第17話 危機は突然に現れる
キール、ルイーゼ、ドレットの3人は王城へと向かい歩く、大通りを歩く最中にくる鋭い視線、だがしかし直接の危害はない、しかしその空気感は何処となく居心地が悪い、ルイーゼは現状が気になるのか、キールに耳打ちをする。
「なんというか...今までにない雰囲気だわ...」
「そうだな...なんと言うか...すごく気持ちの悪い、一体この町で何が起こっているんだ...?」
「気にすんなよ、そのうちなれるさ」
そんなことを話していると頭全体を覆うような帽子を被った少年がペンを持ちながらキールに話しかける。
「すみません、お時間よろしいでしょうか?」
少年はオドオドしながらキールの服を引っ張り、キールがしゃがみ目線を合わせるとキールはニコリと笑う。
「一体どうしたんだい?」
キールが声をかけると少年は話す。
「実は僕は新聞記者でして...できれば亜人解放団のリーダーであるあなたに取材をさせていただけないかなと...」
少年の言葉にキールがルイーゼの方を見るとルイーゼはコクリと頷き、ルイーゼの許可をとったのを確認するとキールは少年に聞く。
「うん、いいよ、どんなことが聞きたいんだい?」
少年はメモ帳を取り出すと文章を読み上げる。
「えっと...まずは、あなた達はどんな目的で行動を起こしているのですか?」
「それはね——」
そうしてしばらく少年の質問に答えると少年は頭を深々と下げる。
「お時間いただき、ありがとうございました...!!」
少年が走り去るとキール達はすぐに王城へと向かう。
「私達の目的は亜人、ひいては奴隷制度そのものの廃止を求めています、私たちが求めるのは資金でも武力でもない、ただ、国民に私たちを知ってもらう機会を与えて頂きたい」
キールの言葉に王は相変わらずニコニコとしながら頷く。
「なるほど、ならば講壇を使わせてやろう、常に平和には言葉が必要である、そのためならば予はそのことを惜しまない、ぜひ使ってくれ」
「大変喜ばしい限りです、ありがとうございます」
3人は頭を下げると王城を出る。
「案外簡単だったもんだね?」
ドレットがキールに聞くとキールは頭を掻く。
「うーん、上手くいくのはいいけど、あんまり早いと逆に説得力がなくなるんだよなあ...」
そんな話をしていがその時、キールの横を高速で何かが横切る。
「な!?」
キールがそれの着地点を見るとそれは小型の注射器のようなものであった。
「しゃがめ!!」
人通りのある大通りでのそれはあまりにも突然であった、すぐに人混みを盾にしようとすると人はすぐさま離れ、3人は明らかに異質、3人は走る、注射器に当たった人間は撃たれてすぐに倒れる、しかし死んではいない、おそらくは麻酔銃、だがここで捕まればどうねうかわからない、3人は散り散りに別れる。
「くそ...ここで仕掛けてくるかよ...!」
キールは裏路地を走り進む、追撃されていないのか、果たして泳がされているのかはわからない、キールは最大限の警戒をしながら廃工場に戻ることもせず、街中を走ることを選択した。
(考えろ、何処に向かえばいい...最もアジトから遠く、最速で向かえる場所だ....)
足は奴隷市場での戦いで負傷している、全速力でキールは走ることはできない、キールは建物に付いた錆びついた梯子を登ると屋上へと乗り上げる。
廃工場の方を向くとそこから煙が上がっているのを見る。
「まずい...みんな...!」
キールはそれを見て、無力感に苛まれながらも屋上を伝いながら廃工場へと向かうのであった。




