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羽根のかむろをこするわけ ~ 狸と日本舞踊

ようこそのお運びをありがとうございます。


※ 禿かむろ(遊女見習いの少女)をテーマとした舞踊について語っております。

R15の範囲内の表現に留めておりますが、女性の売春についての言及があります。

 こんにちは。狸です。


 月の裏で夜想曲みたいなタイトルの話ばかり書いているヤツです。


 なんちゃって唐風宮廷物語や西洋ものにも挑戦してみる狸ですが、だいたいは着物姿の男がなぜか女舞を踊っているようなお話が多いのです。現代モノ、江戸モノ、どちらもございますよ。


 で。『羽根の禿(ハゲじゃないよ、かむろだよ)』という日舞の踊りを色々な作品で登場人物に踊らせているため、そろそろ月の裏の読者様に「また禿かむろかよ、あの狸、他の踊り、知らねえのかよ」と思われそうな勢いなのですが、これひとえに私自身がこの踊りを見るたびに色々と考え込んでしまうからなのです。


 禿かむろというのは、よく浮世絵やドラマなんかで花魁のそばにくっついて歩いている幼女ですね。幼いうちに遊郭に売られて来て、芸事を学んだり花魁のお世話をしたりして暮らし、十六、七になれば立派な遊女としてお客を取ることになります。


『羽根の禿』とは、その幼い禿ちゃんが、花魁の真似をしてシナを作りながら色里のことを訳知り顔で語り、パタパタせわしなく花魁のお世話のお仕事に励み、やっと貰えたお正月の自由時間に羽根つきや鞠つきをして無邪気に遊ぶ。この姿に萌え転がりつつ、少女の健やかな成長を新年らしく祝い願う舞です。


 はい、これ、素直に「可愛いなぁ〜」って萌えていていいのか? この禿かむろちゃん、無事、美人なうえに芸事にも秀でた素敵な女性に成長した暁には、花魁になって、そんでもって性病か中絶の失敗とかで二十歳頃には浄閑寺(投込寺)逝きだろ? そして、これがお稽古会での幼稚園〜小学校中学年向け人気演目だ。それでいいのか、日本舞踊!


 いや、しかし、この舞はですね。媚と無邪気が見事に同居していて、とても可愛いのです。衣装も真っ赤な振袖。しかも小さな鈴までもが綺麗な紫の紐で袖口にぶら下げられていて、幼い遊女の卵がちょこまかするたびにチリリと音を立てる。


 なので、私はこの踊りに接する際は、令和の倫理観は忘れて江戸人になることに決めています。儚い宿命を背負っているからこそ、「羽根の禿」の少女は愛おしくて切ないのです。

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