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「滅びゆく国なのでしょう」
「通行手形は発行されたものの……」
俺は宝石のついたペンダントを首にぶら下げながらぼやくように言った。
「王は引きこもったまま。政治や外交に影響が出るように思うのだが」
「滅びゆく国なのでしょう」
ミリィは淡々とした口調で言う。
「あの人は常に死に怯えて生きてきた。齢二千を越えてそれが今更変わるとは思えませぬ」
「そなたは死は怖くないか」
「愛する者に取り残される恐怖の方が多きゅうございますれば」
苦笑まじりに言うミリィ。
「なるほど、あんたらが長寿の秘訣を探す理由がなんとなく見えてきたわ」
と、リンド。
水の都は静かだ。
そのうち何か変異が起こるかもしれない。起こらずに衰退していくかもしれない。
どちらにしろ、他国の王である俺には預かり知らぬところだ。
「行こう。若干惜しいがな。この水の都が衰退するかと思うと……」
「案外民は逞しいものですよ」
ミリィは淡々とした口調でいう。
俺達は死に怯えた王を残し、行く。
罪を犯した結果、死に怯え続ける王。
不死のいく末を見た気がした俺だった。
成人期ラハル編・完




