島からの脱出
ハウッドと泉は観光船と偽って、人々を島に送った船に乗り込んだ。
「ハウッド。見てごらん。あれが、私たちがいた世界だ」
「…」
すると、そこに青い鳥が飛んできた。
「あ、食べられる前においき」
「あはは。食べるわけがないだろう。こんな幸運の鳥は」
「幸運?」
「青い鳥は幸運の証なんだ。まるで、私たちのようだ。籠から解き放たれた鳥のように」
ハウッドはこの時こう思った。
「(僕らは籠の中の鳥だったのかもしれない。籠の中だけが全てと思っていたけど、違った。世界とはとても広い)」
そう、ハウッドは学んだのだった。
船は移動し、数時間は経った。そして、とある港に着いた。ふたりはひっそりと船を降りた。
「懐かしいな」
泉は今いる光景に懐かしんでいた。泉とハウッドはあの島に来た経由が違う。ハウッドはあの島で産まれ育った。泉は外から来た人である。
「人が沢山いる…本当に同じ世界とは思えない」
「そうだな。この服では、悪目立ちしてしまう。幸い、あの島とここの国の硬貨が同じでよかった。どこか、服を買える場所を…」
彼らは移動し、とある大きな通りにやってきた。大きなビルやモニター。大勢の人々。109と書かれたビルがあった。ここは…『渋谷スクランブル交差点』であった。
「ひ、広い!人が沢山いる!」
「ハウッド。よそ見をしていると、見失うぞ」
「す、すみません」
ビルの大型モニターには何か、ニュースがやっていた。何か、東日本に大きな津波がやってくる。早く逃げろと言ったことが報道されていた。人々は、それに釘付けだった。ハウッドも、そのモニターを見ていた。
「ハウッド!行くぞッ…」
「す、すみません。泉さッ…」
ハウッドは振り向いたが、泉の姿がなかった。




