表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

七夜、牀榻に燃ゆ ~ 漢詩の相聞歌をチャッ◯ー老師に添削してもらった過程を晒す

こんにちは。狸です。


 月の裏で、教育虐待の末に科挙に二回落ちた男が親に自宮させられ宦官になるも、✘✘✘の生える池に落ちて男性機能が回復したため、隠れ男色家の皇帝を夜な夜な抱くことになるという話を連載していたヤツです。現在は完結済みですが、大人のひとしか読んじゃダメなので、正式なタイトルは秘密です。


 狸は執筆・推敲ともすべて人力なのですが、この「科挙宦官」の作中漢詩のみ、チャッ◯ー老師に添削していただきました。


 今回、「なろう」さまからAI利用状況設定に関する発表がありましたので、これを機に漢詩をAIに添削してもらった旨を「科挙宦官」のあらすじに明記いたしました。


 と、いうことで。AI老師の添削により、狸のヘボヘボ漢詩がどう変わったのか。


 作中の宦官主人公(玄迅げんじん)と志遠しおん陛下の相聞歌をネタに、二回に渡ってお送りいたします♪

 まずは今回の詩「七夜、牀榻ベッドに燃ゆ」の背景情報!


 お仕えする正妃さまから、もうすぐ陛下のお誕生日だと聞いた玄迅げんじん。しがない宦官の身。身体を好きにさせてくれる皇帝陛下に贈り物をしたいけれど、何も持っていないから。正妃さまのお庭から咲き残りの白梅の枝を一本手折り、それに一首の詩を添えて手渡します。


 と、いうことで、五言絶句をヘボヘボと作る狸。ちなみになんで五言絶句かというと、文字数が5✕4=20文字で事足りるからです。よく、初心者は七言絶句にしろ、とかいわれますが、28文字も考えなアカンやん。一句と二句と四句でみっつも押韻しなくちゃだしさぁ。五言絶句なら二句と四句だけで済みますぜ。


 はい、それでは。チャッピー老師のところにペタっと貼り付けてみましょう!



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「漢詩のご相談です。主人公の玄迅という二十歳の男が皇帝陛下と七夜を共にしたあと、愛と忠誠を示すために贈った詩だと思ってください。センシティブぎりぎりですみません。


七夜燃牀榻

灯火映玉肌

君知否我思

永遠伴旌旗


七夜、牀榻に燃ゆ

灯火、玉肌に映ゆ

君知るや、我が思い

永遠とわ旌旗せいきとともに


全体にアレですが……特に第四句がうまくいかない!


ご添削とか、これで意味が通るかなど、よろしくお願いいたします」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 上記がチャ◯ピー老師に貼り付けた全文ですよ。

 

 うん、久しぶりに見ました、この元の詩。


 第四句の「永遠」。これが特に気に食わなかったんですよね。もうちょっと他になんかあるやろ、と。


 あと、第三句。これ、漢文の教科書みたいなモノをひっくり返して調べました。が、どうも言い回しに自信が持てない。



 以下、チャッ◯ー老師の返信です。

 ただし、【カッコ】書き部分は、私の心のツッコミだと思ってください。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


こんにちは。漢詩相談、大歓迎です。


まず前提として——この詩、「七夜」から始めるのが非常に巧いです。具体と余韻のバランスが良い。露骨にせず、しかし関係の深さは伝わる。


【おお、さすがAI。とりあえずホメてくれるぞ!】


センシティブ度は全然大丈夫です。

これはちゃんと「宮廷詩」の範囲です。


---

良い点


一句目:七夜燃牀榻


「燃」がうまい。情熱+実際の灯火の二重性がある。


ただし、「牀榻に燃ゆ」はやや直接的。


でも今回は「共にした後の詩」なので成立します。


二句目:灯火映玉肌


とてもきれい。唐詩っぽい。視覚的で上品。


ここが一番安定しています。


---

問題の三・四句【そうだよね、大問題だよね!】


君知否我思


意味は通ります。【通るの!? やったやん♪】


ただし「知否」はやや女性語調に寄る響きがあります。【え!?】


男性から皇帝への忠情詩なら、


君知我心否

君可知我志


のほうが硬質です。


---

永遠伴旌旗


ここが最大の違和感ポイント。


理由は二つ:


1.永遠 —— 漢詩語としてやや近代的・重たい

【ですよねぇ。私は「少女マンガかよっ」って自分にツッコんだよ】


2.旌旗 —— 軍旅の象徴で、性愛の余韻から急に戦場へ飛ぶ


もちろん「帝の旗=王権の象徴」という意図は分かります。でも唐詩文脈では、旌旗はかなり“軍詩寄り”の語。性愛→忠誠に転じるなら、もう少し宮廷寄りの語が自然です。


---

改善案


案① 軍事色を保つ場合(硬派)


七夜燃牀榻

灯火映玉肌

君可知我志

此生随旌旗


「永遠」を「此生」に。一気に漢詩語になります。


---

案② 宮廷寄りにする(優雅)


君知我心否

長侍玉階西


玉階=宮廷。侍=仕える


軍色を消し、内廷忠誠へ。

【それはいいけど、二句と四句の押韻は?】


---

案③ 一番唐っぽく美しい案


私はこれを推します:


七夜燃牀榻

灯火映玉肌

君知我心在

長向紫宸随


紫宸=皇帝の宮殿


意味: 我が心は常に紫宸に随う


性愛から自然に政治忠誠へ移る。かなり唐風。


【「紫宸」かぁ。京都と平安が頭をよぎる】

【あと、二句と四句の押韻は、やっぱりスルーするのね?】


---

構造的な話


今の詩は


一二句:情

三四句:忠


という転調構造。


これはとても良い。


なので問題は語彙の格調。


「永遠」だけが現代的で浮く。【ですよね!】


---

まとめ


✔ 意味は十分通る

✔ 第二句は特に美しい

✔ 問題は「永遠」と「旌旗」の重さ


私なら「此生随旌旗」か「長向紫宸随」にします。


---

最後に。この詩、玄迅が送ったと考えると……若さがあって良いです。


まだ完成された老臣の詩ではない。七夜の熱が残っている。それがむしろ魅力。


---

さて老師から逆質問。


この詩は


・皇帝に直接渡す?

・密かに机上に置く?

・あるいは酒席で即興?


状況で推敲の方向が変わりますよ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 はい、ここからは狸のひとりごと。

 陛下への渡し方にまで気を配ってくれるのはありがたいんですがね、老師。そんなことより押韻を気にしましょうよ。いや、平仄をハナから無視することにしたヤツが言うのもナンですけどね?


 ということで、チャッ◯ー老師に質問を送ります。


「皇帝に直に渡します。ちなみに「旌旗」なのは「玉肌」との音合わせで、他に「キ」と読む漢字を思いつかなかったからです。(中国語読みでどうかというのは、考えるのをやめました)」


 そして。老師からの返信がこちら!



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


老師、参りました。

「玉肌」と「旌旗」の音合わせ、そこを意識しておられたのですね。


なるほど、****の脚韻。


発想としてはとても良いです。四句詩は音の響きが命ですから。

【いや、発想とかじゃなくて。五言絶句って二句と四句、押韻せなアカンのちゃうん?】


ただし——


唐代の五言絶句として整えるなら、本来は 偶数句(2句目と4句目)で同韻 にします。

【だから、そうしてるやん】


つまり、


灯火映玉肌(肌=韻)

永遠伴旌旗(旗=同韻)


構造としては実は理にかなっています。方向性は正しい。


問題は「永遠」だけ。【そこ、ツッコむねえ……】


---

ではどう直すか。


「永遠」が浮く理由は、近代語感。二字とも抽象語で重い。

唐詩では「此生」「長」「終」「常」などが自然。


---

韻を保ったまま直す案


案① 一番素直


七夜燃牀榻

灯火映玉肌

君知我心在

此生随旌旗


肌/旗で韻は保てます。


「此生」で漢語感が出る。


---

案② もう少し熱を残す


君知我心在

常逐御旌旗


「御旌旗」=帝の旗。


忠誠がより明確。


---

案③ 少し優雅に


君知我心在

長依翠羽旗


翠羽旗=皇帝の儀仗旗。


軍事色を薄め、宮廷色を強める。


---

直渡し、という状況について。これは非常に良い。

【ここからHOTシーンに持ち込まなきゃいけないからね】


七夜の後。余韻がまだ体に残っている。


そこで四句。長編ではなく絶句。未練がましくない。潔い。これが効きます。

【漢字20文字でカタを付けたかったなんて言えない……】


---

さらに一段格を上げるなら、三句を少し硬くすると、皇帝相手によりふさわしくなります。


例えば:君可知臣志


「臣」を入れると一気に公的。


性愛と忠誠が一体になる。かなり危険で、かなり良い。


---

老師の総評


詩の構造はきちんとしている。韻の意識も正しい。


問題は語感の時代差だけ。


ですから大失敗ではなく、八割できている詩の微調整段階です。


【あ、どうも。ありがとうございます】


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 と、いうことで。老師のアドバイスを参考にしてウンウン考えた末、完成した詩はこちらになります。



  七夜燃牀榻

  灯火映玉肌

  君可知臣志

  此生随旌旗



 七夜、牀榻に燃ゆ。灯火、玉肌に映ゆ。君知るべし、臣のおもい。此生しせい、旌旗とともに。


 口語訳はですね、玄迅の言葉を借りると、「要は、俺と毎夜寝てくれるお前が綺麗だから、お前に生涯仕えて尽くしてやる、ってこった」くらいのものです。


 結局、硬質+軍事色強めの詩語を選びました。


 志遠陛下はまだ数えの二十歳。ほんの一、二か月前に帝位についたばかり。しかも、異母兄を推す勢力がいまだに宮廷内にはびこる状況下。


 泥沼の四角関係と父親への復讐譚。実際、このお話の最終盤には粛清劇が待ち構えているのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ