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第28話 囚われし獣

 「この音は....まさか....!?」

 リドルは急いで牢の方へ向かうとその光景に絶望する、牢から出始める怪物達、刺激臭と唸り声、金属音が不快の絶頂へと誘う、リドルは思わず後退りする、何もできない、変えることのできないそれをリドルは見ることしかできないのである。

 振り向くと王は笑っていた、それはとても満面の笑みで、その時に見たその顔は、最も穏やかで....最も邪悪であった。


 「お前...何をする気...?」

 「何を....そうだな、貴様らを滅殺することだよ」

 王は悪びれる様子もなく言うと人差し指を立てて腕を上に挙げる。

 「この怪物が亜人の正体だと、そう噂を流すだけでね」

 「そんなのを誰が信じるって言うんだよ!!」

 男は銃を王に向けるが王は続ける。

 「そんなことをしても無駄だよ、変わらない、いつもそうだ、言葉を疑おうとしない、一つのものを盲信し続け、騙される、まさに固定観念に囚われし獣、サーバントビーストこそが人間なのだよ」

 そしてその時、天井は崩れ始め、空が見え始める、王は瓦礫の山を登り始め、男は銃を撃つ。

 「ファイア!」

 銃弾は王に向かって一直線に飛ぶ、しかし銃弾に当たるその直前に、王は銃弾を躱わす。

 「ここまでのようだな」


 「クソッ....待てよ!!」

 男は王を追いかけようとするがリドルが止める。

 「待ってよ....今はそれよりも」

 「あいつを放置しろって言うのかよ!?」

 男はリドルの手を突き放すがリドルは強張った表情で言う。

 「今は怪物にされたみんなのことだよ...このままじゃ僕らはもちろん、街の人も、仲間も、軍人達も、みんな死ぬことになるんだよ」


 「でも怪物達は全員...瓦礫に潰されただろ...」

 男は瓦礫を指差すがリドルは走る。

 「急いで....! まだ生きてる!」


 二人は急いで皆の元へと走る、そしてそのすぐ後、瓦礫の中から怪物達が次々と現れるのであった。

 奇形と化した巨大な化け物、それはまさに悪魔や鬼とも呼べる姿で二人の元へと走り出すのであった。





 ルールだ


 変えるな


 諦めるな


 疑うな


 それだけでいい、それだけでいいんだ


 「キール!!」

 ルイーゼはコールの腕に自身の髪を巻き付けようとあてがう、コールはすぐに後ろに下がると同時にルイーゼの腹を蹴り飛ばす。

 「ぐ....」

 ルイーゼはその場にへたり込み、キールはようやく呼吸をすることができ、息をすることで頭が侵されていた。


 コールはルイーゼの目の前まで距離を詰めると顔を蹴り飛ばし、頭を踏みつけると同時に胸からナイフを取り出すとルイーゼの首元にナイフを突き刺そうとしたその時、キールはコールの足を引き、体勢を崩させる。


 「ルイーゼ.....逃げろ....!」

 キールはコールに向かって体当たりをするとそのまま掴み掛かるがその瞬間にコールの腕が顔に触れる。

 「模倣」


 コールはキールの腕を掴んで後ろへと投げ飛ばすとルイーゼを蹴り飛ばすがルイーゼはのけぞりながらも髪をコールの足へと巻き付けると放電を行う。

 コールは避ける暇もなく、全身に雷が流れる、激痛が走り、視界は鈍る、痛みは感覚を鋭敏にさせる、だがそれでもコールは止まらなかった。

 「うあああああああ!!」

 コールの咆哮は痛みによるものか、果たして気付けなのか、白目を向き意識すら危うい、だがそれでも攻撃をやめようとしない、コールはナイフを取り出すとルイーゼの胸元を切り裂き、血が流れる、ルイーゼは傷口を手で押さえるが止まることはない、コールはナイフをルイーゼに向かって突き出そうとしたその時、キールは縄で首を絞める。

 「クソッ...止まれ!!」

 呼吸もできない、意識もない、だが抵抗することもなく、ルイーゼへ追撃を続けようとしていた。

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