表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/116

7. 俺を召喚したのは、彼女ではなかった

とりあえず、10話まで毎日3話投稿します!

3日目、1話目の投稿です。次は本日12時頃投稿です

「大昔…喋ってたから、日本語…不慣れ。許してくれ」

 自分で言っていて、かなり怪しい日本語だと思った。何百年、いや千年以上まともに使っていない言葉だ。単語は浮かぶ。だが、文にしようとすると妙に引っかかる。まるで錆びついた剣を無理やり抜いているような感覚だった。彼女は怯えながらも、言葉が通じることに少し安心したかのように頷く。俺は続けた…


「お前…私を、地球…に、召喚…した?」

 俺は慎重に尋ねた。もしここが地球なら、俺は千年ぶりに故郷へ戻ってきたことになる。逆に彼女がヴァルメリアへ飛ばされたのなら、また面倒なことになる。どちらにせよ、まず確認が必要だった。だが、彼女の返答は俺の予想を軽く超えてきた。

「私は召喚していないわ。勝手に魔法陣が現れて、あなたが現れたの。たぶんここはダンジョンの下層よ。私も転移陣で飛ばされてきたの。」


 ダンジョンの下層。その言葉で、俺の意識が少し冷えた。地球のダンジョンでも、下層は別物だった。光は少なく、魔力は濃く、出てくるモンスターも上層とは比べ物にならない。そこに、血だらけの女がひとり。そして、肉体を持たない精神生命体の俺。なるほど。かなり面倒な状況らしい。


 日本語を話している。だから地球だ。そう決めつけるのは早い。

「待て待て…情報、多い。・・・お前が…ヴァルメリアに転移…ある?」

 彼女は驚く。彼女が地球からヴァルメリアに飛ばされた可能性もある。あるいは、俺が地球のダンジョンに落とされた可能性もある。もっと言えば、神だかダンジョンだか知らない何かが、俺たちを同じ場所へ引き寄せた可能性だってある。ただ、その前に…


 女は必死に話していたが、体は正直だった。肩で息をし、指先は震え、足元には血が落ちている。目はまだ俺を警戒している。だが、警戒する余裕があるだけ、まだマシという状態だった。放っておけば、遠くないうちに倒れる。いや、倒れるだけで済めばいい方だ。


「ヒール」

 俺は短く唱えた。回復魔法は得意ではない。悪魔の世界では、傷を治すより傷を増やす方がよほど評価される。それでも千年も生きていれば、一通りの魔法は覚える。使う機会が少なかっただけだ。淡い光が女の体を包んだ。裂けていた皮膚がゆっくりと塞がり、流れていた血が止まっていく。


 女は治っていく自分の傷を見て、信じられないものを見るような顔をした。だが、警戒は解かない。当然だ。血だらけで飛ばされた先に、よく分からない精神生命体が現れて、急に魔法で傷を治したのだ。俺が彼女の立場でも逃げる。逃げられる体力があれば、だが。とりあえず、俺は決めた。彼女には何もしない。少なくとも、今は。さて、どうしようか…

面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ