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初めてのデート

 デート当日……

 電車のダイヤの都合で待ち合わせ時間より30分以上早い時間に駅に着いた。

 まだ待ち合わせには早いので、いないだろうけど念のため優子が来ているかだけ確認して、もしいなければ少し時間をつぶそうと考えながら改札を抜けた。


 しかし、優子は先に来て待っていた。


 俺は携帯で時計を確認して待ち合わせ時間が来ていないことを確かめた。それでも、遅刻していないにも関わらず遅刻したような気分になり、焦った俺は優子のいる場所まで急いだ。

「ごめん、優子。もしかして、けっこう待たせてた?」

「ううん。少し前に来たところだから気にしないで」

「ほんとに? てか、正直なところちょっと驚いたよ」

「そう? だって、早く純君に会いたかったから……気が付いたら早く来ちゃってた」

 優子の言葉に照れてしまい、言葉に詰まってしまった。

「今度は純君から声をかけてきてくれたから、前とは逆だね」

 少しいたずらそうに優子は微笑んでいる。

「たしかに、そうだね。じゃあ……」

 少し間を空けて、優子の目を見ながら続きを口に出す。


「すいません、ちょっといいですか? よかったらこれから時間ありませんか?」


「それ、私が最初に言ったやつじゃん。なんで覚えてるの?」

 優子は顔を赤らめながら頬を膨らませている。

「あんな風に声かけられたことなかったし、それより優子と初めて会ったときのことなんだから忘れられないよ」

「もう……私もさ、純君と初めて会って話した日のことは忘れられないよ」

 優子はさっきよりも顔を赤くしていたけど、頬はもう膨らんではいなかった。そして、顔を見合わせて小さく笑った。

 お互い落ち着いてきたところで、「ねえ……純君……」と優子は少し照れくさそうに、手を差し出してきた。 俺は手をつなごうってことなのかなと思い、迷わず優子の手を握る。

「あらためてよろしくね、優子」

「うん……こちらこそよろしくね。純君」

 優子の体温を直接感じて目を合わせたら、照れやら嬉しさやらが色々こみ上げてきて、顔がニヤけてしまった。優子も同じようにニヤけていて、お互いにそれに気が付いて笑いあった。


 今、きっと心も繋がっている……


 そんな確信めいたものを感じた。そう思ったら無意識に口が動いていた。


「優子……好きだよ」


 優子はいきなりのことで驚いたような表情を浮かべたが、優子はつないだ手を少し強く握り、俺の突然の告白に答える。

「私も好きだよ」

「よかった……」

 俺はほっと胸をなでおろしていた。そこに不意打ちのように優子があまり大きくない声で続ける。

「実はね、初めて純君を見かけたときからずっとずっと好きだったの。一目惚れっていうのかな……」

「えっ?なに?」

 小声で聞き取りにくいので、聞き返そうとした。しかい、そんな俺を気にせず、さらに誰にも聞こえないような小さな声で続ける。


「あの日から、ずっと純君を見てたんだよ、私」


 優子の言葉は周囲の歩く人の靴の音にかき消され、俺は気付いてすらいなかった。

 そして、優子はすっと顔を上げて、俺の手を引きながら歩き出した。

「じゃあ、純君、今日はいっぱい楽しもうね」

 そう言った優子の顔は溢れんばかりの笑顔で、俺は細かい引っ掛かりをすべて忘れて手を引かれるまま町に繰り出した……

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