第27話 失ったものの価値とは
目の前で起こるその死は、今まで見てきた同胞たちでもない、沢山の死で苦しくなった、自分の判断で沢山の人が犠牲になった。
行進のときも、襲撃のときも、俺のせいだ、俺のせいなんだ、俺が全部悪かったんだ....なのにどうして、肺の奥に空ができたような感覚、そして目から涙が流れる、どんなに抑えようとしても、どんなに拭き取っても涙が止まってくれないんだ、俺にとって沢山の仲間の死よりも、たった一人の死で泣いてしまうなんて...きっと俺はクズなんだろう。
「..........フィリア?」
リドルはフィリアの白骨死体を抱きながら声をかける、まるで些細なことに気づいたかのような疑問の声、首を傾げ、フィリアを揺らす、男はリドルを慰めようと肩に手を置き声をかける
「リドル....フィリアはもう...」
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「何言ってるの、フィリアが声をかけても反応してくれないんだよ」
リドルは心配そうな顔をして男に言うと少し黙り、リドルの顔を覗き込む。
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「リドル...確かに心苦しいかもしれない」
男はリドルを諭そうとするがリドルはとぼけた顔をする
「どうしたの? 急に」
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「だけど...現実と向き合わないと....!」
男は泣きそうになりながらリドルに言う、その顔は同情からくるものか、しかしリドルにはわからない。
「あー、もしかして何かやったかな...?」
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フィリア、そろそろ起きてくれよ、白い肌に華奢な身体、軽くて、冷たくて....なのに...すごく重い....なんだよ、なんなんだよコレ....嫌だ...イヤダ? 俺はさっきから何を
その時だった、痛い、なんだ? 頬が痛い、ヒリヒリする、俺の感覚だ、さっきまで心地よい気分だったのに...なんでこんな痛いんだ...? そうか、コイツが殴ったのか、酷い、なんでこんなことを...俺が何か——
その時、リドルの目にはようやくソレは目に映った、幻覚か自身を疑った、信じていたくなかったのであろう、リドルはソレを認識してしまい、自身を嫌悪し、怒りと悲しみを、その感情の起伏を、リドルは自身の心臓の鼓動と共に感じるのであった。
「あああああ....ああああああ!!」
声にもならないような嗚咽にも近い叫び、心が痛い、淋しい、自分が殺してしまったと、ただその現実に、リドルは感情のままになるしかなかった。
しばらくリドルは黙り続けるとゆっくりと立ち上がる、たった数分、だが体感では何日、何ヶ月、それほどまでに長い時間をリドルは感じた、全身に走る電撃の痛み、だがそれすらも痛みにならなかった。
その喪失感を味わいながら、憎しみを増幅させる声がするのであった。
「可哀想に、彼女はそなたのせいで死んだのだよ」
リドルが振り向くとそこには王がいた。
「ふざけるな...ふざけるなよ....お前のせいだ...お前のせいで...!」
リドルは感情に任せて王へ飛び込もうとするが男は止める。
「リドル....落ち着け!!」
息がおさまらない、殺してやりたい、完膚なきまでに、こんなやつ、こんなやつ、絶対に——
「リドル...落ち着けって...言ってるだろ?」
男はリドルの目を腕で隠し穏やかな声でリドルに言う。
「ゆっくりでいい、冷静になろう、冷静にだ...」
リドルは呼吸をゆっくりと吐くと大きく吸う、埃っぽい汚い空気、だがリドルを落ち着かせるにはそんな空気でも十分であった。
「ごめん...やっぱり俺ってダメだね」
男はリドルから腕を外すと発する。
「気にすんな、ここからだ」
王はゆっくりと二人の元へ歩いて近づこうとし、二人は距離を取る。
「俺らはあんたが気絶しているうちに鍵は奪った、もうお前を相手する理由はないんだよ」
男は鍵をちらつかせると王は笑う。
「いいさ、もう必要はないのだからね」
疑問が脳裏に浮かんだその瞬間に地下全体に金属の軋む音が鳴りだすのであった。




