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【資金ショート即敗北】陸自エリートと米軍SEALsの異世界代理戦争。絶対不可侵のボッタクリ村で日雇い農業から始める極限サバイバル  作者: 月神世一


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EP 4

泥と汗のタバコ農園(日米エリートの共同作業)

抜けるような青空の下、じりじりと肌を焼く太陽。

ポポロ村郊外に広がる広大な農地で、日米を代表する最高峰の軍人たちが、迷彩服の上着を脱ぎ捨ててクワを握っていた。

「……なぁ、エリアス。俺たち、なんでこんな泥まみれになってるんだっけ」

力武義正が、額の汗を手の甲で拭いながら虚ろな目で呟く。

「弾を買うためだ。手を動かせ、義正。時給換算で金貨が逃げるぞ」

エリアス・ソーンは無表情のまま、等間隔でポポロシガー(最高級タバコ葉)の若葉を正確無比な動作で摘み取っていく。その動きには一切の無駄がない。

「そうじゃぞ、アメ公。ワシらはお互い『日雇い労働者』なんじゃ。ここで稼がにゃ、夜のメシがまたあの地獄の缶詰になるけえな!」

隣のうねで、坂上信長がタオルを頭に巻き、凄まじいスピードで雑草を引っこ抜いていた。元甲子園球児の足腰と、レンジャー部隊で鍛え抜かれたスタミナが、農業という名の持久戦で遺憾なく発揮されている。

昨日までお互いの眉間に銃口を向けていた両軍のトップ4名が、横一列に並んで黙々と農作業をこなす。傍から見ればシュール極まりない光景だが、彼らの目は真剣そのものだった。

「お疲れ様でーす! 新人バイトの皆さん、調子はどうですかー?」

そこへ、麦わら帽子を被った村長・キャルルと、エルフのルナが冷たいお茶の入ったヤカンを持ってやってきた。

「キャルル村長。タバコ葉の収穫は順調だが、あちらの『野菜区画』の収穫が手付かずだ」

エリアスが指差す先には、大根やカボチャ、そして葉っぱのついた謎の植物が植わっている区画があった。

「ああっ、ごめんなさい! 今日のノルマには『人参マンドラ』の収穫も入ってるんです! ちょうど今からルナちゃんに成長魔法をかけてもらうところで——」

「ええ、任せてください。お野菜さんたち、大きく育ってね♡」

ルナが純度100%の善意と笑顔で、世界樹の杖を振るった。

ポワァァァン! と温かい緑色の光が農地全体を包み込む。

直後——農地が「戦場」と化した。

「ギャァァァァァァァァッ!!」

土の中から、二本足の生えた巨大な人参——『人参マンドラ』が数十匹、耳をつんざくような悲鳴を上げながらスポーン! と飛び出し、猛スピードで畑を逃げ回り始めたのだ。

「な、なんじゃあアイツらは!?」

信長がクワを落として叫ぶ。

「あははっ、元気いっぱいですね! 皆さん、あの子たちを傷つけないように捕まえてくださいね! 傷が一つでもついたら買取価格が半額(金貨0.5枚)になっちゃいますから!」

キャルルが明るく言い放つ。

「買取半額だと……!? ふざけるな、俺たちの弾薬代が!」

義正が顔を青ざめさせ、算盤アプリを握りしめる。

「エリアス! あの人参、時速60キロは出てるぞ! どうする!?」

「問題ない。……ターゲット、捕捉」

エリアスの目が、完全に「スナイパー」のそれに変わった。

彼は心拍数を一気に低下させ、自身の気配オーラを完全に自然と同化させる。

人参マンドラがエリアスの横を走り抜けようとした瞬間——。

『CQC ゴースト・ハイブリッド・テイクダウン』

音もなく滑り込んだエリアスが、逃げる人参の関節(根っこ)を極め、一切の傷をつけずに無力化し、優しくカゴに放り込んだ。

「ワン・ダウン(一つ確保)」

「マジかよ、あの野郎……CQC(近接格闘)を野菜の収穫に使いやがった」

赤城がドン引きする中、信長の闘争心に火がついた。

「舐めるな! 陸自の意地を見せちゃるわい!」

信長が姿勢を極端に低く落とす。古流武術の歩法——『縮地』。

瞬きする間に、信長の姿が逃げ惑う人参マンドラの群れのど真ん中へとワープした。

「北辰無双我流・歩法——『大根抜き』ッ!!」

ズバッ! ズバッ! ズボォォッ!!

信長は目にも留まらぬ手捌きと足捌きで、逃げる人参を次々と「無傷で」引っこ抜き、背中のカゴへと放り込んでいく。刀を振るうのと同じ、完璧な重心移動による収穫作業。

「す、すげえ……! 隊長の無駄のない動き、完全に収穫マシーンっすよ!」

赤城が歓声を上げる。

「エリアス、負けるな! ここで収穫量で負けたら、午後の『PRO型(特製弁当)』を買う資金が陸自に負けるぞ!」

義正がハッパをかける。

「了解した。……本気を出す」

エリアスが残像を残して畑を駆ける。対する信長も闘気を纏って畑を跳躍する。

「オラァ! そっちの人参はワシの獲物じゃあ!」

「甘いな、キャプテン・サカガミ。私の間合いだ」

日米の最高峰の軍人たちが、お互いのプライドと「今日のメシ代」を懸けて、人参マンドラ相手に超次元の格闘戦(収穫作業)を繰り広げる。

泥にまみれ、汗を流し、時にはぶつかり合いながらも、彼らの間には不思議と「同じ過酷なミッションを遂行するチーム」のような連帯感が生まれつつあった。

「ふふっ、軍人さんたち、とっても優秀ですね!」

ルナがニコニコと手を叩く。

「よーし、私も負けずに、もっともっと『ネタキャベツ』や『玉んねぎ』も成長させちゃいますよーっ! それっ♡」

「おいエルフ待て! これ以上増やすな、処理しきれんわ! アホォォォッ!」

信長の悲痛な叫び声は、爆発的に増殖して命乞いを始めるネタキャベツたちの騒音にかき消された。

◆ ◆ ◆

数時間後。

太陽が南の空に昇りきった頃。

「……ぜぇ、はぁ、ぜぇ……」

「……ミッション、コンプリート……」

広場には、山のように積まれた無傷のポポロシガーと人参マンドラたち。

そしてその横で、泥だらけになって大の字で倒れ込む信長とエリアスたちの姿があった。

「お疲れ様でしたー! はい、本日の午前の部のお給料、お一人様につき『金貨2枚』です!」

キャルルから手渡された、ずっしりと重い金貨。

それを受け取った時、信長とエリアスは顔を見合わせ——お互いの泥だらけの顔を見て、ふっと微かに笑みをこぼした。

「……赤城。とりあえず、午後の弾薬代は稼いだぞ」

「はい、隊長! あとは、ニャングルから『PRO型弁当』を買うだけっすね」

理不尽な異世界での、初めての共闘。

疲れ切った彼らは、心地よい疲労感と共に、村の指定された「喫煙所」へと重い足を引きずるのだった。

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