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異変の兆候

 次の日の放課後……

 電車の待ち時間を利用して、駅からさほど離れていないデパートに向かった。デパートには家電売り場も本屋も入っているので、まとめて1箇所ですませれると思ったからだ。

 デパートに着くと、まずイヤホンを探しに行った。どれを買おうと品定めしていたらふと隣の売り場コーナーにあったヘッドホンが目に入った。最近イヤホンの付け心地が嫌になってきたいたので心が惹かれた。

 選んだヘッドホンは値段がそんなに高くないことと、デザインが気に入って買うことに決めた。全体的に白色で統一されているのだが、耳当ての部分が黒色でなんだかパンダ柄に見えて、なんとなく気に入ってしまったのだ。

 その後、本屋に立ち寄り、ここでもなんとなく目にとまった、数人の作家が同じテーマで書いた短編をまとめた短編集を買った。普段は短編集を手に取ることはまずないのだが、この機会に読んでみようと思い立ったのだ。個人的に本が汚れるのが嫌いなので、買ったときのサービスのブックカバーをその場でつけてもらった。


 2日後の夜、少し奇妙なことがあった。

 優子と電話で話していたときのことだ。その日も他愛の話をしたり、気持ちをお互いに伝え合ったりした。また今週末の日曜日もデートをする約束をしていたので、デートで何をするか予定を相談したりしていた。

 ただ会話の途中、気になることを言われたのだ。

「新しい白黒のヘッドホン、なんだかパンダ柄でかわいいね」、「最近読んでる短編集だっけ? 面白い?」

 普通なら気にしないようなことだろうが、俺には妙に引っかかった。この前のデート以降優子とは会っていないし、さらに買ったものの内容を話した覚えがないのだ。

 もし話していたとしても、「イヤホンが壊れたから新しいのを買いに行く」「小説読み終りそうだから、新しい小説探しに行く」という感じでしか言ってないと思う。なので、普通は新しいイヤホンと小説を買ったくらいにしか思わないだろう。さらに、短編集にはブックカバーがついているので、買ったところを見る以外知りようがないことだった。

 それだけでなく、俺は普段からあまり人に自分の買ったものを話したりしない。そういことは趣味の合う圭太か、普段からくだらない話をよくしている美樹くらいにしか話さない。あとはよく一緒にいる友達に聞かれたから話す程度なので、どのみち優子が知るよしもない。

「ねえ、俺、ヘッドホンとか短編集のこと話したっけ??」

 少し間があったが、優子はいつものような明るい口調で返してくる。

「この前言ってたよ。勉強とかで毎日忙しいから言ったこと忘れてるんじゃないかな?」

「そうだっけ?」

「うん、そうだよ。純君なんか変だよ? だって、純君が話してないこと、私が知ってるわけないじゃない」

 そう言われてしまうと、気付かないうちに言ったのかもしれないと思ってしまった。

 しかし、どうも釈然としない感じで、何か嫌なモヤがかかったような気がした。

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