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絶えず燃え盛る

男の子視点です。


 「坊やのお陰で無事港町に着けたのさ。礼はとびっきり弾むさ!」


 港町に入る前、大きな石造りの門の前で、男が俺の肩を掴みニィと笑った。癖のあるその笑い方に、俺は終始警戒心が解けなかった。

 「いや、俺は川を教えただけだから」

 彼女を残してきた街の隣街に無事たどり着いたことは良かった。

 問題は街の名前と雰囲気で、本来目的にしていた街とは違う街だと気づかれる可能性がある。それに、俺もこの街に来たことは初めてだから、街の案内や宿屋、酒場の場所を聞かれたらおしまいだ。

 できれば門をくぐる前に別れたいところだったが、街が違ったことに気がついた彼らが彼女のいる街に向かう可能性もある。

 彼女の行動範囲がそこまで広くないにしろ、どこかで鉢合わせる可能性が一等高い。


 「そんな連れないこと言うなよ、坊やのおかげで辿り着いたんだ。酒ならいくらでも奢るぜ」

 「そうさそうさ!オレもいくらでも付き合うさ!さぁ、早速酒場に行くのさ!」


 男が今にもどこかに向かって走り出そうとしたとき、馬の手綱を握っていたオジサンが男の首根っこを掴み「まずは宿と紹介所だ、バカ小僧!」と叱咤した。

 毎度知らぬ街に着くと同じことを繰り返しているらしい。男は遠くに見える酒場の看板をじっくりと眺め、惜しみながら仕方無しにとオジサンの後ろを着いていく。

 俺は「知り合いに会ってくる」と嘘をついて、その商団から離れた。ずっと一緒にいては何かを聞かれたとき答えることができない。

 商団と離れたあと、彼らが荷をおいて宿の戸をくぐるのを確かめてから、俺は一目散に離れた。


 街の端まで走ってから高台を探し、またそれを目掛けて走る。

 人目が付きそうな時も気にせず走る。無闇に走るわけではなく、目的地に向かって走ることはそう珍しいものに見えない。

 街の大きさは前いた街よりも広い。大通りに出れば地面には石が敷き詰められている。少し外れた小道でも、怪しい大人が屯していることはない。

 高台に辿り着けば、見張りがいないことを確認して早々と駆け上る。動悸も足の震えも投げ捨てて、とにかく登る。途中、階段や梯子が交互に変わり、上に登れば登るほど雨水にさらされ脆くなった箇所が目に入る。それでも、息も絶え絶えに登りきれば、街一体を見下ろすことができた。

 肩が大きく上下する。頭がグラグラガンガンと歪むように痛み、心臓がはち切れるんではないかというほど大きく鼓動する。

 喉に血が伝うような感覚がし、咳でもすれば血反吐が出るのではないかと思った。しかし、咳をすれば確実に喉の痛みが広がり、数時間と話せなくなる予感が歪む頭の中で浮かぶ。鼻で呼吸するにも、口でするにも喉が痛む。

 ツキリツキリと心臓以外の場所が痛みを感じだした頃で、今はそれどころではないと震える足を叩いて俺は立ち上がる。

 眼下に広がる広い街並み。海も川も視界に入るこの壮大な景色を、俺は見たことがない。

 足元がふらつくと思えば視線を落としそうになって慌てて上を向く。頭がふらついているのだ。

 深呼吸を何度も繰り返し、いつまで待っても治まらぬ動悸に目を瞑る。そうしてもう一度、目の前に広がる街景色を見下ろして、その先の道や店構えなんかに目を凝らす。

 街の入口、大通り、曲がった小道、陰ある細道。

 商団等が入った宿、大きな看板を持つ店、ひっそりと佇む小店。

 浜の方には以前の街ほど大きくない船が何隻が並んでいる。

 人の行き交う場所。逆に人を寄せ付けぬ場所を、目を凝らし何度も確かめる。

 その中で、一つの荷車を見つける。老人と幼い少年。

 荷車の向かう先には身なりの整った立派な佇まいの紳士が見えた。

 俺はそれを確認してすぐ背後の梯子を駆け下りる。階段を何段も飛ばして駆け下りれば、登っていたときよりも更に早い時間で地上に降り立った。

いつもお付き合いくださりありがとうございます。


少しでも面白い、続きに期待を感じて下されば、ご気軽に評価コメントしていただけると嬉しいです。

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