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第25話 魔力結石を応用した化学兵器

 「...みんなは本当に...大丈夫かな」

 リドルが俯きながら言うと男はニコリと笑う。

 「弱気になってどうするんだ、心配ごとは気にしないでいい、その時はその時だ」

 「そうだね」


 そうして二人は走り出す、鍵はない、牢屋に閉じ込められた仲間を横目に進み続ける、この先にあるかもわからない、だが希望を抱き走り続けるしかなかった。

 


 そうして走り続けていると微かに青い光のようなものがゆらめいているのを見る。

 「あれは...何かある!」

 リドルは疲れ出していた足を再び動かし、その光の元へと走り出し、やがてその光はやがて大きくなり、鉄製の大扉がそこにあった。

 「この横のランタンの光...一体何の部屋なんだろうか...」

 リドルが呟くと男は扉に頭を当てる。

 「...なんか...鎖の音...? 誰かいるみたいだ、さっきのこともあるから、慎重に行こう」

 「わかった」

 そうして扉をゆっくりと開けると、広い空間になっておりその中央、そこにはロッド王が一人ポツンと立っていた。


 「来たようだな、ここまでくるまでさぞ大変であっただろう?」

 王は相変わらず冷静でいた、リドルは銃を手に掛けると王は両手を上げる。

 「待て待て、まずはついてきなさい」

 王は二人に背を向けるとゆっくりと部屋の奥へと進む。

 そして灯りの届かない影の空間に王が入ると天井の明かりが灯り、リドルは両手足を拘束されたフィリアの姿を目にする。

  「フィリア!」

 リドルは思わず声を発すると拘束具を解こうとする、その音に気付いたのかフィリアも目を覚ます。

 「リ....ドル....」

 「今助けるから...!」

 リドルは必死に拘束具を壊そうとするが男が止める。

 「まて、一旦落ち着け」

 「でも...!」

 「なぜあいつが冷静にしてるのかが気がかりだ、ロッド陛下、あなたはどのような目的があるのですか?」

 男の言葉に王は微笑むと注射器のようなものを取り出す。

 「これは国の総力を掛けて作り出した薬だよ、余の目的は軍事兵器を生み出し、その金で国を潤す、何とも国思いな王であろう?」

 王の言葉に二人は追いつかない、何を言っているのか、学がないこともありあまりピンとこないのだろう、男は注射器を指差す。

 「それが軍事兵器なのか、治療薬...その実験を目的に...ここに集めて...」

 「そう、どんな身体破損も治療する魔力結石を応用した化学兵器、それが当初の目的であり、お主の言うとおりだ、だがそれだけではない」

 「それだけじゃない...?」

 

 「すでに見ているであろう、生物の細胞を活性化させ強力な再生能力と怪力を手に入れることのできる兵器、CPA(細胞強力活性)薬だよ」

 その言葉を聞いた時にリドルは口に出す。

 「まさか...あの化け物...の事」

 「そうだ、副産物であったそれは生物兵器として優秀であった、だが再生と同時に腐敗する、そのため長期の運用はできない、しかし適合するために奴隷を買い続ければ財政は破綻する」

 「だから逮捕って形で収容してるってことか?」

 「そうだよ、亜人はいい、どのような扱いを行なっても、何一つ変わらない、人ではないのだからな」

 「あなたはそれを俺たちに話して、生きて逃げられるとは考えなかったようですね」

 リドルは王に銃を向けると王は嘲笑する。

 「くはははははは!」 

 「何がおかしい」

 リドルは引き金を引くと詠唱しようとしたその時、王は注射器をフィリアの首に突き刺す。

 「ここでお前らは死ぬからだ」

 「う....!?」

 フィリアは痛みに対して苦悶の表情を浮かべるとほぼ同時に刺した部分から膿が飛び出し、その瞬間に固まり出す。

 「フィリア!」

 リドルは王に向けて詠唱して銃弾を放つが王へ向いた銃弾はフィリアの身体へと減り込む。

 「リドル! 逃げるぞ!」

 男は扉の方へ身体を向けるがリドルは立ち尽くしていた。

 「フィリア....何で...」

 姿は醜い化け物へと変わっていく、顔半分はぐしゃぐしゃの般若のような顔になり、身体はゲル状に変わり出す、かろうじて手足の形はあるがそれはすでに巨人のように肥大化していた。


 「リドル....ごめんね....?」

 フィリアは涙を流しながら声にならないような掠れた声で言う、リドルは涙を流しながらも背を向けようとした時に思い出すのであった。

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