第二十二話 幼児おばさん
~~♪
スマホのアラームがなる。
重たい身体を起こし、私は支度を始める。
マイホームを手に入れた代わりに絵美とお金を失った私は、これからフルタイムで働かねばならない。
あんなに絵美のために子育てを頑張って、ケチなあいつが通帳の暗証番号を変えたせいで贅沢が出来ず、やむなく自分の小遣いを稼ぐためにパートをしてただけなのに、これからは全ての生活費をたった一人で稼がなくちゃいけないなんて・・・。
どうして私ばかり辛い思いをしなきゃいけないの!?
私の人生何なの!?
頼りないドケチなあいつが悪いのよ!
それに絵美だって男の子だったらもっと素直だったのに!
私を無視し始めた釘本も悪いわ!
杉田は元々悪かったけど、最近またエスカレートし始めたし!
前野さんは何を考えてるのかよく分からないし!
でも、松山が一番悪い!
どいつもこいつも!
あームカつくムカつく!
私がこんなに頑張ってるんだから、お前らは私を敬えよ!!
* * *
~~♪
え?もう朝?
さっき松山邸から帰って来て布団にダイブしたばかりのような感覚だが、あれからぐっすり寝て朝になったのか。
久しぶりに夜中に目を覚ますことなく熟睡できた。
私は簡単なメイクと身支度、朝食を済ませる。
今日のシフトは、赤山さん、松山、杉田、白石、私か。
悲劇のモンスターのエンカウントをどうにかして避けたい。
せっかく熟睡できて満足してたのに・・・まあいいや、頑張るか!
低血圧の私は、普段は朝から元気が無いが、今日は少し元気だ。
昨日、松山とのゲーム対戦に惨敗し「三食きちんとご飯を食べる罰ゲーム」を命じられたため、仕方なく今週一週間は実行することになっている。
朝ごはんなんてほぼ食べたことが無かったため、なかなかヘビーに感じる。
しかも、証拠のために三食の写真を撮り、食べ終わった写真まで送って欲しいなんて言われたから、やらざるを得ない。
全く、松山は手間のかかる罰ゲームを考えたもんだ。
「おはようございます!」
「松山君、おはよう!」
「おはよ。」
僕が作業場に入ると、杉田さんと釘本さんしか居なかった。
「あれ?赤山さんはどこに行ったんですか?」
「赤山さんはさっき携帯に電話がかかってきたみたいで、勝手口から出て行ったわよ。」
「電話?」
「予約が何とかって言いながら出て行ったよ。病院の予約とかだと思う。」
スマホのことを未だに携帯と呼ぶ杉田さんと、釘本さんはそう答える。
赤山さんは何かの病気なのだろうか?
いつも奇声ばかり上げるから、ついに喉に不調が出始めたのかな?
動物の鳴き真似もほどほどにしないと危ないよ。
「そういえば松山君、釘本さん。昨日あげた"神田饅頭"は食べてくれたかしら?」
「はい!とても美味しかったです!」
「そう、ありがと!釘本さんの分は忘れずに渡してくれたでしょうね!?」
僕が釘本さんの方を見ると、彼女は「やっべ・・・」と口を動かしていた。
昨日僕の家でゲーム対戦した後に持って帰ってもらうつもりだったのに、釘本さんはソファーを占領するようにうたた寝してしまった。
釘本さんが寝ている間に僕はお饅頭を食べたけど、彼女は深夜23時近くまで起きなかった。
僕は睡眠時間が削られたくなくて無理やり起こし、大急ぎで家まで送ったために、お互い釘本さん分のお饅頭の存在をすっかり忘れてしまった。
これは少し責任を感じる。
「釘本さん!あんなに餡子がぎっしり詰まっていながらも甘さ控えめで食べやすいお饅頭は初めてですよね!」
「・・・そうそう。江戸の品格を感じた気がする。」
「あら!江戸の品格なんて!そんな表現をしてくれるなんて私も嬉しいわ!」
良かった。
釘本さんは僕の調子に話を合わせ、杉田さんの「爆弾スイッチ」を押さずに済んだようだ。
そうこうしていると、白石さんが出勤して来た。
「白石さん、おはようございます!」
(・・・はぁ~~~。)
白石さんは何やら大げさにため息をつき、わざとらしく肩を大きく落としながら入室する。
「あれ?白石さん、挨拶はどうしたんですか?無視ですか?もしかして"例の件"で打ちひしがれてる"ふり"をしてるんですか?あれは誰のせいでもなく、白石さん本人のせいなので、不貞腐れてる場合じゃないと思いますよ。別に挨拶は無視しても良いですが、業務上話さなければならない時だけは答えてくださいね!」
「・・・。」
僕が話しかけると、白石さんはジト目で睨みつけて来る。
「松山君、"例の件"って何よ?」
「あれ?杉田さんはご存じ無かったんでしたっけ?あえて僕の口からは言いません!白石さんは自分語りが大好きみたいなので、きっとすぐ自分から皆に言って回るでしょう。なにせ"悲劇の話題"ですから。その時まで杉田さんは我慢してください!」
「何よそれ。やっぱり私は聞かなかったことにするわ!私の悪口を陰で言っていた人のために親身になる義理も無いからね!人情に付け込まれてたまるかってんだい!」
単純明快な杉田さんでも、さすがに白石さんの「手口」には騙されないようだ。
元「辞める辞める詐欺師」の杉田さんの方が一枚上手だったということだ。
* * *
僕らがそれぞれの業務をこなしていると、赤山さんがやっと戻って来た。
「赤山さん、おはようございます!朝からお電話だったんですね!」
「おはよう!ごめん松山君、俺は明後日どうしても用事があって、休みをもらいたいんだ!で、急遽松山君は明日休みにしても良いかな?しばらくは俺と松山君のシフトは丸被りにするって言ったけど、明日と明後日だけシフトをいじらせてもらうよ!」
「はい、良いですよ!」
「いや~ストレスって大変だよな~!それに最近喉の調子が悪くってさ~!俺がこんなに頑張ってるのに、誰も褒めてくれないからさ~!そうだ、松山君の来月のシフトはそろそろ・・・」
「赤山さん、ちょっと待ってください!赤山さんが"今必要な連絡事項"は"明日と明後日のシフト"についてだけですよね?なんで来月のシフトの話まで語り出そうとしてるんですか?まだまだ半月以上先の来月のシフトのことなんて、僕が覚えられるわけがないでしょう。必要な情報だけ、その都度教えてください!」
「・・・ッ!!#$%&!!!」
赤山さんはいつものごとく、謎の宇宙語を発して言い訳をする。
最近本音で対応し始めたと思ったのに、やはり個人的な不都合事項は言い逃れするようだ。
赤山さんは壁に貼ってあるシフト表に向かう。
明日の僕のシフト、明後日の赤山さんのシフトが「×」に書き換えられた。
「赤山さぁ~ん、ちょっとシフトのことで相談があるんですけどぉ~・・・。」
「ん?どうしたの、白石さん?」
「ここじゃあ何ですしぃ、今日のお昼からで良いのでぇ、事務所で店長と一緒に相談したいんですけどぉ・・・。」
「あ~分かった。じゃあ、定時になったら事務所で話そうか!後で店長にも伝えておくね!」
「はぁ~い!ありがとうございますぅ~♪」
今日の白石さんは様子が変だ。
最近ずっと変だけど、今日は特に話し方が変だ。
やたらと語尾を伸ばして、女児みたいな話し方でアニメ声を出す。
声優でも志してるんだろうか?
* * *
杉田さんは「いつも三人にお弁当の手伝いをしてもらうのが気の毒だから」と、今日はお弁当ではなくお寿司担当を申し出た。
サンセットのお寿司は、フードセンターから届いた完成済みの巻き寿司をただ切ってパックするだけという、とても簡単な仕事である。
また、いなり寿司も既に出来上がっているため、こちらも同様だ。
それだけだとお寿司担当の仕事があまりにも早く終わり過ぎるため、焼きそばや皿うどんなどの麺類、かしわおにぎりの製造とパックも兼任することになる。
かしわおにぎりはポテトサラダのようにキットを使用する。
洗ったお米を大きなホテルパンに流し込み、キットを入れて少し混ぜる。
その後スチームコンベクションと呼ばれる、業務用のとても便利な調理機械を使って蒸すのだ。
かしわおにぎりを蒸らすには30分以上かかるため、作業が滞らないよう、7時出勤の赤山さんは麺類や焼きサバ、焼き鳥などを8時出勤者が来るまでに仕上げているそうだ。
お寿司担当なら、仕事の遅い杉田さんでもワンオペで大丈夫だろう。
しかし、白石さんもお寿司担当を希望していたのか、杉田さんが申し出るなり不服そうに赤山さんに駄々をこねる。
白石さんが「お弁当は難しいからぁ~」と申し出たので、僕と二人でパック担当を指示するも「でもぉ~新人教育は私の仕事ではないのでぇ~」と食い下がる。
だったら揚げ物はどうかと赤山さんが尋ねるも「だってぇ~、揚げ物は危ないからぁ~、お肌が火傷しちゃうからぁ~」などと話にならない。
それを聞いていて、僕には引っかかることがあった。
「白石さん、ここはおうちではなく職場ですよ。語尾を伸ばしてゆっくり・まったり・じっとり・ねっとり・べったりと話す口調、止めたらどうですか?今までそんな話し方、したこと無いではありませんか。そんなにゆっくり話されると、ただでさえ忙しいお惣菜の仕事が滞りそうです。それにあれも嫌だこれも嫌だって、駄々っ子ですか?それが許されるのは幼児だけですよ。あなたはいくつですか?確か釘本さんと同い年だから、40歳ぐらいですよね?介護保険を支払い始める年齢の人が幼児化なんて、正直目も当てられないですよ。せめて還暦を迎えてから幼児に戻って行ってください!そんなにお寿司担当が良いなら、寿司屋に修行に行った方が賢明かもしれませんね!40歳はまだまだ転職のチャンスはありますし、世の中たくさん仕事がありますから!」
「・・・ッ!?」
白石さんはじごくのピエロのような表情をして、僕を睨みつけてくる。
「ひどいよぉ~!私はこんなにたくさん頑張ってるのにっ!赤山さぁ~ん!お願いです、助けてくださぁ~い!」
「うわちょちょちょ!?白石さん落ち着いて分かりました釘本さん悪いけどそろそろ松山君にお弁当でも教え始めようかそれが良いそうしよう白石さんは今日パックをお願いしますほらほら持ち場についてください!」(うわー!!そんなにべったりくっ付くな!バストを擦り付けて来んな!怖い怖い!白石さんは好みじゃないんだよ!俺が好意を寄せてるのは釘本さんのような瓜実顔の古風な人なんだよ!)
赤山さんは「シェー」のポーズで白石さんを避けるようにのけ反り、一言も噛まずに息継ぎもせずに、早口言葉を述べた。
あんなに早く喋れるなんてすごい!
肺活量もとんでもなさそうだ!
「赤山さん、弁当は私がやります。」
「釘本さん、ありがとう!」
「じゃ、松山、今日は弁当を教えるから覚悟しな!」
「了解です!受けて立ちます!杉田さんの手伝いでいくつか作らせてもらったけど、全部のお弁当覚えられるかな~?今日は釘本さんに基本のやり方を教えてもらいますが、杉田さんのこだわりの入れ方も学びたいので、基本を覚えたら杉田さんにも質問していいですか?」
「もちろんよ!釘本さんも教えるのがいっぱいいっぱいになったら、私に頼ってちょうだい!いつものお礼よ!」
「ありがとうございます、そうします!」
釘本さんにばかり教えてもらうと、商人魂のベテラン杉田さんが焼きもちを焼いてしまうかもしれない。
その矛先が釘本さんに向くリスクがあるため、僕は杉田さんにも今後教えてもらうアピールをしておいた。
* * *
赤山さんはさっき「おなかが痛い」と言い残してから、トイレからなかなか戻って来ない。
白石さんの悩殺上目遣いで「どく状態」にでもなってしまったのだろうか?
それぞれ作業をしていると、包材の業者さんが作業場にやって来た。
この前僕が初めて発注にチャレンジした分が、今日納品だからだ。
「お疲れさまです!検品をお願いします!」
「はーい。松山、私が検品するから弁当進めといて。」
「分かりました!」
「お待たせしました。え~っと、"15×15オレンジトレイ"が・・・50本!?」
「はい。ご注文用紙に"50"と記載されてFAXが届いたので・・・。このトレイは"1本"に"50個入ってる"ので、"50個"欲しい時は"1"と記載すれば良いと電話で確認したかったのですが、電話に出た方は"俺が最後にチェックして送ったから大丈夫だよ~!"とおっしゃったので、たくさん使うんだろうな~と思ってそのまま納品に伺いましたが・・・。」
(??木曜日のタイムサービスは確かにポテトサラダだけど、たくさん出来たとしても50パックほど。つまり1本だけ追加注文すれば、在庫もまだたくさんあるんだけど、なんでこんなにたくさん発注する必要があるの?私は発注日に休みだったから分からないんだよなぁ。)
僕がお弁当を続けている時、釘本さんと包材の業者さんが「50本」だの「1本」だの話し込んでいるが、僕にはよく分からない。
「あいにく今、責任者が席を外していて、確認ができないですね・・・。」
「いつ頃お戻りになりますか?それか私が事務所に伺いましょうか?」
「いえ、あの、おなかが痛いとトイレに行ったっきり戻って来なくて・・・。」
「あ、あ~そうですか。とりあえず、一応注文されたことにして、50本分のオレンジトレイは置いて行きましょうか。でも、これだけたくさんあると場所を取りますよね~。責任者の方がお戻りになられたら、弊社にお電話いただけますか?ただ、私はこれから三つ隣の市まで配送に向かわねばならないので、今日返品となると私は取りに行けかねます。もし返品なら、責任者の方に弊社まで持って来ていただくとお伝えください。」
「分かりました。こちらにも責任がありますので。私もなぜこんなことになったのか分かりませんので、確認次第、事務所にお電話しますね。」
「すみませ~ん!よろしくお願いしま~す!」
包材の業者さんはその場を後にした。
しばらくして、ようやく赤山さんが戻って来た。
釘本さんが事の経緯を説明するなり、赤山さんは顔を真っ赤にして、包材の業者さんの事務所に電話をかけ始めた。
その後、大声で念仏のようなものを唱えながら僕の方に向かって来る。
「松山君、俺の話、聞いてる・・・?」
「はい。赤山さんどうしましたか?」
「今日の午後2時、ちょっと和田商会にトレイを返品しに行ってくるから。」
「了解です。お気をつけて!」
「いや、お気をつけてって・・・。君、できればこう、すみませんとか、ね?」
「君・・・?もしかして僕の名前を忘れましたか?僕の名前は松山優ですよ。優と書いて"すぐる"と読みます。」
「いや、名前を忘れたわけじゃないから!元はといえば君・・・松山君のミスだよね?なんでサラダ用のトレイを2500個分も発注しちゃったの?」
「50個ほど欲しかったので、発注用紙に"50"と記入しました。」
「発注単位をよく見た?単位は"束"って書いてあると思うんだけど。あの容器は"1束に50個入ってる"から、50個欲しいなら"1"って書くように、前に何度も教えたはずなんだけど・・・。」
「そうでしたっけ?記憶にございませんでした!」
(・・・ッ!!#$%&!!!)
赤山さんはなぜか僕を攻め立ててくる。
容器を発注したあの日、発注用紙に一通り記入した後、僕は赤山さんにダブルチェックをお願いした。
でも、赤山さんはチェックしようともしなかったじゃん!
その時の赤山さんは「在庫と照らし合わせながら発注したんでしょ?なら大丈夫でしょ。わざわざ俺に見せなくても良いから、早くFAX送って来てよ!もうすぐ発注時間が締め切りになるから!急がないと!」と、ただ急かしただけだった。
つまり、これは僕だけの責任ではなく赤山さんにも落ち度があるということだ。
その引っかかったことを赤山さんに問おうとしたが、「12時には白石さんの件、午後2時には和田商会の件。和田商会までここから30分以上かかる。ということは、遅くても13時半にはここを出なきゃいけない。休憩、12時半から取れるかな~?店長、一度事務所で顔を合わせると話が長いんだよなぁ~。12時半までに終わってくれなかったら俺の休憩時間を短くしなきゃいけなくなるな~。くぁああー!いっそ早めに休憩取っとくかー!」などとぶつぶつ言いながら、赤山さんは珍しく11時台に大急ぎで休憩に行ってしまった。
赤山さんは自分の落ち度にも気づく様子もなく逃げてしまったため、僕も知らん顔することにした。
12時。
俺は一旦作業場に戻った後、白石さんを連れて事務所へ向かう。
今日の白石さんはとても怖い。
目が血走っていて、鼻息がフガフガして、やたらと身体を擦り付けて来ようとする。
嫌だ嫌だ!俺は"おかず"じゃない!白石さんに"食べられて"たまるか!
どうせ"食べられる"なら釘本さんがいい!
バツイチ同士、ワンチャン・・・いや待てよ。
最近、釘本さんと松山君はやたらと仲が良い気がする。
それに、この前だってLINEがどうのこうのって言ってたじゃないか。
なんでなんでなんで!?なんで俺じゃないの!?俺の方が釘本さんと同じ時間を過ごして来たのに!!
松山君に見せつけられたことで、釘本さんへの好意を自覚したことで、俺は今まで以上に釘本さんを独り占めしたいような気持ちが芽生え始めている。
いかんいかん!またよからぬ妄想を始めてしまった!
頭の中の邪な妄想をかき消し、事務所の扉を開ける。
「白石さん、どうしたの~?さっき山ちゃんからシフトの相談があるって聞いたけど?」
「店~長ぉ~。実は私、前々から嫌気がさしていた元夫と離婚してぇ~、それで収入が必要になったのでぇ~、時短勤務からフルタイムに変えていただけないかなぁ~って思ってるんですけどぉ~。」
「え、そうなの~?離婚かぁ~、大変だよね~。」
「そうなんです!もう本っ当にっ!別れたあいつはいつもケチだし頼りないし、娘は女の子なのにヒーローが好きだって!ヒーローは男の子が好きになるものだって決まってるから、私は誰よりも頑張って娘を女の子らしく育ててあげたのに、あいつは私の気持ちなんて知らずに娘をヒーローショーに連れて行ったんです!もう最っ悪っ!おまけに娘の親権も養育費もあいつが全て・・・」
「ちょっと待って!!今ヒーローショーって言った!?言ったよね!?もしかしてこの前の大場モールのヒーローショー!?実は俺も午後休を取って観に行ったんだよ!いや~元旦那さんは良い趣味してるな~!そう!ヒーローショーのメインといえば、宇宙の至高・ブルースター!!ああ、我はあなたに全てを捧げます・・・。」
「ちょっと!?」
「は、早川店長!今は白石さんのシフトの話のはずですが・・・。」
「・・・んあ。ごめんごめんシフトね~!う~ん、惣菜の責任者は山ちゃんだし、山ちゃんが決めていいよ。」
「え!?」
「俺は店長と言ってもフロア担当だし、現場のことは知らないから!現場の責任者は山ちゃんだから、山ちゃんが決めなよ!そしたら俺も人事部の人にそう伝えるから!」
「・・・ワカリマシタ。」
この萌えブタクソハゲがああーーー!!
外ヅラは良いくせに肝心なところは全て丸投げしやがってー!
そのヅラみたいな薄毛もどうにかしやがれー!
「赤山さぁ~ん、お・ね・が・い♪」
「・・・ッ!!#$%&!!!」
ぎゃあああああああああ!!
幼女なら様になる上目遣いの悩殺ポーズで、白石さんは俺をロックオンする。
この恐怖の一撃必殺から免れるには、白石さんをフルタイムにする以外、選択肢は無いようだ・・・。




