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「あ、これ意外とうまいよ。食べる?」
目の前に差し出された真っ青なスナック菓子を見つめて考える。
なぜ、こいつはここにいるのか。
昨日、まさにこの場所で、秘密は漏らさないと宣言したはずなのだが。
「いらない?シーフード味らしいよ。見た目バグってるけど食べたら美味しいから」
見せびらかすように箱が軽く揺らされ、箱の中のお菓子がぶつかる音がした。
スティック状に形成されたジャガイモのお菓子は、青い商標で有名な企業とのコラボ商品らしく、パッケージだけでなくお菓子そのものも毒々しいほど青く着色されている。
綾斗は、差し出されたお菓子を手に取ることはせず、ゆーっくりと首を傾げた。
「なんで今日も来たの?言わないって約束したの、やっぱり信じられなかった?」
今度は猪瀬春太がゆーっくりと首を傾げる。
「え、なんで?信じてるけど」
「だって、口止め出来たのに、わざわざこんな辺鄙な場所に来る必要ないでしょ?
そもそも、よくここが見つけられたよね」
何気なく問えば、あっさりとそのタネを明かしてくれた。
どうやら猪瀬春太は、西脇との交流の中で、うちのクラスの時間割を大方把握していたらしい。
生物の時間に教室は空っぽとくれば、生物室で授業が行われていることは明白だ。
生物室から教室までのルートを探して見つからないのなら、食堂か、誰もいない研究棟にいるのだとあたりがつけられる。
見た目の印象から、人の多い食堂にはいないだろうと判断し、研究棟を探してみたら、まさにそこに綾斗がいたのだという。
つまり、俺は食堂に行きそうにない暗い印象だった、と?
見た目からして陰キャだったから見つけられた、と・・・。
綾斗は少しムッとしたものの、陰キャであることは間違いないので、それには触れないことにした。




