↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメの主人公じゃない俺が婚約破棄された令嬢を助けることになった  作者: 霜月風炉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/26

18:及第点

 そんな設定があるなんて知らんのだが?

 魔法殺しの悪魔(ネガシオン)なんて名は初耳だ。

 いや、もしかすると裏設定として存在はしていたのかもしれないが、俺の知識はあくまでアニメだけなので余計なものが生えてきたとしか思えない。

 とは言え、俺の助けになることは明らかだ。積極的に使っていこうと思う。


「魔法殺しの悪魔(ネガシオン)。曰く、世界の均衡が崩れた時に現れるらしいのだが……貴様が現れたということは、そういうことなのか?」

「いや、そんなことを聞かれても知りませんけど……」

「ふむ? しかし、貴様が言っていたサイファの件を考えれば、一概にも無関係とは言えないと思うが?」


 世界の均衡が崩れた時。

 それが本来の道筋から逸れたことを指すのであれば、確かにハレンの言う通り無関係とは言えないだろう。


「……身体強化の魔法は問題なく発動するようだ」


 流石と言うべきか、ハレンはどのような魔法であれば発動できるかを確かめていたらしい。


「主に放出するタイプの魔法は軒並み燃やされるようだ。逆に、己の身で魔力を循環させる身体強化は燃やせないようだな!」


 地を踏み砕き、ハレンが俺の眼前へと迫る。

 しかし、その動きは見えていた。

 どうやらこの状態では俺の身体能力はもちろん、動体視力も上がっているようだ。

 防戦一方だったものが、拮抗できる程度には戦えている。

 俺の刀とハレンの剣が幾度もぶつかり合う。

 剣戟を繰り広げたとて、幾ら俺の身体能力が上がっても経験の差は覆せない。

 ハレンの魔法を封じ込め、有利な状況に持ち込んでもコレだ。


「私を相手にここまでついてこれるのなら、十分だ」


 刀を弾かれる。

 そして、そのまま流れるようにハレンはその剣の切っ先を俺の首に突きつけた。


「久々に良い運動ができた。少なくとも、その状態の貴様は騎士団の内では中の上くらいには張り合えるだろうさ」


 剣を鞘に納めながら、ハレンは告げる。

 俺としてはこれで中の上なのか——と唖然とする。

 寧ろ上澄みは化物が過ぎるのではないだろうか?


「その力は有用だ。及第点ではあるが、お嬢様の守護騎士(シュヴァリエ)を務めるには問題ないだろう」

「そ、そうですか……」

「だが、足捌き、重心移動、視線の動きは素人も素人だ。お嬢様の学院復帰までにみっちり扱いてやろう」


 清々しい笑顔でハレンが宣言する。

 

「はっ……ハハハ……」


 乾いた笑いを漏らしつつ、俺は頬を引き攣らせる。

 と、周囲の金色が鳴りを潜め、手に持っていた刀の刀身はいつの間にか黒い鞘に納められている。


「だが、貴様が本当に魔法殺しの悪魔(ネガシオン)であるならば、何かしらの厄介事が貴様を起点に起こるだろうな」

「……えぇ?」

「気になるなら、この世界の伝承が記された書籍を読み漁ると良い。学院の図書館ならそれなりの蔵書もあるだろう」


 そう言い残すとハレンが立ち去っていく。

 その背中を眺めつつ、俺は今後やるべきことが明確になったことを感じた。


「アステリアの学院復帰まではハレンに扱かれることが決定した感じだな。学院に行ったら、魔法殺しの悪魔(ネガシオン)について調べる必要がありそうだが……」


 ふと、俺は気づいた。


「……こっちの文字全然読めないな」


 ここまで会話だけで成り立っていたこともあり、気にしていなかったこともある。しかし、これからアステリアと共に学院へ行くのならば、文字が読めないのは非常によろしくない。

 ハレンとの戦いを見守っていたアステリアが駆け寄ってきている。

 まずは、そう——文字を教えてもらおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。