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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第八章・成人期ラハル国編

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「貴女の真心なのです」

 俺達はあの断崖絶壁にやってきた。

 リンドは戸惑うように言う。


「進展はないって言ってたよね? どうするつもりなの?」


「大事なのは、貴女の真心なのです。お借りしますよ、貴女の心の声」


 ミリィはそう言って、リンドの背に手を置く。

 魔力が解放された。

 地面が震える。


 莫大な魔力。

 ハイラルの魔女。


 リンドは目を見開いていた。


「この魔力規模……あんた、一体……?」


「集中して。貴女がなぜ病の解決を望むか。なぜ人魚の血を必要するかを。それが、私を人魚達に伝えるから」


 リンドは戸惑っていたが、そのうち目を閉じて念じ始める。

 魔力増念波の応用。

 莫大な魔力で莫大な範囲へ。


 我が嫁ながらとんでもない。

 俺は半ば呆れつつその光景を見ていた。


 そのうち、脳裏に声が響いた。


「残念ながら、私達の血には、病気を癒す力はないわ」


「そうですか、ありがとうございます」


 ミリィの声が響く。


「ヘンリルに行ってみなさい。そこは、その手の技術が残存しているはずだから」


 それきり、声は途絶えた。

 リンドは戸惑うように言う。


「ヘンリルには行ったよ? 何もなかった」


「魔術の素養がなければわからないこともあります。私が一助になれるかもしれません」


 ミリィは淡々とした口調で言う。


「気ままな夫婦旅だったのだがなあ……」


 俺は遠い目をして言う。

 しかし、目的地は決まった。

 次はヘンリル。

 錬金術が栄える国だ。



つづく

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