第14話 それは一時の幸福でしかない
〜廃工場〜
「3人は...大丈夫かな...」
リドルはそこらを歩き回りながらが安寧を心配しているとフィリアがリドルの頭を両手で鷲掴みにし、ぶんぶんと横に振る。
「大丈夫だよ大丈夫だよ! きっと大丈夫! 僕たちが信じなきゃ誰が信じるって言うんだよ! 大丈夫! 心配するよりもみんなが帰った時の準備をしとくべきだよぉ!」
「あはは、やっぱりフィリアは元気だね」
リドルは苦笑いをしながらフィリアを見るがすでに泣きそうなほどに目が潤んでいた。リドルはそれを見ると改めてニコリと微笑む。
「うん、そうだね、きっと大丈夫だ」
リドルがそう発したその時、誰かの声が響く。
「みんな! 3人が戻ったぞ!」
その言葉を聞きフィリアはリドルに手を出し、その手を掴むとフィリアは走り出した。
「さあ、行こ!」
フィリアの表情はすっかり明るくなり、リドルの笑う。
そうだ、彼女が明るいのは天性の物ではない、作って、みんなのために笑ってくれる、そんな彼女から元気を貰える、俺も変わる必要があるのかもしれない
息を切らしながら顔を上げるとそこには3人がいた。
リドルの顔を見るとキールは親指を立てる。
「なんとかなりそうだぜ?」
キールの言葉にリドルは安堵し、その場にへたり込む。
「よかったよ、死んだみんなのためにも、ようやく報われそうだね」
「でも奴隷制を解放できるわけじゃあないよ、まだまだ戦いはきっと続く、だけどきっと変わり始めてる、ここからが頑張りどきだよ!」
ドレットの言葉は強く、心強い、皆の心が温まり、強くなる、そんな気分に皆がなるのであった。
「それでリドル、次はどうするの?」
ルイーゼがリドルに聞くとリドルは少し硬直し、考える。
「そうだね...ここからは世間を味方にする以上は....やっぱり抗議活動を続けるしかないかな...」
「まあそうだね、後は長期戦だよ、ここからは忍耐力が必要、それに軍部はまだ狙ってくる可能性もある、慎重に行わないとね」
ルイーゼの言葉をリドルはしっかりと受け止めて、コクリと頷くと、今の喜びを分かち合うために、一度皆で勝利を祝うことにする。
「とは言っても何かあるっけ?」
リドルがフィリアに聞くと木箱をリドルに渡す。
「うお....重い...!」
リドルは一度木箱を下ろすと中身を確認するために蓋を取る。
「これは...瓶?」
「そう! お酒だよ!」
「どうやってこんな物手に入れたの?」
リドルがフィリアに聞くと自信満々にフィリアは答える。
「実は王様のおかげなのかね! やっぱりファンができちゃったのかな? 支援金を貰えたの! しかも売ってくれるとこも増えたから買っちゃったんだよ!」
「...そんな大事なお金をそんなことに使って大丈夫?」
「いいんだよ! 人間は無駄なもん買ってないと楽しめないからね!」
フィリアは相変わらずに能天気ではある、だがリドルはそんなフィリアのことを羨ましく、希望的であった。
〜王城〜
玉座に座るロッド王に側近が耳打ちをする。
「よかったのですか? あのような亜人の言うことを...支持率が下がってしまうかもしれませんが...」
側近が不安そうに言うと王は微笑みながら言う。
「奴らを上手く扱えれば軍部は弱まる、銃撃してる間、あの時に動かず、ただ抗議を続けた、あれは民衆にとっては正義の美学とも呼べる行動だった、つまり武力で鎮圧するしか能のない軍部では勝手に自滅してくれる」
「たしかにそうすれば民衆は動きます、しかし亜人がいなくなっては...」
「わかっている、奴らは最大限利用したら良からぬ噂でも流せばよい、人はその時の空気に流される愚かな生き物だからな」
王は相変わらずニコニコと優しそうな顔で話す、その笑顔からは得体の知れない恐怖を感じるほどに殺気も悪意もそこにはなかった。




