残酷な世界
「泉さッ─」
─グサッ
ハウッドの視界は揺らめき、地面に倒れた。
「(な、なんだ?何が起こって…)」
目の前には、ナイフを持った男が立っていた。
「(僕はここで死ぬのだろうか…誰か…僕を見つけて…)」
ハウッドは人混みに紛れ込んでいたため、誰にも発見されずに死亡した。2011年3月11日。14時50分。ハウッドは死亡。泉 正彦は数分前に死亡したのだった。
一方、ハウッドたちが脱出した島では、混乱の渦に巻き込まれていた。研究所の職員たちが、島に乗り込んできて、地下帝国の人々や地上の国の人々を殺し始めた。
「やめてぇ!来ないで!」
「きゃぁぁ!!」
レナはハウッドの母親を、混乱の中探していた。だが、なかなか見つからない。
「お母さん!ハウッドのお母さん!一体…どこにいるのか…」
レナは一旦地上に出てきた。地上の国は地下帝国よりも、荒れていた。地上の国の国民は平和主義者のため、武器など持ったことがなかった。だから、抵抗することも出来なかったのだ。地面には老若男女関係なく、遺体が転がっていた。
「…ひ、酷い。これが戦いってことなのね。私は何も出来ない。逃げることしかできないわ。でも、ハウッドのお母さんだけは助けてみせる!」
レナハそう決意した。様々なところを探したが、ハウッドの母親は見つからなかった。街の中、逃げている民衆に押され、倒れてしまった。
「うっ…でも、諦めたらダメよ。絶対、生きてみせる!」
─バキューンッ!
「…」
やはり、現代の武器には誰にも敵わない。レナは職員が撃った弾丸が心臓に到達し、倒れた。民衆はそんなことはお構い無しに、レナを踏んずけ、逃げて行った。
「あっ…お母さん…やっと、お母さんの所へ行けるね…」
レナは手を空へ挙げ、力尽き、死亡した。




