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12/122

12. 魔法陣は消え、階段の先には化け物がいた

本日3話目です。

次は明日の6時です!

「そうだ。俺は元地球人だ」

 念通話だと、日本語を探さなくていい。だから、少しだけ話しやすかった。

「2025年、俺は日本でハンターをしていた。たしか5年目だったはずだ。ダンジョン攻略中に転移事故に巻き込まれて、下層に飛ばされた」

 そこまでは、今のサクラとよく似ている。違うのは、その先だ。

「そこでモンスターに殺された。で、次に目を覚ましたら悪魔だった。笑えるだろ?」


「転生って、マジであるんだね」

 サクラの反応は、思ったより軽かった。

「おいおい、こんな話を信じるのかよww」

 自分で話しておいて何だが、俺なら信じない。元地球人で、ハンターで、死んで、悪魔になって、千年以上生きて、今は死んだ影狼に受肉している。文字にしたら、頭のおかしい経歴だ。

「信じるよ」

 だが、サクラは真面目だった。

「クロの心と繋がってるからかな。あなたが嘘を言ってないの、なんとなく分かるの」


「それにしても、どうやら向こうで100年過ごしても、こちらでは1年しか経っていない計算になるな」

 正確かどうかは分からない。悪魔の世界での時間感覚など、かなり曖昧だ。だが、俺の体感とサクラの言う2035年を照らし合わせれば、だいたいそんな比率になる。

「まぁ、向こうには神もいたしな。時間の流れが違うくらい、ありえそうではある。」

「神って、そんなことってあるんだね。話についていくのがやっとだよ。」


 とはいえ、まだ決めつけるのは早い。ここが地球である可能性は高い。だが、地球に似た別世界という可能性もある。サクラがヴァルメリア側へ飛ばされた可能性だって、完全には消えていない。

「実際、今ここが地球じゃない可能性もある。確認を取りたいな」

 俺は周囲を見回した。まず調べるべきは、俺が現れた魔法陣だ。


 俺は意識を集中させた。

「魔法解析」「魔眼・真理看破」

 クロの目を通して、周囲の魔力の流れを読む。だが、結果は芳しくなかった。魔法陣はすでに消えている。残滓も薄い。普通なら、これだけ大きな転移現象が起きたなら、もう少し痕跡が残るはずだ。それが、まるで最初から何もなかったように消えている。


 仕方がない。消えたものを睨んでいても答えは出ない。俺たちは、まず1つ上の階層を目指すことにした。クロの体は思ったより便利だった。視線は低いが、嗅覚と聴覚が人間の比ではない。石壁に染みついた血の匂い。遠くで擦れる爪の音。空気に混じる濃い魔力。そして、その先に――やたらと重い気配があった。


 階段を登ると、広い空間に出た。しかし、フロアには入らず、階段から様子を伺う。いた。巨大な獣が、そこに横たわっていた。岩のような皮膚。太い四肢。呼吸のたびに揺れる床。ただ眠っているだけなのに、空間全体がそいつのものになっている。ベヒーモス。名を知らなくても分かる。これは、普通に相手をしていいモンスターではない。


 俺は静かに魔眼を発動した。

 名前:ベヒーモス

 レベル:72

 状態:普通

 HP:8,800

 MP:1,200

 魔力:1,500

 筋力:5,800

 耐久:7,200

 敏捷:1,150

 器用:480

 運:30

 スキル:

【巨獣の生命力】【大地震脚】【岩鎧】

【突進崩壊】【咆哮圧】【巨体圧殺】


 うん。バケモノだ。

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