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第3話:暇つぶし

 自警団の2人の依頼は「街を襲う悪魔の親玉の討伐」。

 

 僕、『オーエン』ことノヴァ=ルベロはゼラとルナをアジトに残して1人で暇つぶし程度の気分でその悪魔の討伐に行った。


 そこで出会った『暗き死神』は僕にどんな魔法を見せてくれるのか。楽しみだ。

 僕は腕を回して待っていたら、悪魔は僕の首元に鎌を振り下ろす。


「なっ!?」


 僕の体は薄皮すら切られていない。地面からグールが4,5体生えてきて、胴体に突撃してくるけれど、全て無傷。 

 

 悪魔は地面から出てきた配下らしき悪魔と共に跳び下がった。


「私の鎌で傷すら付けられない筈がない!小僧、どんな魔法を使っている?!」


 僕は左手の上に魔力を凝固して放った。


「『星屑アステロ』。」


 大鎌の悪魔は避けて後ろの木に穴が空いて倒れた。地面の悪魔たちは全て消し飛ばした。


「避けるんだ、やるじゃん。」


 次はもう少し速度を上げようかな。いや、まだこの悪魔の魔法を見てない。片方は『地面に潜る』とかその程度のつまらない魔法だっただろうし、本命はこの鎌使いだ。


(この小僧、なんという魔力の瞬間出力!だが油断だらけだ、私の前で油断など…)


「私は魔王軍傘下の『暗き死神』サナトス、この私を舐めるな小僧!」


 サナトスは旋回して僕に斬りかかるが、鎌は無情に僕の体に当たっただけで止まる。何度切られても同じ、魔力で強化したローブすらこの悪魔は斬ることが出来ない。


「喰らうが良い!『死の舞踏(サルロモルス)』!」


 地面から現れた大量のスケルトンが僕に飛びかかって来た。スケルトンが多すぎて僕が外からもはや見えない程に囲まれてしまった。


 なるほど、片方の悪魔とかじゃなくて、『スケルトンとグールを地面から召喚する』のがこいつの魔法か。召喚系の魔法は使い手によっては無限の手数を得られるけど、こいつはどうかな?


「『星屑(アステロ)』。」


 全方位に魔力の弾丸を放って囲い込んでいるスケルトンを弾き飛ばした。視界が開けた瞬間、真後ろからサナトスが鎌を横薙ぎに払うが、僕の首に当たると折れて端が吹き飛んだ。


「まだまだ。もっとガンガン魔法使ってかかっておいでよ!」


「ッ!小僧!」


 僕はサナトスを振り返って殴り飛ばした。サナトスは腕を必死に振って地面から大量のグールを生み出し、僕に突撃させる。


 僕はグールを全て魔力放出で消し飛ばしながらサナトスの頭を掴んだ。


「これで終わりとか言わないよね?」


 サナトスを川に投げ捨てた。サナトスはぱっと見で40体前後のグールとスケルトンを放出する。


「私の『死の舞踏(サルロモルス)』は全力で使えば42体の怪物を呼び出せる!小僧、潰れて死ぬが良い!」


「はぁ、『星屑(アステロ)』。」


 僕は眼前に迫った42体の烏合を魔力で消し飛ばした。サナトスは絶望の表情で川から橋の上の僕を見上げる。


「つまらないよ、数をぶつけるだけじゃ。もう良いかな?あんまり遅いと仲間に怒られるんだ。」


「待っ…。」


 僕は魔力放出でサナトスを倒して、街に向かって歩き始めた。


「大して暇つぶしにならなかったな…。今の時代はあんな弱い奴が『死神』を名乗ってるのか。魔術全盛の時代から500年も経つと衰えるのも当然か。」


 街の入口で依頼主の2人が待っていた。男は駆け寄ってきた。


「まさか逃げ帰ってきたのか?」 


「そんなぁ!しっかりぶっ倒して来たよ。」


「俺達が苦戦し続けてきた悪魔を?まだ1時間も経ってないぞ?」


「僕ならこれくらい余裕だよ。グールとスケルトンを操っていた親玉はもう倒したから、多分街が襲撃されることはもう無いよ。」


 女は僕に感謝している。


「本当にありがとうございます!報酬は約束通り200万バルムお支払いします。」


 側の荷車から袋を渡された。200万バルム、良い重みだ。


「また、なにかあったらお願いしても良いですか?」


「自警団だったら自分でやりなよ、あと僕に仕事頼むと高いよ?僕の依頼受領って規則的には違法だし。」


 僕はお金を上着のポケットにしまって帰り道についた。今日は暇だ。もっと圧倒的な魔術師はいないかな。


「ん?」


 何か物音がした気がするけど気のせいかな。魔力の初動が一瞬あった気がするんだけど。


 どんなに優秀な魔術師も、魔力を使う時は初動に魔力が漏れる。だから間違えることは無い筈なんだけどね。


 歩いていたら突然背後から剣で心臓を貫かれた。


「は?」


「案外、ぬるいな。」


 僕の後ろには、剣の柄を両手で握りしめた褐色肌、赤い目で角が2本生えた悪魔が立っている。


 僕は咄嗟に離れようとしたが、剣が胸の真ん中に刺さったまま投げ飛ばされた。僕は木にもたれかかりながら傷に触れた。


(心臓の止血は魔力強化だけじゃ難しいかな。仕方ないけど…、使うか。)


 僕は心臓を魔法で治癒した。悪魔は驚いた表情で俺の前に姿を表した。


「まだ若そうだが『治癒魔法』を使えるのか。しかも心臓を瞬時に治せる精度での運用。死神を殺しただけあって相当な実力者だな、小僧。」


 僕は立ち上がっていきなりため息が出た。


「あの程度の悪魔殺して実力者だったら、魔王軍傘下の選定基準も堕ちたものだね。あと小僧、小僧って、悪魔は人間を年齢でしか判断しないの?」


 悪魔は剣を独特な構えで持った。


「俺はナンバーズ、『殺刃(さつば)』クナド。お前を斬り殺して死神がしくじった分は」回収させてもらう。」


「さっきの悪魔弱くて退屈だったんだ。今度は楽しませてよ?」


(帰り遅くなるなぁ。ルナに怒られそうだけど、まあ良いか、皆良い子だからもう寝てるだろうし。)

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