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アニメの主人公じゃない俺が婚約破棄された令嬢を助けることになった  作者: 霜月風炉


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11/13

11:私の騎士 side.アステリア

 ここで私の純潔は奪われる——そう、思っていた。

 アベル皇子に婚約破棄され、冤罪の濡れ衣を着せられた私が城を飛び出した先で、私は暴漢に襲われた。

 護身のために——と身に着けた魔法を動揺から使うことができず、瞬く間に組み伏せられ、股下を弄られ、胸元を破かれた絶望は筆舌に尽くし難かった。

 我欲に塗れた暴漢の力は強く、私のような非力な腕では振りほどくこともできない。

 なんでこんな不幸に見舞われるのか。

 私は心の底から女神を呪った。

 いくら叫んでも、暴漢は「助けは来ない」と言う。

 嫌だ、嫌だ——必死の抵抗も空しく、私がその現実を覚悟した時に彼は現れた。


「そこまでだ」


 そんな言葉と共に現れた彼は、とても珍しい装いだった。

 黒髪に黒い瞳の少年。

 飄々としつつも、どこか意志のある眼差しに私は釘付けになった。

 なぜ彼が私を助けようとしたのかはわからない。

 だけど、それだけで私は救われた。

 暴漢が怒りを顕わにし、彼へと向かって拳を振るう。

 それはあまりにも一方的な光景だった。

 思わず目を逸らしてしまう。同時に彼へ対して申し訳ない気持ちを抱く。

 ふと、今なら逃げ出せることに気づいた。

 でも——と、私は逃げなかった。

 彼が負けてしまえば、私はまた襲われるだろう。それでも私は彼を置いて逃げようとは思わなかった。理由は——特にない。

 何度も響く重く鈍い音。

 一度は倒れ伏した彼だったが、不屈の精神で立ち上がる。

 どうして彼は立ったのか?

 私にはわからなかった。

 同時に逃げるチャンスを捨ててまで、動こうとしない私の感情もわからなかった。

 その後は目まぐるしいまでの展開だった。

 黄金の炎が世界を燃やした。

 何が起こったのかはわからなかった。

 ただ——彼の双眸が金色に輝いていたことは印象に残っている。

 暴漢の魔法を燃やし、彼が持つ剣の鞘はいつの間にか無くなっており、その美しい白い刃が露わになっていた。

 劇的な逆転劇。

 逆境からの一刀が、私の心を奪い去っていたと思う。


 今、ベッドで上半身を起こす彼——アオ・ロクジョウさんは、自身のことを「別の世界からやって来た人間」と告げた。

 だけど、その言葉を私は疑う気はない。

 彼がそう言うのなら、きっとそうなのだ。

 疑う理由はなにひとつない。

 暴漢から私を救った彼のことを好ましく思っている。

 吊り橋効果かもしれない。だけど、それでも良い。

 だって、彼は私の騎士になれる人だから。

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