第12話 たとえ自分が弱くても
[王政]
シードル含めたリライプルにおいて、すでに王政は衰退の一途を辿り、権力は少なくなり始め、大きく分けて王派閥と軍派閥の二つに分かれている。
王派閥は血筋を重んじ、伝統を残し、古今を変えぬ姿勢を持つ。
これは俺の罪だ、今から起こすことは、沢山の犠牲を出すであろう、結果すら残せないかもしれない、なぜならこれは世界で最も強制力のない大掛かりな行進なのだから。
群の最先頭にいるリドルは少し息を吐くと腹に力を込め、声を発する。
「我々は自由を求める!」
リドルの叫びに続き後方を歩く者たちが叫ぶ、その言葉は連続性のあるだけの叫び、声は街へ響き、大通りは亜人で溢れていた、人混みは自然に端へとより、亜人たちのために道が作られているようであった、リドルは叫び続ける、キールも、フィリアも、ルイーゼも、ハルクも、皆が抗議のために叫び続ける。一つ一つの個の力はとても小さい、だが皆が一丸となることで叫ぶことで物量という名の力である、それはまさに世間を動かす可能性すらあるその声はとんでもなく重く、硬い。
そしてやがてシードルの中央に位置する、王城の前へと辿り着くのであった。
「止まれ!」
王城前の2人の護衛は銃を向けながら警告をする。リドルが止まると皆も止まる、護衛が銃を構えるが銃身が定まらない、人数は500を超え、数的不利ではなく、もはやある種の恐怖を覚えるほどの亜人の群れ、皆がただ黙って立っている、そんな中で護衛が焦っているのを横目にリドルは声を発し始める。
「我々は戦いに来たのではありません! 平等に生きる権利を、奴隷制の終わりを! それを耳に入れて欲しく! この場へと参りました! 我々は! 生きているのです!」
野次馬達がザワザワとしながらもリドルの声は響き渡る、普段は賑わい、うるさいはずの大通りは今までは訪れないほどの静寂の中である、だからこそリドルの一つ一つの言葉には重みがあった、そして城壁の上や城門から次々に大盾を持った護衛達が現れ、銃を向けるのであった。
「貴様ら! 今すぐ解散をしろ! さもなければ躊躇なく発砲し、全員皆殺しになるぞ!」
それを見たフィリアはリドルに耳打ちをする。
「やっぱり危ないよ、逃げたほうが...」
フィリアは弱気になっているとリドルは話す。
「抗議のために来たんでしょ、だったらここで逃げたらダメだ」
リドルの言葉にフィリアが不安そうな表情を示すとルイーゼが話す。
「わざわざさ、ああやって警告をしてるでしょ、つまりは私たちを本気で皆殺しにできるわけじゃないのよ」
「どういうこと?」
「野次馬達のせいで容赦なく殺せないのか、もしくは私たちと交渉する気があるのかも」
ルイーゼの言葉にフィリアはますますハテナを顔に浮かべる。
「たとえ交渉をする気があっても、はいどうぞって聞き入れるわけにはいかないの、ある程度のカバーストーリーがないと国としての信頼性が落ちてしまう、だからこそここは耐える時間なの、もしかしたら死ぬかもしれない、覚悟して耐えるのよ」
ルイーゼの言葉にフィリアは息を呑むとその時、発砲音が亜人達の間を切る。
そしてその瞬間、1人の獣人が倒れる。
そしてそれと同時にボツボツと雨の振り始めのように次々と銃弾が亜人達を撃ち殺していく、胸、腕、頭、腹、脚、周りの人間は介抱するがそれでも次々と撃たれる。
一部ではない、等間隔に、満遍なく、明らかに狙った位置を、先頭のリドル達に銃弾は及ばない、彼らはおそらく既に指示されてをされておる、狙いやすい者ではなく、明らかに狙っている、皆が次死ぬのは自分かもと恐怖し、ある者は泣き、ある者は自身を騙し、ある者は震え、ある者は死を覚悟する。
そうしてたった3分、だが彼らにとっては1時間、2時間も経ったように思えるほど辛い時間、人々は亜人のその光景に驚きつつも見入っていた、そしてとうとうその時は現れる。
「主らか、予に用がある者は」
それはロッド王であった、城壁の上から亜人達だけでなく、そこにいる全てのものを見、達観しているようであった、リドルは前に出ると跪く。
「陛下! 我々は今日! あなた様にお声を聞き入れていただきたく! この場に参りました! どうかお願いします! 我々を! 死に行った同胞の言葉を聞き入れてください!」
リドルは必死に叫ぶとロッド王はにっこりと邪気のない笑顔で笑うであった。
[義勇国軍兵]
軍派閥と呼ばれ、産業革命により血筋だけを求めず、本質的な実力を重要とし、軍部を中心に世界各国に展開され、その大きさは絶大である。




