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宝石だけじゃない、工学知識でモノづくり ~荒野での快適生活を邪魔する奴らは、返り討ちにする~  作者: 色石ひかる
5_幻獣フェンリルの子供

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第33話 不思議な新しい技

 翌朝の朝食後に、レネとシロガネと一緒にルーペンへ向かった。シロガネは元気充分なのか、歩いて俺たちについてくる。凶暴な中位魔物がいる荒野だが、俺たちから離れなければ安全だ。


 さすがにシロガネを街中で歩かせると危ないので、レネが抱きかかえてルーペンの門をくぐった。今日は冒険者ギルドによってから、農業ギルドへ行く予定だ。


 冒険者ギルドの扉を開けて中へ入って受付に行くと、イリスさんがいたのでイリスさんの窓口へ向かった。


「おはようございます。今日はどのような要件でしょうか」


 笑顔でイリスさんが話しかけてくれる。


「先日受けた依頼の薬草を採取したからもってきた」


「ヒーリラ草とヒーリリル草になりますわ。確認をお願いします」


 レネがアイテムバッグから、それぞれ30本ずつ取り出した。予想以上に数が多かったのか、イリスさんはおどろいた表情をみせた。


「すごい数ですが、ヒーリラ草とヒーリリル草か確認させて頂きます」


 イリスさんが奥へ薬草をもっていってすぐに戻ってきたが、手には薬草をもっていない。きっと奥へ渡してきたのだろう。


「魔石のように窓口で確認はしないのか」


 不思議に思って聞いた。


「魔石は買い取りが多いので、受付で魔石鑑定具を使用していますが、それ以外の品物は魔道具や鑑定できる人材が少ないので、奥のエリアで対応しています」


 俺の質問にイリスさんが答えてくれた。逆にイリスさんからは薬草の数が多かったので、どの辺りで採取されたか聞かれたので、フォリンタ森の奥と答えると驚いていた。心配もされたので、俺とレネなら大丈夫と答えておいた。


「そういえば、レネさんが抱きかかえている動物の子供はどうしたのですか」


「フォリンタ森で怪我したオオカミの子供を助けて、しばらくの間は飼う予定だ」


 フェンリルとは答えられないから、外見が似ているオオカミで通した。


「名前はシロガネで、とても賢いですわ」


 レネはうれしそうにシロガネの頭を撫でながら、俺のあとに答えてくれた。


「もし飼うのでしたら登録したほうが安全です。冒険者ギルドには使い魔を連れている冒険者もいるので、冒険者ギルドでも登録は可能ですよ」


 登録方法は魔法による契約などではなくて、首輪などに所有者が分かるプレートを着けるだけらしい。それだけでも野良の動物ではないと分かるので、盗まれる危険は減らせるらしい。


「それではお願いしたい。支払いは依頼の報酬から差し引く形でも平気だろうか」


「大丈夫ですよ。所有者はどちらにしますか」


 レネに視線を向けると、期待に満ちた目で俺を見つめる。


「レネでお願いしたい」


 俺の言葉を聞くと、レネはうれしそうに目を細めた。シロガネはプレートを着けるときも暴れたりせずに静かにしていたので、イリスさんからも賢いと褒められた。


 イリスさんがシロガネの登録を完了するころに、薬草の確認も終わった。


「すべてが高品質のヒーリラ草とヒーリリル草ですごいです。キュウヤさんとレネさんはシルバーランクですが、このまま依頼を達成すればすぐにでもゴールドランクになれますよ」


「俺たちに合いそうな依頼があれば、また今度受けてみる」


「お願いします。活躍を期待していますよ」


 イリスさんは答えたあとに、採取依頼の報酬とシロガネの登録料を計算して、差額分を俺とレネで受け取った。魔石の在庫があるのを思い出したので、下位と中位を少しだけ売って、価格の半額ずつを俺とレネの口座へ預けてもらった。


 冒険者ギルドをあとにして西側にある農業ギルドへ向かうが、その途中でアコトカ神殿の前を通りかかった。


「前回ステータスボードで新しい技が追加されたから、せっかくだから神殿に寄ってステータスを確認していきたい」


「構いませんわ。私も技が増えているか知りたいです」


 レネも技を確認したいようなので、アコトカ神殿の敷地へ足を踏み入れた。神殿がある奥へ歩いて行くと、神官のピーノスさんが近づいてきた。


「キュウヤさん、レネさん、お久しぶりです」


 挨拶を交わしたあとに要件を伝える。


「ステータスボードのみ使いたいのだが、構わないだろうか」


「大丈夫です。ところでそちらの動物は登録されていますでしょうか」


「問題ありませんわ」


 レネがシロガネのプレートをみせると、ピーノスさんは頷いてくれて、ステータスボードがある部屋へ案内してくれた。中に入る前に寄付として中位魔物の魔石をひとつ渡すと、驚きながらも有り難うございますと言って受け取った。


 ピーノスさんは部屋の隅に待機する。俺とレネは中央にある大理石のテーブルへ移動してから、俺からテーブルの上に手を乗せた。


 魔力恩恵などは変わらないが、またしてもスキルの技が追加されていた。


『鉱物生命という技が追加されて、どうやらスキル生命体を作れるらしい。スキル生命体は機能限定だが鉱物加工の技が使えるらしい。さすがにこの場所で確認はできないから、拠点に行ってから確かめたい』


『分かりましたわ。私も新しい技がないか確認します』


 レネからシロガネを預かって、今度はレネがテーブルへと手を乗せた。


『私の技は植物生命ですが、キュウヤの技と同じだと思います。スキル生命体が使える技は植物育成で、やはり機能が限定されていますわ』


『レネも技が追加されたのなら、今後も定期的に確認に来たほうがよさそうだ』


 楽しみな技が増えて拠点での確認が待ち遠しいが、今日は農業ギルドへ行く用事もある。ピーノスさんにお礼を言って、俺たちはアコトカ神殿をあとにした。


 農業ギルドへはアコトカ神殿から中央へ移動して、そこから大通りを西側に進むと見つかった。建物は冒険者ギルドや商工ギルドに比べて小さいが、周囲の店よりもしっかりしている作りだった。


「今日は薬草の育て方や肥料などの購入だが、ギルドへの加入はどうする?」


「いまのところは必要ありませんわ」


「分かった。農業ギルドはレネに任せて構わないか」


 俺が聞くよりもレネのほうが、話しはスムーズに進むと思う。


「分かりましたわ。ここは私に任せてください」


 シロガネは俺が預かって、レネと一緒に農業ギルドへ入る。ほかのギルドに比べると人影は少なかった。奥側にみえる窓口と思われる場所へレネが歩いて、そのうしろを着いていく。カウンターの中にいる女性は猫耳がある獣族だった。


「いらっしゃいませ。農業ギルドへはどのような用事ですかにゃ」


 明るい声で話す彼女は、きっとキャット族に違いない。独特の話し方だが、なぜか日本のアニメになれている俺には違和感はなかった。


「薬草の育て方と必要な肥料がほしいのですが、教えてくれないかしら」


「分かりました。農業に興味をもって頂いてうれしいですにゃ。せっかくなら、農業ギルドへの加入はどうですかにゃ。農業は楽しいですにゃ」


「今は考えていませんわ」


「そうですか。あっ、私は受付のイルミレーナですにゃ。もし農業ギルドへ入会したいのなら、いつでも声をかけてほしいですにゃ」


 農業ギルドのメンバーが少ないのか、農業を普及させたいのかは不明だが、イルミレーナさんは勧誘に積極的だ。


「私はレネで、となりがキュウヤですわ。オオカミの子供はシロガネで、登録してありますから安心してください」


「それでは私が説明しますにゃ」


 イルミレーナさんは、近くから資料を取り寄せて説明を始めた。


 どのような薬草を育てるのかをレネが答える。今回育てる薬草では育て方に大きな差はないようだが、基本的に薬草を育てるのは困難らしい。そのため通常は森で採取するのが一般的のようだ。とくにヒーリリル草は非常に困難のようだ。


 育て方の説明が終わると、関連する肥料の話しへ移った。肥料と水を与えるタイミングなどの説明を受けて、レネは育て方の資料と必要な肥料を購入した。肥料はとなりにある別建物の倉庫にあって、体育館並みに広さがあった。


 野菜などの苗を勧められていたが、レネは薬草に慣れてからにしたいらしくて、今回は苗の購入を見送った。


 農業ギルドの用事を済ませて、俺たちは拠点へと戻った。

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