹筒をひったくり、封を裂いて中の密書を広げた。

 読み進める家康の、膝の上に置かれた拳がギリリと音を立てて白く強張っていく。


 やはり背後の東海道で何かが起きたのだ。

 京と小山の間、例えば近江あたりで街道を封鎖され、後続として東へ向かっていた西国諸大名の軍勢が大坂方によって押し留められたか、あるいは引き返させられたか。

 商人ならではの早耳が捉えた急報であろう。


 家康は読んだ紙片を直政へ手荒く押し付けると、無意識のうちに右手の手の甲を口元へ運び、親指の爪をガリガリと激しく噛み始めた。


 息を呑む暇すら与えられない。

 街道を限界まで飛ばしてきた三人目の使番が、肩で激しく息を乱しながら幕舎へと滑り込んでくる。


 差し出されたのは、革紐で固く結わえられた泥まみれの小筒――上包みの紙にはただ一筆、筆を叩きつけるように「急」の文字が殴り書きされており、ひしゃげた筒肌が手汗と風雨に揉まれた凄まじい道程を物語っていた。


「伏見! 伏見留守居方よりの緊急報にござるッ!!」


 絶叫とともに差し出された筒を、家康は力任せに引きちぎって書状を広げた。

 目を通す家康の丸顔が、見る見るうちに生気を失い、どす黒い土気色へと変色していく。

 伏見城の鳥居元忠からの急信――大坂方の軍勢が押し寄せ、ついに戦端が開かれたのだ。


 徳川家康はその書状を無言のまま榊原康政へ放り投げるように渡す。

 受け取って文面を確認した康政の顔からも、完全に精気が消え失せていた。


「ち、父上……? 一体、何が届いているのです……?」


 ただならぬ使番の連続到来と、父や重臣たちの異様な狼狽ぶりに、ついに徳川秀忠が耐えきれずにおずおずと問いかけた。


 だが、徳川家康は答えなかった。

 ただ無言のまま、親指の爪を激しく噛み立てている。

 血が滲むほどに爪を食い破るその異様な姿だけが、静まり返った幕舎の中で圧倒的な重圧を放っていた。


 三度にわたる使番の絶叫と、首脳陣の凍りついた沈黙。

 そのただならぬ気配は、すでに幕舎の周りを固める番兵たちへも伝播していた。

 互いに目配せを交わし、動揺を隠せぬ兵たちの銃口や槍先が、わずかに揺らぎ始める。


 これで小山城を力攻めにするどころではなくなったな。






(……上方は、やはり動いたか)


 使番たちの尋常ならぬ錯乱ぶりと、徳川首脳陣の凍りついた面持ち。

 彼らの狼狽を見届けるほどに、推測は確信へと変わる。


 徳川家康の不在を突いて毛利輝元や石田三成らが決起し、大坂と伏見を完全に押さえたのだ。


 上方という天下の中枢を敵に奪われ、この奥羽討伐軍は豊臣の公儀の看板を剥ぎ取られた。

 ましてや丘の下に布陣する豊臣恩顧の諸将――福島正則、黒田長政らの妻子は皆、大坂城下にいる。

 大坂が敵の手に落ちたとなれば、人質を押さえられたも同然なのだ。

 この報せを知った彼らがどう動くかも気がかりなはず。


 もし上方で反乱の火の手が上がっても、その勢いが小火のうちに奥羽を電撃的に制圧してすぐさま取って返すという徳川家康の予めの算段は、根底から崩れ去りつつある。


 もはや小山城の開城どころではない。

 城を踏み潰して俺の首を刎ねるか否かなどという話は吹き飛び、宇都宮へ進むのか、全軍を引き返すべきなのか、その大号令すら下せぬまま、家康も重臣たちも陣幕の中で完全に立ち往生していた。


 事態はこちらの想定通りに運んでいる。

 無意識の安堵が、わずかな笑みとなって口元に浮かんでしまう。


 そのときである。


 親指の爪を噛んで焦燥を露わにしていた徳川家康が顔を上げ、真正面から視線がぶち当たってしまう。


 バチリ


 視線が交差する音が聞こえた。


 ――しまった。


 内心で舌を打ったが、遅かった。


 周囲が取り乱す中、ただ一人、安堵の笑みを浮かべている男。

 悪目立ちが過ぎる。


 徳川家康が一瞬、怪訝な表情を浮かべる。

 だが次の瞬間、ハッと息を呑む。


 南御前の入城、小山城の不気味な沈黙、そして間髪を容れずに叩きつけられた上方での西軍蜂起。

 徳川家康の中で、すべてが一本の線で繋がったのが見てとれた。


 いまさら慌てて取り繕うのも格好が悪い。

 俺は視線を逸らさず、むしろその笑みをあえて深めてみせた。


 家康の丸顔が瞬時に怒りで朱に染まり、額に太い青筋が跳ね上がった。

 据わった両の目が、激しい憎悪を込めて俺を睨みつけてくる。


「――左京亮ッ!! そなたの策謀かッ! 平八郎! その大天狗を拘束せよ!!」


 地獄の底から響くような、凄まじい絶叫が本陣の空気を引き裂いた。

 その下知に応じ、一筋の黒い突風が動く。


「ハハァッ!」


 床几から跳ね起きたのは、徳川家随一の猛将、本多平八郎忠勝。

 鹿角の兜を戴いた巨躯が地を蹴ると同時に、天下三名槍『蜻蛉切』の石突きで床を薙ぎ払い、その切っ先を一瞬にして俺の喉元寸前へと突きつけて動きを封じにかかった。

 指一本動かせば喉笛を切り裂く、一分の隙もない電光石火の制圧。

 並の武将であれば、その圧倒的な武威に圧切られ、腰を抜かして平伏していただろう。


 だが、その鋭利な切っ先が俺へ届く寸前、横合いから割り込んできた巨大な影が、忠勝の穂先を真っ向から遮った。


 キィィィンッ――!


 鋭い金属音が幕舎内に響き渡る。

 朱槍を陣の外で預けさせられながらも、腰に残された脇差を瞬時に抜き放った前田利益である。


 利益は抜き身の短い刃で蜻蛉切の穂先を真正面から受け止めると、そのまま怪力に任せて押し戻し、俺の前に壁のように立ちはだかった。

 槍刃と腰刀が激しく噛み合い、軋むような摩擦音が耳を打つ。


「徳川内府殿。狼狽えるあまり、客人の喉元にいきなり名槍を突き出すとは、天下の政道を預かる総大将の振る舞いとは思えませぬな」


 天下無双の槍を繰り出す本多忠勝と、大ふへん者の前田利益。

 得物を奪われてなお、脇差一本で蜻蛉切の突きを止め、不敵な笑みを浮かべる利益の巨躯から、隠しきれぬ凶暴な武威が吹き上がる。

 二大豪傑の殺気が真っ向から衝突し、陣幕内の空気が張り詰めた。周囲の徳川旗本たちが思わず半歩後ずさる。


「退かれよ、前田慶次郎殿。内府様の御下知にござる」


「断る。我が主の身に理不尽な危害が及ぶとあらば、たとえ本多平八郎殿の蜻蛉切であろうと通すわけにはいかぬ」


 一触即発。

 このまま前田利益が暴れ続けば、徳川の旗本総出で叩き潰しにかかり、本陣は文字通りの修羅場と化す。

 そうなれば無駄死にであろう。


 俺は眉ひとつ動かさず、床几からゆっくりと立ち上がった。


「よい、利益」


 穏やかな俺の声に、利益の張り詰めた肩の力がふっと抜ける。


「ここで荒事を演じても詮無きこと。刃を収め、大人しく縄を受けよ」


 俺が言い含めると、前田利益は鼻を鳴らし、忠勝に据えていた鋭い視線を外して脇差を鞘へと滑り込ませた。


「……御意」


 利益が抵抗の意志を解いたのを見届け、徳川の旗本たちが殺気立った手つきで踏み込み、俺たちから腰刀を取り上げると、背後へ荒縄を回しにかかってくる。


「ち、父上……!? 一体、何を怒っておられるのですか……!? なぜ突然、左京亮の捕縛などを……!?」


 すぐ傍らでは、徳川秀忠が狼狽しきった表情で家康に詰め寄っていた。

 急な早馬の連発にも、父が唐突に二階堂盛義へ激怒して槍を向けさせた理由にも、若き徳川秀忠の頭はまったく追いついていない。

 目の前で起きた展開の意味が分からず、困惑のあまりオロオロと父の顔色を窺うことしかできていなかった。


 その取り乱す息子を一顧だにせず、徳川家康はただ床几の上で微動だにせず、拳を膝の上で握りしめていた。


 耐えているのだ。

 怒り狂って絶叫し、この場で俺の首を刎ね飛ばしたい衝動を、骨の軋むような忍耐で力づくでねじ伏せている。

 唇を真一文字に結び、喉の奥で獣のような唸りを殺しながら、据わった両の目でじっと俺を睨みつけていた。


 天下の辛酸を舐め尽くしてきた大英雄の、凄まじい底力であった。


「……連れて行け。決して殺すな。一筋の傷もつけるでないぞ」


 その厳命に、縄を引く徳川の旗本たちがびくりと肩を震わせる。


 そしてその徳川家康の背後から、凍りつくような冷気が突き刺さってくる。

 数珠を握りしめた本多正信である。


 いつもの飄々とした柔和さは微塵もなく、その細い眼窩の奥には、俺を骨の髄まで焼き尽くさんばかりの漆黒の憤怒が宿っていた。

 己が張り巡らせた調略の糸など比べものにならぬほど太く巨大な網で、逆に足元をすくい上げられた(と勘違いしてる)知謀の男の、剥き出しの憎悪であった。


「……さすがは大天狗の鬼謀ですな。一本取られましたわい」


 手首に硬い麻縄が食い込むのを感じながら、俺は徳川家康と本多正信の両者の目を、真っ向から見据えた。


「徳川内府殿。本多佐渡守殿。ここは正念場ですぞ。よくよく思案なされるが良い」


 静かに言い放った俺の言葉に、徳川家康の眉間がギリギリと深く歪み、本多正信の手にある数珠がかすかに軋んだ。


 前方の小山城の沈黙、上方の政治機構の転換。

 十四万の遠征軍が進退窮まる泥沼へと引きずり込まれていく中で、俺と利益は、陣幕の奥の軟禁所に囚われることとなる。






 捕縛された俺と前田利益は、本陣の奥深く、三重に警固兵が張り巡らされた幕舎へと押し込められた。


 腕には太い捕縄が幾重にも巻き付けられ、自由は利かない。

 だが、見張りの兵たちは遠巻きに青ざめた顔で槍を構えているだけで、俺たちに乱暴な真似を働く気配は微塵もなかった。


 それもそのはずだ。

 宇都宮には下野四十六万五千石――いや、近年の那須疏水の整備によって農地が順調に増え続けており、優に五十万石を超える大領を束ねる長男の盛隆がおり、磐城には次男の盛行が控えている。


 ここで俺の身に何かあれば、降ると事前に聞かされていた下野と南奥の二階堂一門が一斉に牙を剥く。

 家康から「決して傷をつけるな」と厳命されているのも当然であった。


「……やれやれ、ここにきて随分と手荒なもてなしに変わってしまいましたな、義父殿」


 隣で同じく縛られた前田利益が、窮屈そうに肩を揺らしながら苦笑を漏らす。


「すまんな、利益。あまりに予想どおりの展開すぎて、笑みを抑えられなんだ」


「義父殿もお人が悪い。それにしても、先刻の徳川内府の引きつった顔は痛快でございましたな。生涯忘れられぬ見物でござろう」


 前田利益の言葉に、俺も小さく口元を緩めた。

 

 三奉行による内府ちがひの条々、毛利の大坂城西ノ丸入り、そして大軍による伏見の包囲――立て続けに着弾した凶報の嵐。

 

 幕舎の外からは、今なおひっきりなしに駆け交う早馬の蹄の音や、陣屋の間を忙しなく行き交う物音が漏れ聞こえてくる。


 真に肝を冷やし、血相を変えているのは――福島正則や黒田長政、細川忠興ら、大坂に妻子を残してきた豊臣恩顧の諸将たちであろう。

 背後で公儀の逆賊と名指しされ、愛する妻子が大坂城に押さえられたと知れば、彼らが激しく動揺し、疑心暗鬼に陥るのは火を見るより明らかであった。


 豊臣恩顧の六万が一斉に大坂方へ寝返って遠征軍が瓦解するのかどうか、まさに東軍崩壊の瀬戸際である。

 今頃、本多正信や井伊直政といった徳川の重臣たちは、血眼になって各陣を駆け回り、諸将の動揺を抑え、繋ぎ止めるための説得と手当てに死力を尽くしているに違いなかった。


(……上方は完全に火が点いた。豊臣系諸将の手当てに追われ身動きの取れぬ家康に対し、宇都宮の盛隆たちは必ずや誰か使者を送り込んで揺さぶりをかけてくるはずだ)


 幕舎の天井を見上げながら、俺は宇都宮の陣営にいるはずの顔ぶれを思い浮かべていた。


 先日、青松寺で密かに言葉を交わしたばかりの百戦錬磨の宿老・保土原行藤か。

 謀略と外交の裏表を知り尽くした大内定綱あたりか。

 あるいは、茶の湯を通じて天下の諸将と通じ、家康とも旧知の佐久間信栄か。


 だが――誰が使者として乗り込んできようとも、最終的に十四万の大軍勢を率いる家康との談判を優位に進められるかどうかは、たった一つの要素に懸かっている。

 すなわち、伊達政宗率いる伊達本軍五万がどう動くか、だ。


 出羽の騒乱によって動員兵力を削がれ、さらに二階堂が徳川に寝返ったのではないかという疑念に晒された政宗は、杉目城で足を止めていた。

 もし政宗が疑心暗鬼に呑まれて後退し、仙台へ引き返してしまえば、野州正面で徳川十四万と対峙する二階堂側の手札は宇都宮と小山城を合わせた四万足らずに留まる。

 徳川家康の手足を縛るには、あまりに心もとない兵数であった。


 逆にもし政宗が己の覇気と野生の勘を信じ、本軍五万を率いて宇都宮へと突っ込んできてくれたなら――徳川家康は圧倒的に不利な立場に追い込まれるのだ。

 

 だが、縛られてこの幕舎に転がされている今の俺には、遠い杉目の政宗の背中を押す術など何一つない。

 謀略の手はすべて打ち尽くした。

 種は蒔いたのだ。

 あとは芽吹くか枯れるか。


 伊達政宗がこの千載一遇の好機を嗅ぎ取って南へ駆け下ってくるか否か――もはや、運を天に任せるほかないではないか。


(……ふっ、何を思い煩うことがある。ここまで来て、小賢しく先を案じても始まらんわ)


 なるようにしかならぬ。

 そう腹を括ると、全身の余計な強張りがすっと抜けていった。


 打つべき手はすべて打ったのだ。

 焦ることもない、泰然としてその刻を待つとしよう。






<1600年 9月2日>


 慶長五年七月二十五日、下野国、小山宿。


 一晩が明けた。


 軟禁されていた幕舎の入り口が静かに跳ね上げられ、本多正純が姿を現した。

 昨夕までの慇懃な態度こそ崩してはいないものの、その目元には隠しきれぬ疲色と張り詰めた緊張が色濃く滲んでいる。


「左京亮殿、前田殿。殿がお呼びでございます。まずは……その縄をお解きいたす。非礼をお許しあれ」


 本多正純の合図で背後の兵が近づき、手際よく俺と利益の縄を解いた。


「ほほう、ずいぶんと急に礼儀正しくなったものだな。大坂からの凶報で、昨夜は一睡もできなんだか?」


 前田利益が手首を擦りながら嘲るように軽口を叩いたが、本多正純はそれに答える余裕すらないらしく、ただ唇を真一文字に結んだまま、静かに幕の外を手で示した。


「……評定の場へ同行願おう」


 身なりを整え、正純の手勢に前後を挟まれて大幕舎へと歩を進める。

 幕をくぐり、広大な評定の場へと足を踏み入れた瞬間――俺は、その場を支配する異様な空気に目を細めた。


 しん、と静まり返っていた。


 上座に座す徳川家康は、昨日の動揺など微塵も残さず、感情を削ぎ落とした岩のような表情で腕を組んでいた。


 一晩で肚を括り直したのだろう。

 爛々と光る眼光には一片の迷いもなく、むしろこの最悪の苦境にあってなお、虎視眈々と勝機を手繰り寄せようとする男ならではの底知れぬ威圧感が漂っている。

 乱世を長いあいだ泥水をすすってここまで生き残ってきた英傑だ、この程度の逆境で折れるはずもない。


 だが、その左右に居並ぶ井伊直政や本多忠勝ら徳川譜代の面々は、険しい面持ちで押し黙ったままだ。


 そして――家康のすぐ脇に座す徳川秀忠の姿が目に留まった。

 徳川本軍三万を率いる総大将という途方もない重圧を背負い、立て続けに着弾した上方の急報に血の気を引き、顔色こそ蒼白ではあった。

 しかし、決して取り乱してはいない。

 奥歯を噛み締め、背筋を真っ直ぐに伸ばして、次代の徳川を担う者としての矜持を保とうと懸命に気骨を奮い立たせている。

 二十二歳の若さでこの巨大な危難に直面しながらも、逃げ出すことなく父の背中を見据えて踏みとどまるその姿には、若き後継者なりの誠実さと覚悟が滲んでいた。


 さらに、福島正則、黒田長政、細川忠興ら豊臣恩顧の諸将にいたっては、大坂に残された妻子を人質に取られた屈辱と、背後から謀叛の汚名を着せられた激痛に、拳を血が滲むほど握り締め、全身を怒りに震わせていた。

 公儀の政務を預かるはずの三奉行や、大坂で兵を挙げた手ぐすね引く者どもに対する凄まじい憤激が、幕舎の空気を肌が痛むほどに焼き焦がしている。


 十四万の東軍首脳が、重苦しい沈黙と殺気の中で息を詰めている。

 その視線が一身に注がれている大幕舎の中央――。

 そこに、鮮やかな浅葱色の甲冑を纏い、威風堂々たる佇まいで泰然と仁王立ちしている一人の若武者の姿があった。


 予想していた行藤でも、定綱でも、佐久間信栄でもない。

 徳川家康を涼やかに射すくめているその顔立ちを凝視した瞬間、俺は息を呑んだ。


(……盛宗か!?)


 俺は歩みを止めず、内心で激しく唸った。


 須賀川城主。

 我が嫡孫、二階堂盛宗その人であった。


 万が一にも徳川方が狂乱すればただでは済まぬ敵陣の真っ只中に、次代の当主自らが乗り込んできたのだ。

 秀忠と同じ二十二歳。

 重圧に耐え忍ぶ秀忠に対し、盛宗は十四万の敵地にあって一片の揺らぎもなく、諸将の視線を呑み込むような静かな威圧感を放っている。


 そして、その左右には、二人の供回りが付き従っていた。


 一人は、かつて輝宗公の重臣であった遠藤基信の息子・宗信。

 伊達政宗が送り込んできた目付であろう。


 そして――もう一人。

 白髪交じりの眉を吊り上げ、凄まじい殺気を放ちながら仁王立ちしている老武者。


(……源次郎まで付いてきておるのか)


 須田盛秀であった。

 かつて俺の傅役を務めた男だ。


 齢七十を超える須賀川城代が、孫の初陣ならぬ大舞台の護衛として、平然と敵の本陣に仁王立ちしている。

 まったく、幾つになっても頑健で生真面目な漢よ。


 だが、背後に控える二人を従え、この場の中心にいるのは、間違いなく我が孫の盛宗であった。

 敵の懐に飛び込んで少しも揺るがぬその器量と度胸に、俺は二階堂の血筋の頼もしさを痛感し、深い感嘆を禁じ得ない。


 足音に気づいた盛宗が、こちらを振り返った。

 そして俺の姿を認めるや、張り詰めた空気などどこ吹く風といった様子で、深々と礼を捧げてくる。


「お祖父様、お久しぶりでございます。盛宗でございます。父上と将軍の命を受け、停戦の談判に罷り越しました」


 敵地十四万の総本陣、天下を揺るがす大評定の真っ只中である。

 そんな修羅場であることを微塵も感じさせぬ、あまりに自然で屈託のない孫の挨拶に、俺は思わず目尻を下げた。


「盛宗、見違えたわ。立派になったのう」


 そう言葉を返しながら、胸の奥に熱い誇らしさが込み上げてくるのを禁じ得ない。

 かつて須賀川で抱き上げたあの童が、いまや名立たる英傑たちを圧するほどの堂々たる若武者へと成長し、こうして俺を迎えに敵陣へと乗り込んできたのだ。


 俺との短い言葉を交わし終えた盛宗は、わずかに頷くと、くるりと身を翻した。

 その穏やかな表情は一瞬にして消え去り、冷徹無比な交渉人の面魂となって家康へと真っ直ぐに向けられる。


「徳川内府様。まずは談判開始の条件通り、我が祖父・盛義の無事の姿をこの目で見せていただいたこと、感謝仕る。――さて、それでは本題の停戦の談判に入らせていただきましょうか」


 凛とした通る声が大幕舎の隅々にまで響き渡る。

 その響きには、敵陣の只中にいるとは思えぬほどの恐るべき落ち着きが宿っていた。


 敵の総大将と十四万の首脳陣を前に、一歩も引かずに主導権を握りにかかる須賀川の麒麟児。

 徳川家康の爛々と光る瞳が、射るように盛宗を捉えていた。



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― 新着の感想 ―
ちゃぶ台ひっくり返されて混乱する家康と正信が想像できましたね。慶次と忠勝のやり取りも史実では起こり得なかったから戦わせてみたかったです。戦ったらどっちが勝つのでしょうか? 三成がアドバイスにしたがって…
かっくいー!!!皆最高!!!
間違い無く、予想のはるかナナメ上に突き抜けちゃってるんだろうなァ…
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