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僕の藤の花へ ~ 漢詩の相聞歌をチャッ◯ー老師に添削してもらった過程を晒す

 チャッ◯ー老師に漢詩の相聞歌を添削していただいた過程を晒す前後編。


 今回は第一弾の返歌。科挙落ちて宦官となった玄迅げんじんの誕生日祝いに、志遠しおん陛下が超高級墨とともに贈った五言絶句です。


 前回はホメられつつも三句と四句はボッコボコに直されておりましたが、今回はどうだ!?

 まずは、今回の詩の背景情報!


 五十を超える夜をともにしてきた志遠陛下と玄迅。ですが、陛下の心は乳兄弟の武官・望舒ぼうじょに、玄迅の心は初恋の正妃さまのところにある。身体だけが激しく交わり合う恋に疲れた玄迅が離れていくことを恐れて。陛下は誕生日の贈り物にいつかの返歌を添えて渡します。ふたりが熱く燃え上がっていた頃のことを思い出してもらいたくて……。


 と、いうことで。またヘボヘボと詩を書いてみて、チャッ◯ー老師のところに貼り付けてみましょう!



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「老師、漢詩のご相談です。


誕生日に白梅を贈られた佳人が、藤の揺れる頃に生まれた恋人の男に贈る詩です。佳人は望舒という名の別の男性に想いを残しているのだろうと、藤の男から疑われています。


藤の花は牀榻に掛かり

白梅は郎に添う

君の心はなぜ揺れる?

月は遥か遠くにあるのに


上記の意味になることを目指して、ヘボヘボと書いたものがこちらです。


紫藤掛牀榻

白梅添雄郎

汝心何為揺

月在天回廊


二句と四句の脚韻を踏むために、四句が変なことになってる気がする……。二句も「郎君」とかの方が素直な気はしますが。


意味が通るかを中心にご添削をお願いします。」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 上記が、狸が老師のところに貼り付けた文になります。

「望舒」とは、中国の「月の使者」の名前。つまり、「月」イコール「別の男」ですね。


 この詩で、特に自分で気に食わなかった点は二句の「雄郎」と四句の「回廊」! 韻を踏むために無理やり押し込んだのです。本当は、二句は「郎君」、四句は「天涯」にしたかった!


 以下、老師からの返信です。

 今回も【カッコ】内は狸のツッコミになります。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


これは面白い設定ですね。情景・人物関係・象徴(梅・藤・月)も唐詩的でとても良いです。では意味が通るか・漢詩として自然かを中心に添削します。


まず、あなたの原案:


紫藤掛牀榻

白梅添雄郎

汝心何為揺

月在天回廊


結論から言うと、意味は通じますが、漢詩語として少し不自然なところがいくつかあります。


特に「雄郎」「何為揺」「天回廊」。


このあたりが漢詩語彙として少し現代作文っぽいです。

【気に食わないまま取り合えず漢字押し込んだ箇所、見事に全滅ですやん】


順番に見ていきます。


---

一句目


紫藤掛牀榻


これはかなり良いです。


紫藤 = 藤。掛 = 掛かる。牀榻 = 寝台・ベッド



とても漢詩っぽい語彙です。

ただし「牀榻」はやや硬いので、詩では「牀」「榻」「簾」「床」「帳」あたりもよく使います。


でも 牀榻 OK です。


【七夜、牀榻ベッドを燃やす詩への返歌ですから。牀榻で行きましょう!】


---

二句目


白梅添雄郎


ここが一番気になります。【ですよね!】


雄郎


これは中国語としてほぼ言いません。【そっかあ!】


なのでここは、白梅添郎君 または 白梅伴郎君 の方が自然です。


「添」は悪くないですが、詩では伴の方がよく使われます。


なので、かなり自然になるのは:


白梅伴郎君


---

三句目


汝心何為揺


意味は分かりますが、漢詩では少し口語っぽいです。【そうなの!?】


よくある詩の言い方は:「君心何揺」「君心何動」「君心何疑」「何事君心揺」


「何為~」はやや散文っぽいです。【へー】


五言に整えるなら「君心何自揺」「君心何故揺」「君心因何揺」。


このあたりが漢詩っぽいです。


特に「君心何自揺」

綺麗です。


---

四句目


月在天回廊


これは意味が少し取りにくいです。


あなたの意図は


> 月は遥か遠くにあるのに(=望舒のこと)ですよね。


それなら漢詩ではよく「月在天涯」「月在青天」「月在高天」「明月在天」などを使います。


特にいいのは、月在天涯


これは漢詩表現としてかなり自然です。


---

添削後 詩案


かなり自然な漢詩に直すと:


紫藤掛牀榻

白梅伴郎君

君心何自揺

月在天涯雲


または五言絶句として整えるなら:


紫藤掛牀榻

白梅伴郎君

君心何自揺

明月在天涯


これ、かなり漢詩っぽいです。


---


意味の確認(あなたの意図)


詩の意味を整理すると:


1. 藤の花は寝台に掛かり(=あなたの季節)


2. 白梅はあなた(郎君)に寄り添う(=私はあなたのそばにいる)


3. どうしてあなたの心は揺れるの?


4. 月(望舒)は遠い空にあるのに


とても唐詩的な構造です。


1句:景


2句:人


3句:感情


4句:比喩・結論


完璧に漢詩構造です。


---

さらに唐詩っぽくするなら(上級)


少しだけ詩語を寄せると:


紫藤垂錦帳

白梅伴郎君

君心何自揺

明月在天涯


垂錦帳(錦の帳に垂る)

かなり唐詩感が出ます。


---

個人的に一番好きな完成形


私ならこうします。


紫藤垂錦帳

白梅伴郎君

君心何自揺

明月在天涯


意味もあなたの意図にかなり忠実で、創作に出てきても違和感ないレベルです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 ……はい。いちいちツッコむの、止めておりますが。

 

 ええい、チャッ◯ー老師! 今回も二句と四句の押韻、まる無視したねっ!

 押韻しなくてもいいなら、こんな苦労せんっ。

 「郎君」とか「天涯」とか、好きに書くわい!


 ということで。返信をペタっと貼り付けます。

 AIが私を褒めるなら、私もAIを褒め殺しますよ、ええ……。


「素敵な詩句をありがとうございます。

そうなんですよ、『天涯』使いたいんですよね。

しかーし! 4句と2句の韻!

これがすべての邪魔をするのだっ!」


さあ、老師。なんと返事する?



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


分かります、その苦しみ。【ホンマか?】

意味・人物関係・象徴・韻——漢詩創作はこの4つの戦いですね。


そしておっしゃる通り、**二句と四句で押韻**が最大の制約になります。

【自分、しょっちゅう、サラッと無視するやんね?】


今の流れを整理すると:


紫藤(藤)

白梅(梅)

心揺れるな

月は遠い(望舒)


そして

2句「郎君」→ -un 韻

なので4句も -un 韻 にする必要があります。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 えーと。ここから老師、-un 韻の漢字を山程出してきてくれたのですが、あまりにも長くなるので省略します。


 あと、老師提案の「君心何自揺」の「君」。


 これ、私も使おうか悩んだ末、「汝」にしたんですよね。


 ということで、老師に尋ねてみましょう。



「ところでひとつ気になるのです。

「君心」だと「君主の心」っぽくないですか?」



 その答えがこちらです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


いいところに気づきました。【でたよ、定型文!】

結論から言うと、「君心」は文脈によっては君主の心にも恋人の心にもなります。

漢詩ではどちらも普通にあり得ます。


ただし、恋愛詩の場合は少し注意があります。


---

漢詩の「君」は主に3種類あります。


君    意味


君主   王様

あなた  二人称

あの人  想う相手



恋愛詩ではむしろあなた」や「想う人」 の意味で非常によく使われます。


有名な例:


願君多采擷(王維)


勸君更盡一杯酒(王維)


君問帰期未有期(李商隠)


全部「あなた」です。君主じゃありません。


なので

白梅伴郎君 → 君心

同じ人物を指す流れなら普通に通じます。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 事例を引いていただき、よくわかりました、老師。

 だが、皇帝から宦官愛人に贈る詩ですからね。「君心」は紛らわしいのだよ!


 結果。この詩はこんな形に落ち着きました。


  紫藤掛牀榻

  白梅伴郎君

  郎心何自揺

  明月隔重雲


 紫藤きみ牀榻ベッドにからみつき、白梅ぼく郎君きみの胸に寄り添っているというのに。きみの心はなぜ揺れるのだい? ぼうじょは雲をいくつも隔てた遠くで勝手に光っているのにね?


 陛下が玄迅のことを「僕の藤の花」扱いしているのは、玄迅が藤の花咲く頃に生まれたからですが、皇帝と正妃に絡みついて咲き誇る宦官としての生き様を揶揄しているところもあります。


 肉体だけが先行する泥沼恋愛。さて、その行方は……。

 というわけで。

 「科挙宦官」では、こんな感じでチャッ◯ー老師に漢詩を添削していただきました。


 漢詩の書き方を教えてくれるような貴重なひとには、なかなかリアルでは出会えません。


 その気になれば、なんでも学べる。いい時代になったものです。


 とはいえ、AIですからね。言わないと押韻をスルーするなど、おちゃめなところもあるのです。


 いつか、老師にペタッと貼り付けても、ぐうの音も出てこない漢詩を書く。それが私の野望です!

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