序章:転生と出会い
書いてみたかったファンタジー。下手な文章でも、よく想像していた物語を頑張って完成させます。
「魔王、終わりだ…。」
僕は壁に座ってもたれかかり、再生しない自分の体を眺めた。僕は死ぬんだな、僕は死ぬ。
「君はまだ18歳なのに、700年以上魔法を磨いてきた魔王である僕を殺すのか。『史上最強の魔術師』って呼ばれるだけあるよ、グラディ=マグナ君。」
グラディは愛剣を僕の眼の前に向ける。
「どうせまだ手を残してるんだろ?この程度で貴様が死ぬはずが…」
僕はなぜだか涙を流してしまった、グラディは気味悪そうに僕を見る。
あぁそうか、僕はもう彼の期待には答えられないくらい、力の差がついてしまったのだ。数秒考えてやっと涙が出た理由を理解した。でも、それを悔しがったわけでは無い、ならなぜ泣いたんだ?
「なんでお前泣いてるんだ…?」
「僕は『最強』である君に釣り合う存在には成れなかったんだ。もう君の期待には答えられない、さっさととどめを刺してくれ。」
グラディは寂しそうな顔をして僕に剣を振り下ろした。
悪魔を統べる『最強』の魔王シグニスは若きたった1人の英雄によって葬られた。僕は彼の右腕を飛ばしただけ、それ以外は圧倒的に負けた。
この戦いは僕にとって最高に楽しかった。『最強』だった僕を討ち取るほどの人間と戦える、これだけで十分だった。でも、最期の不思議な涙のせいで心の中の楽しさは消えてしまった。
あの思いはなんだったんだろう、その答えを知ることは無く僕の命は終わった。
はずだった。どういうわけか僕は同じ世界の大国、エリュジム帝国の皇室に転生した。
しかし、転生したところで良いことは無かった。僕は左目の黒目と白目が反転していて、呪いの皇子として迫害されている。
僕はそれに嫌気がさして13歳で国を飛び出し、隣国の領内で魔法関連の闇仕事を受けて生きていた。この闇仕事は全く苦では無かった。
「現代の魔法はこんなにも発展してるのか!500年も経ったら魔法研究もここまで進むんだなぁ。」
現代の多様化した魔法を観察していた。しかし人間は特殊魔法以外に使える魔法は生まれ持った魔法だけ。僕は悪魔ではなく人間に転生したから、生まれ持った1つの魔法と特殊魔法を磨いている。
しかたなく僕は仕事で相手することになった人の魔法を戦いながら観察するという、なんとも気持ち悪い趣味を持っていた。
依頼を受けて盗賊のアジトに乗り込んだ。
女の人を監禁して乱暴、金を盗んで大笑いしている人たちには人権無いよね?なんて人間離れした価値観(自覚はしてるよ?)が脳内を支配した。
「なんなんだ、お前は!?」
盗賊は逃げ惑うが行き止まりに追い込まれる。僕は立ち塞がって
「面白い魔法使うんだねー。弱いとはいえ両手から雷を出せる、良い魔法だ。」
盗賊は雷を僕に飛ばしてきたが魔力の防御で打ち消した。
「ヒッ…!」
僕は絶望する盗賊の頭を軽い魔力放出で消し飛ばした。
「そんな面白い魔法を持っているのに、こんな悪いことばかりしてたら勿体ない!もっと鍛えよう!あ、もう聞こえないか…。」
残念がりながら僕はアジトの玄関前に戻った。そこには大量の死体が転がっている、もちろん僕が作った物だ。でも1つだけ、知らない盗賊の死体がある。しかも全身に黒い金属のようなブレードが5本刺さっている。
「あれ?この人殺した覚え無いんだけどなぁ…。」
その死体の側に2人の少年少女が怯えながら座り込んでいる。服も顔も汚れていて、監禁の被害者だとすぐに分かった。
「この盗賊、君たちがやったの?」
少女は静かに泣いているが、少年は涙を我慢しながら目を赤くして頷いている。明らかな怯えだ。
「君ってもしかして強いの?まだそこまで成長してる年齢にも見えないけど…。」
「…を、」
「なんか言ったかな?」
一応僕は子供相手に目線を合わせてしゃがんだ。少年は必死に涙を我慢した声で言った。
「妹を守るために、俺がやった…。人殺しした…。」
僕は2人の頭を撫でた。
「頑張ったね、いきなり連れ去られたのによく抵抗したよ。偉い!」
涙を我慢していた少年はワッと泣き出した。安心してくれたならなによりだ。
「とりあえず一緒に来る?一応親くらいなら探してあげられるけど…。」
少年が気まずそうに俯いて、少女が泣き声を抑えて話し始めた。
「私達、親とかいなくて…。捨てられて2人で食べ物を探しているところを攫われちゃって。」
「マジ?じゃあ僕の家来る?別に豪華な家じゃないけど。しかもお腹空いてるでしょ、なんか作ってあげる。」
2人は少しだけ目を輝かせた。
2人の両手を引いてアジトを出た。2人はさっきよりはマシになったものの、まだ不安そうな顔をしている。僕は2人を急いで連れて自分のアジトに戻った。
「パンと米どっち派?」
2人は気まずそうな顔をして立っている。椅子も用意してクッションも用意したのに、座ってくれない。
僕は大急ぎで料理を作った。まあパンに調味料をまぶして軽く焼いた程度の料理だが、それを机に出したら2人は目を輝かせた。
2人はよほど空腹だったのか座ってパンを食べ始めた。
「ゆっくり食べなよ、別におかわりもあるし。」
2人はお腹いっぱい食べて、しっかり
2人の前に座って僕は
「ね、2人は名前なんていうの?」
「『ゼラ』、妹は『ルナ』。」
「良い名前だね。」
この2人に出会ったことで、僕のこれからの人生は大きく変わることになるなんて、この時は少しも思っていない。
イメージする描写を100%文章にするのは難しいです。漫画家みたいに絵が上手に書ける人間に生まれたかったですね。それか魔王シグニス。




