第2話:生きるために
僕はノヴァ=ルベロ。前世では魔王として大暴れし、転生した人間だ。16歳だよ。
僕は2年前に壊滅させた盗賊のアジトに囚われていた兄妹、ゼラとルナを救い出し、今は…
眼の前の悪魔が僕に這いつくばって命乞いをしてくる。
「助けて!死にたくないんだ!おねが…」
悪魔の頭に黒いブレードが突き刺さり、悪魔は絶命して灰のように散った。奥から美しい赤い目と髪を持つ高身長の青年が現れた。
「ノヴァさん、なんか話してる最中でした?」
低くよく通る声が岩に座り込んでボーッと眺める僕の耳に入る。
「いや何も?命乞いなんて聞く意味ないでしょ。ゼラは強くなったねー。」
ゼラは僕の悪魔狩りの仕事を手伝ってくれている。才能があって、そこまで教えてないのに今や遠近距離両方が強い素晴らしい万能型魔術師に育った。僕はゼラを改めて見た。
ゼラはたった2年でか弱い少年から、たくましいイケメン(15歳)に進化した。しかも身長は僕より頭1つ高い。その身長、ちょっとだけ貰えないかな…。なんて毎日思う次第だ。
「お兄ちゃん、ノヴァさん!多分さっきの悪魔でここの出没情報は終わりです、商人さんに報酬を貰いに行きましょう!」
後ろから小走りで来るのは、僕の悪魔狩りの時に索敵をして支援してくれる優秀なサポーターのルナだ。体がそこまで強くないから直接戦闘は向いてない。
ルナも兄と同じ髪と目の色、顔はこの世界でもトップクラスに綺麗で、身長は僕より少し高い。(14歳)なんでだよ身長よこせマジで。
「あのオジサンは報酬いくらくれるのかなー。」
「また報酬聞かずに受けたんですか?!しっかりしてくださいよー!」
ルナは僕の肩を弱い力でポコポコ叩く。しょうがないじゃないか、交渉面倒だし。
ゼラは展開していた黒いブレードを左肩にマント状に収束させた。歩き出し
「戻りましょう、そろそろ寒くなってきました。ルナ、文句言わずに帰るぞ。」
「もー、2人とも雑!」
僕はルナに手を引っ張られて立ち上がる。
依頼主の商人の館に戻り、そこで報酬を受け取った。アジトで僕達はさっさと寝ることに。
僕らのアジトは戦争で放棄された民家で、掃除したおかげでそこそこ綺麗だ。3人それぞれ自室に分かれて就寝。
ー翌朝ー
早朝からルナが部屋に入って来て、叩き起こされる。
「ノヴァさんお客さんです!」
「2日連続で依頼やるの面倒だなぁ。内容次第では断ろうか。」
僕はいつもの黒いローブを羽織って、渋々玄関に入ってすぐの応接室に入った。そこには、既に起きて部屋の隅にもたれかかっていたゼラと、ソファに座る若い男女がいた。
「待ちました?知って来ているとは思うけど僕が『オーエン』です。今日はどんな依頼で?」
『オーエン』、僕がこの裏の業界で名乗っている名前だ。ゼラは『ネームレス』、ルナは『アノニス』と名乗っている。正直ゼラとルナは念の為だけど、僕は生まれが無駄に良いからノヴァだと勘付かれる可能性がある。
男は隣りに座る女と目を合わせて話し始める。
「我々はここから東の街で自警団をしている魔術師だ。先月大規模な悪魔の襲撃を受けて崩壊してしまい、町の防衛もギリギリなほど手が足りていない。」
女は続けて話す。
「生き残ったのは私達以外にたった2人で、襲撃してきた悪魔の黒幕は分かっているんですけど、正直…私達では勝てない程の強大さで。なので、オーエンさん達にはその悪魔を倒して欲しいんです。」
僕はルナに怒られるのも嫌だったから、言われた通りの質問をした。
「悪魔狩りなら特技なので構わないんですが、僕達は過酷な裏の業界で生活してるんです。なので、」
「もちろん分かっている。報酬は200万バルムでどうだ?うちの自警団の金庫から引っ張り出せる限界だ。」
「結構お金持ちなんですね、自警団って。」
200万バルムはまだ新しい若手が1年に仕事で稼ぐ額とほぼ同じだ。
女は深々とお願いして来る。
「国の兵団にもお願いしたのですが、忙しいと断られてしまって、もう私達だけでは命がけで現状維持するのが限界なんです!」
ゼラは僕の耳元に囁く。
「報酬自体は良いが、こんな開けた仕事だと目撃情報とかでノヴァさんの存在が皇室にバレるんじゃ…。」
「まあ、引き受けるよ。僕達は確かにこの世界で誰よりも強い魔術師だけど、強いだけじゃお金は稼げないし、生きられないんだよ。」
僕はそう諭して依頼を受けた。実行は今夜、僕1人で行う。
「俺達も行きますよ。なんなら俺だけでも…。」
「私だって役に立てますよ!敵見つけたり、逃げ道塞げたりとか。」
「いや、僕1人で動いたほうが早く片付けられるし、2人の顔を外で見られる可能性も消せる、任せてよ。僕がいない間にもし依頼が来たら書き取ってまた教えて。じゃあまた明日。」
僕は2人を留守させて街の郊外に出た。街を出る前に男に言われたのは
「裏を流れる川の向こうに異様な気配がする。悪魔が湧いて出てくるのもそこだ。あとは頼む、俺達は街を守らなければいけない。」
僕は川に掛けられた小さい橋を渡る。渡りきった瞬間、気配を察知した。
「結構手強そうだね。どんな顔の悪魔かな?」
林から草を掻き分けて現れた人型の男の悪魔、その右手には大鎌が握られている。その悪魔は僕に語りかけてくる。
「小僧、こんなところに1人で来るとは愚かな…。だが子供とて逃がしはせん、ここで死んでもらう。」
「上等、そっちからかかっておいでよ。最近ザコの悪魔ばっかりで飽きてたんだ。」




