不可解
超能力"ギフト"が全世界に広まった近未来の世界で有り余る力で暴走している人たちを特務機関の仲間たちで全世界を救いに行く
登場人物
識名理岳
紫翠誠
紫翠了
神宮皇
紫翠煌葉
那由多有生
識名智岳
3164年5月10日
ビルのホームを出る。ビルの名前は「政治学問改革ビル」と書かれている
「なんだこの名前。改革と言うより破壊に近いよな」
あまりにも皮肉を込めているとしか思えないビルの名前に顔がひきつる。
識名理岳はビルの名前を事前に教えて貰っていた。「政学特区改革ビル」
この都市を本気で改革するためだけに作られた組織に思える
この都市を運営している上層部の人達は運営されている力に気づいているのだろうか?
みんなの思いをすべて利用…全部吸い取って願いを形にしているこの都市の本当の正体。
ここの生活において不便はあっても不快は全くと言っていいほどに存在しない。
朝は活力のためにいろんな娯楽、コミュニティが形成されて活発に活動できるように整備され、夕方は落ち着くような照明と景観のライトアップやスクリーンに映し出されているような番組は落ち着いたナレーションの声でゆったりと疲れを癒せるような施しがされている。ここの生活で不満を言うものはごく僅かだろう。
今、起こっている狂乱者の通り魔事件は一人の単独行動で間違いはない。ただ知っている人物だと思う。
生活に不満を持っていたのだろうか?それとも何か本人に問題でもあったか?
あの同学年の学生の蛇沼攻視は確かに理岳に対して心ない言葉を言うが、そこまで狂うような力があったのだろうか?
頭で考えていても仕方がない。今はどう捕まえて心の周りに取り憑いている‘’狂乱‘’を取り除くかなんだが、了さんが一つ教えてもらったことがある
『自分にとって正しいと思うことって本当にすごく厳しい言葉や行動になるの。
心に取り憑いている狂乱は心の中の記憶の負の感情みたいに黒い思いでできてるの。だからこの心をどう救うかを考えていけばいい。いつも優しい気持ち。この人が…好きだって言う感情とか…そんな心にある良い感情を思い出しながら探してもらいたいの』
可愛かった…それで救えるなら俺にどんなギフトがいるんだろう?
そう考えながら学業産業区に向かう。学業産業区かー。俺バイトでもするのかなー。
学業産業区。学生や研究者、短期的にお金を稼ぐにはこの区が産業の簡単な軽作業、もしくは自分の時間を使いながら新しい仕事の訓練にこの区を使うことが多い。都市の通貨は自分に対しての投資。居住者は際限なくお金をもらえるし使える。でも生活を謳歌している人に生活水準の高い暮らしは意味をなさないため、どんな人の価値があるかで使える金額も違ってくる。この都市に住まう学生達や都市外の若い労働者は簡単な仕事に従事しながら活躍できる仕事の幅を選択できるようにこの区が活躍している。
利益の7割強はこの区で稼いでいるため、仕事の従事よりも都市の技術を活かした高品質な商品や高い集中力と技術が必要とされる職人のような者達に仕事を与えるという技術習得の訓練をする特色を持っており、案外この仕事に就いて働く方が早期に都市内の‘’目標‘’を達成するスピードが違うのである
内田理岳。仮の名前になるが、これでIDと権限の偽造まであの機関の人達、本気でこの状況打開出来ると思ってるのか?なんで俺なのかも首をかしげている。
学業産業区の食品製造ラインの‘’バイト‘みたいなのだが、どんな事をするのか見当がつかない。自分の仕事は人の人生を振り回してきたような、あまり良い思いを罪悪感に押し潰されてきた。あの胃の迫り上がるような感覚はあまりしたくない。
食品製造…蛇沼はどんな仕事をしているのか。
この仕事は楽だと聞いている。立って製品が作られるのを目視で検品するだけの仕事。でもその仕事はとても簡略化されており、能力に応じた仕事内容。つまりは見た瞬間にその製品が適合なのか、不適合なのかを判別できる目で使う‘’無意識の能力‘’がある。
「うーん。あいつどこにいる?」
仕事の軽い休憩。飲み物を手に取りながら辺りを見渡す。蛇沼が居ない。ここに来ていると誰もが言うが、ここに存在していない。そう感じる。どう言うことかわからないが、ここに来るべきではなかったか。
「ねぇ、蛇沼さんってここにいるよね。」
「うん…。いるけど?」
「ここに週何日いる?」
「うん…。週5日はいるかな」
「そうなんだ。ありがとう。」
うん。どう言うことか分かった。この人たちの気持ちが他のところにいる。何か同じに見えるのだったら。
目に力を入れる。すっと気持ちが冷めていく。目がオレンジの光を追うように色んな糸が見えた。この人たちの‘’意識‘’は…ない。ここに居ない。ここに存在していない。みんなはそこに居るのか?うん、仕事はしていた。なんのためにここにいるんだ?仕事は少ない人数で働いている。週5日にしては人数が多いのか?仕事が楽だっていうことはそういうことなのか?うん、まだ分からない。けどこれは存在している事にならない。幽霊みたいなものかもしれないな。
ここまで考えて目に活力がない従業員を見ていると何か薄ら寒い。それに室温寒過ぎる。もっと着込むべきだった。
了さんにこの騒動、どう扱うべきか伝えて来た。肉体が精神から離れている、発言したら、無言で生姜湯を渡された。疲れていると思われたのか?家庭的だ。
今はしんちゃんのそばでゆっくりしている。しんちゃんはこの頃細かい機械を組み上げる作業をずっと頑張っている。とても小さいパーツを慎重に組み立てる。もうハンマーでガンガン叩くことは無くなった。少しずつなんの箱かは分からないけれど、とても集中している。学校はどうしているのかというとキッパリ退学を告げてきたのだが、達成する為の課題は全部渡してきた。これで単位をください、処理にかなりの時間はかかったけど短期で卒業するわけにはいかないので、今は出席日数だけ来るように午前中で帰っても構わないと言われた。
今一段落したようだ。
「しんちゃん、幽体離脱って信じる?」
「うん、わかるよ。自分が違うところにいる感覚ってたまにあるよ」
「そうか。それじゃあ精神体が人を襲うはすると思う?」
「私はその時に機械直してたけど、少し動きにくかった機械も寝ながら持ったことあるよ。起きたら機械動いてたから。何かはわからないけど気をつけてね。」
「うん。分かった。」
「夢にいる人ってどんな感じに動くか考えたほうがいいよ。心が解放されているから、夢にいたほうがなんでもしやすくなると思う」
「…うん。」
これはどう解決するんだ。夢で動いてる人を助けるって言ったってなぁ。
魂が抜けている、とても怖いことだけど大丈夫なのか?
幽体離脱は色んな要素がありますが、そこにいない人の気配って何であるなんでしょう?
生霊は存在するんだったらこの物語のギフトってどんな扱いになるんでしょう。




