第六話 お見知りおきを。
またずっと、同じような日々が続いているような気がする。毎日毎日、同じことをしているような気がする。けれど、毎日毎日違うような気もする。毎日毎日別のことを発見し、べつのことをして楽しんでいるような気もする。。。 きっと、どれも正解なのだろう。毎日が同じで、違う。 同じことをしていて、違うことをしている。。。
「おっはよーう!」
そろそろなまえも覚えられるようになってきていた。初日から元気に対応してくれていたのはたぶん、杏花ちゃんだったと思う。杏花。。不思議な漢字だと思った。ほかにもこの漢字を使う「きょうか」は、存在するのだろうか。。。私は杏花ちゃんのことが割と好きだった。どんな相手にも同じく明るく接するこの子には、やはり彼氏がいるらしい。
「あー、ちょっと~、なにそれ~??」
雑誌をみているグループに入りこもうとしている元気な子は愛由美。この子も初日からしばらくのあいだお世話になった。ノートやファイルに名前などを書くのを手伝ってくれた。
「キーンコーンカーンコーン♪」
「ガラガラガラガラッ!」
チャイムと同時に、といいたいところだけれど、そうでないのだから仕方ない。。チャイムより少し遅れて、絵美が入ってきた。名前の通り、(なのかは知らないが) 絵を書くのが得意。彼女の机にはけっこう落書きがある。
「おい、なに遅れてんだよ~」
なんだかボーイッシュな喋り方なスミレ。スミレ、の漢字は確か。。澄玲。これが本当に「すみれ」と読めるのか、無理矢理そう読んでいるのか、漢字に弱い私にはよくわからない。
スミレと私は、結構仲の良い友達と言えると思う。お弁当は大抵、私、愛由美、絵美、スミレ、の四人で食べることが多い。
「はい、席についてください。」
日直が号令をかけ、一時間目が始まった。
「いっただっきまぁーす!」
そう元気よく言ったのは、紛れもなくスミレだ。まったく、痩せているわりにはよく食べる。
「お腹空いたね~」
絵美のセリフに、だったら早く食べればいいだろう、と思ってしまう。
「ん~ん~!」
愛由美が変な声を出した。いつものことだ。どうせ、「卵焼きちょうだいコール」 に決まっている。
「はいはい。」
二つあるわたしの卵焼きの一つはいつも愛由美に奪われる。まあその代わりパンを分けてもらうのだから、文句は言えない。「ねぇ、漬物いる??」
漬物が大嫌いな私は、いつもスミレにあげている。
給食じゃなくてお弁当。栄養のバランスは取れているんだろうか。。。そう思いつつも、やっぱり嫌いなものは嫌いなのだ。
昼休みはよく、図書室に行く。最近は愛由美の影響で東野圭吾作を読むようになった。
「えーっと。。?予知夢?ドラマかなんかでみたような~」
本を前にすると我を忘れる私。一人でブツブツ言っていると、図書委員の1年生に注意された。知っている子だ。どこかで会ったことがあるのだが、どこだったかずっと思い出せずにいる。
「お、ヤッホー!」
まるで注意されたのが聞こえていなかったのように大きな声で私は言った。
「ちょ、静かにしてください、岡沢さん。。」
飽きれたように言う。まあ仕方がないので えへへ、と笑ってごまかした。結局その日、「使命と魂のリミット」 と「歪笑小説」 という東野圭吾の本を借りた。




