平和な親子
島が燃える中、浜辺で二歳ぐらいの少女が遊んでいた。波が砂浜に来たり、引いたりしていたのを楽しんでいた。
「あはは!あ、ママ!かめさん!」
「ん?本当ね。リクガメかしら」
「ママ」と呼ばれた人は、ハウッドの母であった。海には、一台のボートがある。ハウッドの母はそれを見つめていた。
「ママ!」
「ん?なぁに?」
「パパ」
少女は走ってくる男性を指さした。ハウッドの母は男に駆け寄った。
「あ、ケイちゃん。大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。急ごう」
男は少女を抱き抱え、ボートへ乗った。三人はボートに乗り、島から離れて行った。
「ねぇ?本当にこれでよかったの?国民を捨ててさ」
「…本当は心苦しいよ。でも、私だけでよかったんだ。この島の秘密を知るのは」
「そう」
少女はハウッドの母の腕の中で眠っている。
「可愛いわね。どっちに似るかしら?」
「さあ?君の方がいいんじゃあないかな?」
「そう?ケイちゃんだって、かっこいいんじゃないの」
「そうかな?あ、見えたよ」
目の前には、大きな島があった。どこかイタリアと似ているが、位置的にはイタリアではない。
「お待ちしていました」
岸には、きっちりとスーツを着込んだ若い男性がいた。
「カラッロ。スーツの襟が曲がっているぞ」
「あ、すみません」
カラッロはボートから降りてくる、ハウッドの母と少女を見た。
「あ、こんにちは」
「どうも」
その時、少女が目覚めた。
「ん…ここどこ?」
「…新しいお家よ」
「お家?ここどこ?」
「ここは「ジャポーリ」。とても素晴らしいところよ」
「本当?友達できる?」
「できるわよ。たくさんね」
ハウッドの母は少女をおろし、手を繋いだ。
「パパ」
「ん?なんだ?」
「おてて」
「いいぞ」
男は少女の手を掴んだ。ハウッドの母は男に言った。
「あなた、ずっとあの国の王様してたから…あなたの名前なんだっけ?」
「ふっ、忘れんなよ。ケイト。「ケイト・ドミニッシュ」だ。ドナンナ、君に出会えてよかったよ」
「私もよ」
すると、少女は両親の顔を交互に見た。そして、自分の名前を言った。
「モナルカ・イオ!」
「…ッ!そうね。あなたはモナルカよ」
三人は、日本のイタリア風の街「ジャポーリ」の中へ歩いて行った。
時は経ち、2024年。ジャポーリでは、とあるギャングが蔓延っていたのはまた別の話である。
─『僕らは籠の中の鳥』─完




