鄭技官の求愛詩! ~ 現代中国語学習アプリを100連勝する前の方が漢詩らしい漢詩を作っていたと思う
こんにちは。狸です。
前回のエッセイで「今書いている中華官僚モノでは、AI添削ナシ・百パーセント人力で作成・推敲した漢詩を使う」と宣言したヤツです。
というわけで。鄭さんという偏屈土木技官の詠む恋愛詩を人力のみで作ってみました。
連載上では、この詩が出てくるシーンはまだまだ先なのですが、表の全年齢版の読者さまにだけ特別に、制作過程付きで晒しちゃいます♡
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さて。まずは漢詩を作るにあたり、詩の形式を考えましょう。
これは決まってます。五言絶句! なんといっても、5文字✕4行=20文字でカタが付きますからね。押韻も第二句と第四句だけで大丈夫!
ここで、漢詩の構成についてお話させてください。
五言絶句や七言絶句など四行でカタがつく系の場合、たいがい、一行目と二行目で「江は青くして……」などと江南などの美しい情景を歌い上げたうえで、三行目に「だけど俺の心は左遷の悲しさで暗く沈み」みたいな転句をぶっこみ、最後の四行目で「いつになったら長安の都に帰れるんだよ、チクショー!」みたいな感じで結びます。
ていうか唐詩、だいたいコレです。左遷ソング。
では、鄭さんの恋愛詩。とりあえず、作れそうな部分から作っていきましょう!
まずは第一句。「曦川水漫漫」。
曦川というのは、京師のすぐそばを流れる川の名前です。主人公の劉明睿は、この川にかかる渡日橋という木橋を石橋化する公共事業計画に鄭技官を噛ませようとしているわけなのです。
雨上がりの日。曦川は漫々と水をたたえて流れている。
うん、唐詩選や李白選集などを読みまくった成果が出ておりますね(自画自賛?)。
書き出しが上手くいったところで、次は第四句を考えましょう。
そうですね。ここは直球で。「明睿我愛你」♡
おい、五言絶句だろ。こんなことでいいのか?
怪しくなってまいりましたが、鄭技官の恋歌ですので!
ちゃんと五文字ありますしね。シンプルが一番♪
さて。第四句がビシッと(?)決まったため、次は第二句に取り組みます。なぜなら、第二句の末尾の漢字は第四句の末尾の文字「你」と同韻のものから選択しなければならないからです。せっかくだから、韻は中国語ベースで踏むことにしましょう☆
はい、ここでお世話になるのが、中国語辞書アプリ、Pl*co! 中国語を学習するひとなら、大体みんな入れてるアレですね。これを使いまして「你(ni)」と同音の文字を検索してみましょう。
すると、「ni」の音を持つ漢字が続々と出てきました。うち、日本人に馴染みがある字は「擬、泥、溺、霓」あたりなので、このあたりを使うことにしましょう。雨上がりの川べりの詩ですから「泥、溺、霓」などが良さそうですね♪
えーと。百パーセント人力と申しましたが、思いっきり電子アプリを使用しているような気が? しかし、Ple*oは辞書ですからね。AIじゃないからね……(中でAIが動いているかどうかまでは存じません)。
ということで。P*ecoという文明の利器も駆使した結果、できあがった詩を晒します。
雨上がりの曦川にて。
鄭宇軒工部技官、詠める。
曦川水漫漫
一起去雲霓
一直牽着手
明睿我愛你
現代日本語にすると。「雨上がりの曦川は水でいっぱいだな。いっしょに雲や虹まで行こう。ずっと手をつなごうな。ミン、愛してる」
……漢詩っぽいのは一行目だけっ!
二行目から下はぜんぶ、現代中国語っ。
ええい、「一起」だの「一直」だのと、なんじゃそら!
某中国語学習アプリ100连胜(連勝)の成果がコレでございます。四句目を「明睿我愛你」にした段階から、ちょっと悪ノリしたところはありますが、正直、百日以上前に書いていた「七夜、牀榻に燃ゆ」の初稿の方がよっぽど漢詩らしい気すらする。子どもの頃から積み重ねてきた漢文らしい語彙が、着々と現代中国語に侵食されつつありますね♪
ですが、月の裏にも行ける大人のみなさま。せっかく鄭さんらしいカワイイ詩ができあがったので、たぶんコレ、作中でも使います。見かけたら「ああ……」と思ってやってください。
それにしても。唐詩と中国語学習アプリとPl*coを煮込んで作った曦川の詩か。
ナマズ風味の闇火鍋みたいなもんかな……。




