第15話 外交とは抑止力である
「ボランティアをしよう!!」
フィリアは意気揚々と言い出すとルイーゼはフィリアの頭を鷲掴みにする。
「じゃあまずはここを掃除しなさいよ...」
フィリアが地面を見るとそこはすでにゴミで埋め尽くされた部屋となっていた。
「あっれえ? なんでこんなことに...」
フィリアは惨状に驚きつつ頭を掻くとルイーゼは深いため息を吐く。
「酒を飲むのはいいけど調子に乗るといつもこうだから....早く片付けなさい!」
フィリアは鞭を打たれたように素早く動き、ゴミを回収する、するとみるみるゴミはなくなり、元の空間へと戻っていく。
「まあ僕にかかればこんな物だよ!!」
ルイーゼに向かってVサインをこれ見よがしに見せるとルイーゼは舌打ちをする。
「おっとまずい、そんな怒んないでよ〜!」
フィリアは相変わらずニコニコとしているがルイーゼの顔色を伺いながら一瞬にして掃除を済ませる。
「完了だよ!」
「まあ掃除してくれたらいいんだけどね、ちゃんとしなさいよ?」
ルイーゼは優しい声で言うとフィリアは両手を上にすると声高に言う。
「やだね!」
次の瞬間、フィリアの顔面に枕が飛ぶのであった。
フィリアは枕をギュッと抱きしめると地面へと叩きつける。
「うーん! 柔らかい!」
フィリアは大声で言うがルイーゼは無視して本題へと入る。
「それで? ボランティアって?」
ルイーゼの問いにフィリアは興奮しながら答える。
「よくぞ聞いてくれた! やっぱりこういうのは世間の目を変えていくってのも大事なんだよねえ、そのためにはボランティアとかの奉仕の心が大事なんだよ!」
フィリアが息を切らしながらも語り終えるとどこからともなくリドルが現れる。
「確かに大事かもね、良いことをすると人って信用してくれるから」
「そうでしょ!」
フィリアはリドルを指差しながら言うとルイーゼはその指を下ろさせると語り始める。
「前やったことを考えたらそんなの意味ないってわかるでしょ?」
ルイーゼの言葉に二人は首を傾げる。
「「どういうこと?」」
「あの行進の時に奴隷をたくさん解放したでしょ、今困ってる人ってのはその奴隷を逃がされて労力を失った人なのよ、そんなのしてもマッチポンプにしかならないじゃない」
ルイーゼの言葉に二人は黙っていた、何も返せなかったからである、彼女の言葉は確かに間違っていない、だが心に少し靄がかかるような、そんな気持ちである、仲間を犠牲にした上でこの為体、果たしてなんのために戦っているのかと。
「じゃあ次は...どうしようか?」
リドルが悩んでいるとルイーゼが話す。
「やっぱりここからは王との交渉が必要ね、後押ししてくれるとは言ったけど、具体的な事はまだ聞かされてない、ここはしっかりと話す必要があるから、また出向く必要があるわ」
ルイーゼの言葉にリドルは静かに頷くと立ち上がる。
「それじゃあ準備もいるだろうから、みんなを呼ぶね」
そう言ってリドルは部屋を出ていくのであった。
〜中央軍部〜
「王は亜人の味方をしてはいないでしょう、あくまで外交上のものであり、軍部を崩壊させるための利用に過ぎないでしょう」
窓を見ながらアルドは遠い目をしながら言う。
「では...どうしますか、殲滅する事は容易いです、しかしそれでは思い通りになってしまいます」
フランクがアルドに言うとアルドは不敵に笑う。
「王もそれくらいはわかっています、だからこそ我々ができることは一つ、社会的にあの亜人達を殺しましょう」
「社会的に...ですか?」
「奴らのやった事は子供からすれば良いかもしれません、ですが奴隷で生活を賄っている人からすればどうでしょうか? 人々の生活そのものが脅かされていると」
アルドは和かに淡々と言う、目の奥は常に何かを見ており、それはフランクにはわからない、だが彼の言葉に妙に説得力があった。
「私の言葉は全て事実です、そしてそれを少しだけ脚色する、それだけで人は動くのですよ、大事なのは正しいかではない、正しく見えることが重要なんですよ」
アルドはニコリと笑うと束ねられた資料をフランクに渡す。
「今度大通りにこれの準備をしてください、私が立ちます、いいものを頼みましたよ?」




