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宝石だけじゃない、工学知識でモノづくり ~荒野での快適生活を邪魔する奴らは、返り討ちにする~  作者: 色石ひかる
7_勇者を返り討ち

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第41話 神殿の準備

 勇者コウキが現れてから数日が過ぎたが、あれからコウキやクリニエル王国が拠点へ来ることはなかった。拠点にも平和が訪れたので神殿準備に取りかかる。具体的には拠点の中央にあたる場所に、神器となるレネの女神像を作る。


 俺とシロガネを抱きかかえたレネ、ミネラルとハーブが、女神像を建てる場所まで移動してきた。


「すでに材料となる鉱物と女神像のデザインや大きさは決めたから、時間をかけずに女神像が建てられると思う」


「どのような鉱物を使うのかしら」


 レネが聞いてくる。


「土台は大理石を利用して、女神像自体は合成のミスリルを使いたい。あとはルビーとサファイアで全体を飾る予定だが、レネからの希望は何かあるか」


 ミネラルに使っている合成のミスリルは耐久性強化のみだが、ルビーとサファイアでは火と水の強化が追加された。まだ全部の宝石で試していないが、ほかにも風や土の強化もありそうだから、女神像にはそれらのミスリル合成を使いたい。


「宝石まで使って、どのような女神像になるのか楽しみですわ。私からの希望はありませんので、キュウヤの好きなように作ってもらえれば充分です」


「期待してもっていてほしい。いろいろと試行錯誤をしたいから、俺ひとりで作っても構わないだろうか」


 レネ以外にミネラルとハーブへも視線を移す。


「キュウヤの好きに作って大丈夫です。私たちは家の中を整理しています」


 レネが答えると、ミネラルとハーブも頷いた。


「ありがとう。女神像が完成したら呼びに行く」


 レネたちが家のほうへ歩いて行くのを眺めながら、材料のひとつであるミスリルの合成を作り始める。


 以前作ったのを思い出して、ルビーとサファイアをそれぞれ使ってミスリルと鉱物合成を行う。ルビーでは鉱物強化が中で火威力・耐性強化が中、サファイアでは鉱物強化が中で水威力・耐性強化が中となった。


 ほかの色や宝石を使ってミスリルと鉱物合成をおこなった結果、宝石の色が追加効果に影響していた。例えばルビーとレッドスピネルはどちらも火の強化となった。風の効果は緑色の宝石で、土の効果は黄色の宝石と判明した。


 さらに効果の大きさは宝石の品質に影響していて、高品質は効果が中で普通は効果が小となった。きっと最高品質は効果が大になるのだろう。


「ミスリルと宝石を使った鉱物合成の効果も分かったから、次に取りかかろう」


 合成のミスリルは、火と水と風と土の効果ごとに同じ量を作って、大理石は表面の見た目を優先して鉱物加工をおこなった。


 大理石を使う土台は直径20メートルの円で、その中央に高さ10メートルの女神像を建てる。女神像の姿は元の世界におけるレネ、女神レステアネの姿を思い浮かべながら作る予定だ。


 最初は土台から作り始めて、土台の手前には階段を設置する。きれいな大理石の土台が完成すると、いよいよ女神像の製作にとりかかった。


 4種類の合成したミスリルを女神像の場所ごとに使い分けて、鉱物合成と鉱物加工を収納空間内で使いながら女神像を完成させる。もちろん重心位置を背丈の中央よりも下側にして、安定性も向上させた。


 最後にルビーとサファイアの宝石を飾り付けるが、ゴールドやプラチナがないので服装部分に直接宝石を埋め込んだ。


「最後の仕上げだ」


 精神を集中してから土台の中央に女神像を出現させて、土台と女神像を鉱物合成で動かないように接合させた。土台にあがって全周方向から女神像を確認して、俺自身が思う女神レステアネの姿が再現できた。


 レネたちを呼びに行って、女神像を設置した拠点の中央へ来てもらった。


「俺が思う女神像だ。レネが問題ないと判断したら、この女神像を神器にしたい」


 俺の言葉を聞いてから、レネは女神像の周りをゆっくりと歩き回る。ときおりおどろいた表情を浮かべながらも、うれしそうな笑顔をみせていた。レネの感想をすぐに聞きたかったが、レネが俺の前に戻ってくるまで我慢強くまった。


 ほどなくしてレネが俺の前まで移動してきた。


「すばらしい女神像ですわ。少しの時間しか私を見なかったと思いますが、完成度が高くてうれしいです。宝石の配置もすばらしくて、服装の模様は地球と花かしら。強調しすぎずに存在感があって、全体との調和とデザインがキュウヤらしいです」


 よほどうれしかったのか、俺の手を取ってありがとうと付け加えた。


「レネは地球の女神だったから、地球の姿をどこかに取り入れたかった。それから植物スキルを使えるから、日本の国花である桜と菊も表現してみた」


 女神像の服表面を彫るように加工して、地球と桜と菊の模様を追加した。自己満足かも知れないが、元の世界のレネと今の世界のレネを一緒に表現したかった。結果的にレネも喜んでくれてよかった。


「ウォーン」


 シロガネもうれしそうに尻尾を振って、女神像の周りを走り回っている。


「キュウヤ様の鉱物スキルはすばらしいです。誰がみても賛美をおくりたくなるほど立派な女神像です」


「この女神像がもうひとりのレネ様でしょうか。どちらも美しくて、レネ様の神々しさが伝わってきます」


 ミネラルとハーブの順に女神像を褒めてくれた。みんなが納得してくれた女神像となったので、神殿の条件となる神器の品物が完成した。


「みんなが喜んでくれて、細部までこだわって作った甲斐があった。最後の仕上げとして、この女神像を神器にしたい」


「キュウヤがここまで準備をしてくれたから、最後は私に任せてください。女神像に神力を流せば、神器になりますわ」


 レネが土台にある階段を上がって、両手を女神像へつけた。レネの両手から何かしらが放出されているのを肌で感じ取った。きっと女神像へ流れる神力の一部が溢れ出しているのだろう。


 しばらくその状態が続いたが、レネはそっと両手を離して俺の元へ歩いてきた。


「終わりましたわ。これで女神像は神器となりました」


「ありがとう。神殿に必要な神器と信者、土地の用意できた。あとは神殿を造ると宣言するだけだが、その前にアコトカ神殿へ行って神アコトカへ報告したい」


 確認するようにレネへ視線を向けると頷いてくれた。


「それがよろしいですわ。明日はキュウヤと私でアコトカ神殿へ行きます。シロガネとミネラルにハーブは、拠点の留守番をお願いできるかしら」


「ウォーン」


「了解しました」


「心得ました」


 シロガネが意思表示してくれたあとに、ミネラルとハーブが頷いてくれた。俺たちは女神像に見送られながら家へと向かった。

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