第18話 破壊力は想像をも上回る
「一体...何が....」
土煙の上がる工場内、身体は擦り切れ、ズキズキと痛む、リドルはゆっくりと顔を上げると壁に大穴が開いているのを確認するとゆっくりと起き上がる。
「フィリア....」
片目は負傷しているのか開かない、瓦礫に押し倒されたフィリアの手を掴み、必死に引き上げようとするが動かない、倒れた壁を持ち上げようにも上がらない、歯を食いしばり、脚の力を使い、ゆっくりと持ち上げる。
「フィリア....起きて...!」
フィリアは起きない、リドルはフィリアの脇に足を引っ掛けるとゆっくりと瓦礫から解放する。
「う...重っ...」
リドルが放すとドスンと音を立てて壁は倒れる。疲れで汗を流しながらもフィリアを背負うと立ち上がる。
「誰か....いないのか...?」
リドルは走り出し、鉄階段を降りようとすると軍兵がいるのを見つける。
「バレたら死ぬな...」
リドルは手すりを掴むと身を乗り出し、ぶら下がるように鉄棒を掴みながら降りる。
錆びついた臭いと銃声、叫びと怒号、おそらく他の亜人達も戦っている、リドルはゆっくりと地面へ着地すると、ゆっくりと進む、そして曲がり角を曲がるその時に、男の声が聞こえる。
「両手を頭に当てて、跪け!」
軍兵が銃を構えながら命令し、数人の亜人は跪く。
「助けるべきか....?」
リドルは迷っていた、誰のために戦うのか、彼が戦う理由は善意でも正義感でも守りたいものがあるからでもない、自身に酔っているからにすぎない、フィクションの主人公ならと、無意識にそのような考えに至っていた、自身の擁護と他人を守ること、そんなことを考えている間に、軍兵は亜人へ銃を向けた。
「止まれ!!」
リドルはその時に、身体が動いていた。
軍兵の言葉で止まることはなく、長銃を掴むと軍兵の顔面に拳を打ち込む。
「ぐ......!」
軍兵は後ろにのけぞりながらも手をパンと叩き、すぐにナイフを引き抜くとリドルの首元にナイフを斬り込む。
リドルがナイフを捌こうとしたその時、そのナイフは霧のように霧散し、逆方向からナイフが襲う。
リドルは身体全体を捻り、地面に顔面をぶつけながらもナイフを躱わすとそのまま足を蹴り上げ、軍兵の顎に一撃を与える。
しかし軍兵は全く留まらない、リドルにまだ一撃を与えようとする、しかしその時、すでに数人の獣人は軍兵を掴み、その捉える瞬間へとなっていた。
「危なかった、ありがとうリドル」
亜人はリドルに感謝をして頭を下げる。
「相手は...夢の力...痛みを感じないというのはシンプルですが強いですね...早く逃げましょう」
そうしてリドルは獣人達と共に脱出を図ることとした。
「ここを爆破するしかないな....」
ハルクはそう一言呟くと皆が出口へと向かう逆方向へと走る、奥へ進むと通路に二人の軍兵がいた。
「貴様! とま——」
ハルクは軍兵を蹴り飛ばすと銃を奪い、もう一人の軍兵を殴り飛ばす。
「ぐぐ...貴様あ!!」
軍兵は頭から血を流しながらもハルクに銃を構えるがハルクは姿勢を屈めると中空を前回転しながら軍兵の頭に踵落としを打ち込む。
「危なかったな...」
ハルクはすぐに走り出し、そしてそのまま軍兵を倒しながら進む、そして最奥へ向かうとそこには大量の火薬があった。
「これだけあれば...皆が逃げれる時間を...」
ハルクが魔力結石を取り出したその時、銃弾がハルクの頬を掠める。
「これを避けるか...」
血が滴りながらもゆっくりと後ろを振り向くとそこにはフランクがいた。
「くそ...降参だ」
ハルクはゆっくりと両手をあげるがフランクは近づかない。
「その動きで思い出した、軍部にも亜人軍人はいくらかいるが、お前を見て思い出したよ、対人格闘の天才、検体329番だな?」
フランクの言葉にハルクは目元を僅かに歪ませるとすぐに戦闘の構えへと入る。
「もう戻る気はないんですよ」
「それは残念だ」




