清史郎、黒幕になれず!
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9話目投稿!
冒険者ギルドの前に立つ。
ここに来るのも何度目になるんでしょうね。まだそんなに経ってないのですが、もう、何回来たかわかりませんね。
ため息混じりに清史郎はぼやく。
さて、当初の目的を果たしましょうかね。
バタンバタン鳴るドアを開ける。バタンバタン!
いい加減慣れましたね。このドアも。
けたたましい音が鳴るドアを抜ける。そこには、やってやったとばかりに満足そうな顔が2人。
「ガインさん、マリーさん戻りました」
「やっと来たか、清史郎ぅ。待ちくたびれちまったぜぇ」
「お酒飲んでただけじゃないですか。時々茶々入れるだけの簡単なお仕事でしょ」
「うっせぃ!アレはアレで必要だっつーの!」
ガインとマリーの会話はさて置き、清史郎は結果を求める。
「首尾はいかがですか?」
「上々よ。さあ、受け取って」
目の前にプレートが現れ、譲渡申請と表示されている。ツノウサギの肉、その数2819個!
どんだけ狩ってるのストレンジャー?そりゃ、狼もお困りになるがな!
「上々過ぎでは?尻の毛すら残らない勢いですね」
「清史郎君、下品ですよ。さぁ、受け取って。正規の手続きだから安心して」
「これは失礼。ではいただきますね」
清史郎は受諾する。
「こんだけありゃぁ、森狼達の飯は当分大丈夫だろぅ」
「ええ、ありがとうございます、ガインさん!マリーさん!」
どんだけ狩ってるんですかね、ストレンジャーの皆さんは。こちらとしては、ご飯が確保出来たので良いんですが。いや、良くありませんね。うちの子達が被害に合っているのですから。斬り捨てても許される気さえします!では、いざ冒険者登録をば!
「ガインさん、テイマーになったので冒険者登録しても良いですよね」
「そうだな、良いんじゃねぇか?」
「何でガインさんが決めるのよっ!元々良いのよっ!」
「わっーた、わっーた、うるせいなぁたくっ…」
マリーが憤る!
「ではマリーさん、登録お願いします!」
「じゃあ、この機械の上に手を置いて、ステータスプレートを広げてくれればいいわ」
「わかりました。ステータスオープン」
黒色の箱の中にステータスプレートが入る。一瞬の光と共にカードが浮かび上がる。
「すごいですね」
「でしょー。マジックアイテムなのよ!冒険者ギルド専用の!」
マリーは誇らしげだ!
「テイマーズギルドは、手書きでしたのに、こっちはマジックアイテムなんですねぇ。」
「どちらでも同じなんだけどね。テイマーズギルドのマスターは古い方が好きなのよ。それだけの違いよ。はい、これが貴方のギルドカードよ。最初はFランクからね。依頼をこなして行けばいずれ上がるわ。依頼は掲示板に貼り出してあるわ。依頼書を私に持ってくれば受け付けるわ。自分のランクと同じやつよ。簡単でしょ。期待してるわよ清史郎君」
「わかりました。分からない事があれば、その都度聞きにきますね」
「いつでも聞きに来るといいわ」
念願?の冒険者ですね。年甲斐もなくワクワクしますね。
「あー、マリーさん、少し聞かれたく無い話があるのですが。どこか良い場所ありませんかね?」
「あるわよ。私だけでいいのかしら?」
「いえ、ガインさんも同席して頂きたいのですが」
「俺もかぁ?」
「はい、ガインさんもです」
「重要なことなみたいね。分かったわ。2人とも付いてきて」
ギルド内部の会議室へ清史郎達は移動する。
「ここよ。普段は会議やらギルド内でしか使われない部屋よ。有事の際には使われるけどね」
「有事?」
「えぇ。モンスターの集団の討伐とか、ダンジョンの氾濫とか、そういった物を相談するところよ」
「そ、そうなんですね」
?????
「清史郎ぅ!わかってねぇだろ?」
「さっぱりですよ、ガインさん」
「簡単だ清史郎ぅ!モンスターを斬り捨てたら解決だ!」
「なるほど!とても分かり易い!斬って捨てましょう!」
「おう!その意気だ、清史郎ぅ!」
強引だが、その通りだ!
「まぁ、そんなとこよ清史郎君!」
これがモンスター溢れるキャッキャうふふですか…
「マリーさん、無理言ってすいません。私の考えてる事が確かなら、お金の匂いがしてくる話なんですよね。聞かれるとね、少し困るというか…」
「金だとっ!俺もそれに噛めんのか?」
「ガインさん、声が大きいです!やっぱりお金に困ってたんですか?」
「あー、ガインさん、あんまり仕事してないですもんね。たまに新人に絡むし」
「絡んでねーし。金にも困ってねーし」
「ドワーフの涙飲んでたのに?」
「ちょっ、おま、あれはあれで、っちクソっ、よ、酔えりゃあ良いんだよ!酒なんざ!」
やっぱり、お金に困ってたんですね。
「ガインさん、私は貴方が出来る漢だと確信しています。Cランクなんて越えて行ける人だと。今までガインさんの絡んだ人達は危うい行動を取りそうな人達だったんでしょう?アニマから聞きましたよ。面倒見のいい、漢気溢れる漢だったと」
盛りに盛って行きましょう。話の腰が折れるとまずいので。
「なぁっ!アニマのクソ野郎!何吹き込みやがったぁ!」
「そんな事どうでも良いんじゃないですか?出来る漢と、考える者、情報を集められる3人がいるんですから。あとは、擦り合わせるだけですよ…」
「清史郎君、悪い顔してますよ」
「おっと、失礼。素が出て来てしまいましたね。隠すのも難しいんですよね。内緒でお願いします、マリーさん」
いやいや、昔を思い出してしまいましたね。このゲーム危険ですね。いやいやダメダメですね、爽やかイケメンを心がけましょう。撫子さん達に嫌われたくありませんからね。
「ガインさん、冒険者に必要なもの、冒険者に欠かせないものを教えてください。マリーさんは、これから依頼が増えそうなもの、もう増えてるものとかあったら教えて下さい。少し時間を取りましょう。考えてください!」
しばし、考える時間を取り、清史郎は目を瞑り時間を待つ。
「そうさなぁ、必須ならポーションの類だ!体力、魔力問わず、状態異常の物も含んでなっ!後は武具だろう?」
「素晴らしい!流石Cランク冒険者!マリーさんは、何かありますか?」
「そうね。同じになるけどポーション類ね。それは間違いないわ!あとは、魔力、状態異常回復のポーション類、鉱石類、木材ね。武具や、アクセサリーの材料になる物だし。これらの依頼も今後上がるんじゃないかしら?ポーションの材料は少し上がってるわよ。この町では、マジックポーションや状態異常の回復ポーションの素材の扱いは無いから除外になるわね」
なるほどポーション。ガインさん曰く体力とかを回復するアイテムみたいですね。本当にチュートリアル役に立ちませんね。苦情を入れるべき案件ですね。なるほど、武具にアクセサリーですか。個人を強くする為のものですね。流通があるなら今のままでは支え切れないでしょうね。これは、お金の匂いがしてきましたよ。
「他の町からの輸送が追いつかない感じですか?」
「そうね。それに他の町でも同じ事が起こってるはずよね?輸送は望み薄だし。はっ、材料の調達で一獲千金ってことっ?」
「御名答!まさにそこです!私には集める手段がありません。知識もありませんし、どこにあるかすら不明です。だからこその相談になります。私も出来るなら参加したいんですが…」
清史郎は、やる気を仄めかす。黒幕でウハウハしてたいのが本音だ!
「なるほど、そう言う事ね。ガインさんはその辺は普通に出来るから大丈夫。後はプライドの問題ね。清史郎君は、手段が無いから私と相談ね。まあ、手段も無いことはないわ!これは、いけるわ!いけますわー!」
マリーさんの人格が崩壊してってますね。お金が好きなのは伝わって来ましたよ。手段はあるみたいです。これは実働部隊になりそうな予感!
「なるほど…俺の嫌ぇな素材調達をやらせようってこったな!」
「儲かるわよこコレ!」
「まじか!」
「マジよ!」
「よし乗った!」
目に¥が見える様だ!リムですけど!
「後は、私が参加出来れば万々歳ですかね?」
「少し待ってて、用意してくるから!」
足早に会議室を出て行くマリー。何が用意されるのか?少しの不安と、沢山の期待で会議室で待つ清史郎。
「清史郎ぅ、おめぇエグい事考えんなぁ?」
「そうですか?私の狼達に死を覚悟させた報いですよ。支払って当然でしょう?」
「がははっ!言うなぁ清史郎ぅ。面白れぇっ!いいぞ清史郎ぅ!だよなぁ、狼達の報いだな、肉くらいじゃ足りねぇわなぁ!」
「当然ですよ。私の仲間なんですから。当然慰謝料は頂きますよ!かなりの数がいかれてるんですから!」
「そう来たか。なら、俺とパーティ組もうぜぃ。1人より2人だろぅ?何なら、人数集めるぜぃ!」
「ガインさんの信頼のおける人だけでお願いしますよ。取り分が減ったら嫌でしょ?」
「話が分かるじゃねぇか、清史郎ぅ!任しとけやぃ。損はさせねぇよ」
「お願いしますよ、ガインさん」
何か悪の道に入りそうな会話でしたが、経済ですからねぇ、情報弱者が出ても仕方ない、これは仕方ないですよねぇ。ストレンジャーさん達には、少し痛い目を見てもらいましょう。
「清史郎ぅ、声かけてくらぁ、ここで待ってろぃ!」
「お願いしますガインさん!」
会議室を出て行くガインを見送る。入れ替わりにマリーが入って来る。
「材料は揃ったわよ清史郎君。ガインさんはどこへ行ったの?今すれ違いましたけど?」
「ガインさんは、人足の都合をつけに行きましたよ。ガインさんの信頼がおける人で!」
「そうですか、なら問題無いわね。じゃあ始めましょう。スキル獲得への道を!」
ん?スキル獲得?ジョブ以外と言う奴ですね。まあ、やるだけやってみましょう!為せば成る!と思いたい…
目の前に並べられるは、石と草。
これを正確に当てろとか。ねぇ、わかるでしょ?似たり寄ったりですよ。まあ、頑張りますよぉ〜、狼達のために!
「違うっ!それは銅鉱石でしょ!ほら、色見て色っ!まったく何度言ったらわかるのよ!鉄鉱石は、こっち、赤味がかってる方よ!見たらわかるでしょ!」
なじられまくりです。あー、黒幕ポジで行くべきでしたね。楽して儲ける。人を顎で使う!素晴らしい響きです。
まあ、もう始まってしまったんですよねぇこれが!始まってしまったら、どうしようもないですよねぇ。受け入れて行きましょう。
「もう一度お願いします!」
ははっ、全部草と石にしか見えないんですよね。チュートリアルでもそうでしたし。もう、慣れとヤケクソですよね。
「違う!こっちのギザギザが毒を消す方なのー!何度言ったらわかるの!」
なかなかの罵詈雑言。見慣れない草と石に翻弄される清史郎!何事も反復練習!
「これが薬草!これが毒を軽減する日陰草ですね。これは銅鉱石。そして、鉄鉱石ですね」
「出来るじゃない!私の目に狂いはなかったわ!」
『清史郎、鑑定スキルを覚えたわよ。おめでとう!』
「ありがとう、桜!」
なるほど、鑑定スキルを得る為のクイズでしたか。手が混んでますね。全部で10個の草と5個の石でしたよ。こんな感じでスキル増えたりするんですね。奥が深い!
「誰が桜よっ!」
「頭の中の妖精さんですかね?」
説明難しくないですか?システムは、現地の人達にもあるんですかね?
「マリーさん、鑑定スキルを覚えましたよ」
「おめでとう清史郎君!早かったわね。鑑定のLVは追々上げればいいわ。名前がわかれば採ってこれるしね。よし、準備は完了ね。後はガインさんの仲間次第よ!」
ガインさんの仲間次第とか、怖い言葉ですよね。かなり難易度上がりそうですけど、大丈夫ですよね。信頼してますよ。
「採掘は、ツルハシ降らなきゃ始まらないからね、ガインさんにお願いってことになるわね」
「わかりました。言い出しっぺなんで頑張りますよ!」
肉体労働なんのそのです!狼達のために奮闘しますよ!貧乏なパパとか、あり得ません、あり得ませんよー!
「悪ぃな!待たせた!コイツしか捕まらんかったわぁ」
「良いんじゃ無いですか?多くても取り分減りますしね」
「だな。コイツはキング。素材調達のエキスパートだ。チビでひ弱だけどな!」
「チビは余計ッス!ひ弱でも無いッス!」
「キングさんなら安心ですね。素材調達だけはエキスパートですよ、清史郎君!」
「ひでぇ!あっしの評価酷ぇッス!」
キングさんですか。小さいのに凄い名前ですね。三下口調なのが逆に面白いですね。キングなのに…
「キングさん、ストレンジャーの清史郎と申します。ジョブはテイマーです。仲間は療養中ですけどね。話は少しでも聞きましたか?」
「儲け話があると言われて来たッス!」
「その他は?」
「聞いてないッス」
「わかりました。ここから先、話を聞いたら抜けられません。このメンバーの集まりの話を口外する事さえ許しません。覚悟のほどは?」
「出来てるッス!合法ッスよね?」
「当たり前じゃないですか!」
「なら、異論はないッス」
いい人材ですね。エクセレントですよ、ガインさん!これ以上、人材はいらないですね。数が多い方が旨味があるんですが、程々で行きましょう。気楽に、気楽にね!
「総指揮はマリーさんにお願いします。指針は出しますけど、私達は実働部隊になりますからね。報酬は、後払い。経費はマリーさん、持てますか?ダメなら、質素倹約です!」
「経費は計上して。報酬から引くことにするわ。私の立替ね。失敗は許さないから!覚悟して!」
「許可が出ましたよ。お酒も経費です。飲み過ぎは、自腹になります!報酬から減額です。マリーさんは、売り時、もしくは買取額の増えた物を教えて下さい!それまで私でストックします。新人研修と言う名目で、ガインさん達と行動します。よろしいですか?」
「いいわ!ガインさんも、上に上がれるように新人研修頑張ってください!いい加減に!」
「耳が痛ぇ話しだな!わかった、ここらで一旗上げてやるぜぃ」
「キングさん、逃げ道はありませんがよろしくお願いします」
「かーっ、道中で聞くから、詳しく頼むッス!巻き込まれたらしゃあないッス!兄貴の為ッス!」
よし、同意は得られました。後は、行動あるのみ!やってみすか!
「では、取り敢えずご飯食べましょう。朝から動きっぱなしでお腹減りました…」
「しまらんなぁ!」
「食べて来なさい。大通りの赤いバンダナの人のとこで!良い串焼きだすわよ!今なら安いしね」
「ツノウサギですかね?」
「そうよ!大量購入してたし、薄利多売してるころよ!」
「では、行きましょうか、ガインさん!お酒は帰って来てからで!」
「わかってらぃ!」
「では、行きましょう!」
「「おう!」ッス!」
ミッションスタートです!インポッシブルじゃないから、気が楽ですね。
レベル1のテイマーが仕掛ける一大事業が展開される!
イジイジすっからね!