第16話 善悪は方便で正義となる
[ミーナル]
北東に位置する大陸、氷の大地と呼ばれ一年中表面は氷が覆っている、ミーナルの植物はとても寒さに強く真っ黒な見た目をしている、氷を直接吸収するためとても硬いが温暖な場所へ持っていくとヘドロのようになる
スノーエルフ、コーダルの発祥地である
亜人は人類ではない
亜人の出自はサライセンダーにいた静電気を纏う獣であった。
対して純人は北方の大陸ミーナル、そしてエルフは中央大陸リライプルであった、しかし亜人は彼らと交配は行うことなく、人類に近づいた。
それは純人やエルフよりも早く熱を手に入れたからである。
帯電の力は電熱となり肉を焼いた。
電熱を扱い、光を手に入れた。
ではなぜ彼らは純人やエルフよりも知能が低かったのか?
それはあくまで体内機関に過ぎず、武器を持たなかったからである。
身体能力も高く、武器を持つ必要がなかった。
だから負けた、それはエゴではない、生物競争に負けたに過ぎなかったのである。
〜大通り〜
道半に横並びになる軍人達、目につくがすぐに視界から離れ歩く民衆、誰も足を止めようとしない中で、壇上にアルドはゆっくりと上ると何も言わずにただ直立する。
そのまま立っていると幾つかの人は立ち止まり、アルドの方を向く。
それは通りすがりの人間ではなく軍部の人間であり、気になって留まるものはいない、いないはずであった。
だがしかし、その留まった周りからだんだんと人が収束し始め、やがて大衆にとなり始める、増えていくたびにさらに早く増えていく、まるで元から告知していたかのようになったその時に、アルドは微笑むと口を開く。
「亜人は素晴らしい」
スピーカーから流れる優しく温和な声、だが皆に響くその声は演説にはあまりにも静かであった。アルドはそのまま続ける。
「そう思いましたか? 彼らは王城の前で勇気を出したのでしょう、仲間を犠牲にしても、皆のために、自由のために戦ったのであると、だがそれは違う...彼らはわざわざ周りの奴隷を解放し、共に行きました、それは一人では所詮何もできないから、恐れ、仲間を踏み台にした、利得しか考えていない彼らのリーダーはなんとも非常なのでしょうか....私は心が苦しい、だからこそこの悲しみの連鎖を止めなければならない、彼らを止め、今まで通り、亜人が生きれる社会を取り戻すのです、確かに対等ではないのかもしれません、ですがこれは亜人を貶めているのではなく、導いている、我々は彼らと対等になるために、今は導く必要があるのですよ」
言葉は常に柔和である、決して強くない、引き込まれるのはその動きと表情、そして声の抑揚である、細かい手の動き、皆との視線が合うその瞬間を、惹きつけられるその声、彼が退場する頃には、すでに民衆は歓声に近い声をあげていたのであった。
アルドがテントに入るとフランクがアルドの上着を受け取ると頭を下げる。
「素晴らしいです、少佐殿、恐れながらあの演技、感服いたしました」
アルドはニコリと笑うと話す。
「演説にはあまり意味はない、話の内容など覚えているはずがないです、直後は情動的になってもすぐに冷静になるでしょう」
「では一体...どのようなお考えが...」
「感情というのは記憶と違って残るのですよ、印象にも近いものなのですがね、民衆に残る印象は少ない、だから簡単に、容易に理解できるようにしたのですよ」
「それは一体...」
アルドは微笑むと人差し指を立てる。
「亜人達は根本的に間違っているとね」
「みんな、準備はできたね...?」
フィリアが3人に言うとキールはグッと拳を上げる。
「バッチリだぜ」
「話って何をするんだい?」
ドレットがルイーゼに聞くとルイーゼは呆れながら手を頭に当てる。
「なんかダメな気がしてきたんだけど...」
「いけるいける! 大事なのは気合いだよ!」
フィリアの言葉にルイーゼは笑う。
「たしかに、なんだか元気が出てきたわ」
そうして彼らは王城へと向かうことになった。
[リライプル]
アルテクスの中央に位置する草原と森林を主とする温帯大陸
ミソッド人、ウッドエルフ、ハイエルフの出生地である




