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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第八章・成人期ラハル国編

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「ただのお兄さんだ」

 深夜、夜陰に隠れて飛行する。

 城壁を超えた。


 そして、下降する。


「案外あっさりしたものだったな」


 俺は戸惑い混じりに言う。

 国王は仙人。俺達の侵入など立ち所に探知しそうなものだ。


「護衛に自信があるようですね」


 ミリィは淡々とした口調で言う。

 嫌な音が聞こえてきた。


「ヴーン……ヴーン、ヴーン、ヴーン」


「ヴーン・ソルジャーか」


「ヴーンだって⁉︎」


 リンドが悲鳴のような声を上げる。


「古代時代の殺戮兵器じゃないか! そんなの、命がいくつあっても足りないよ」


「旦那様」


「ああ、任せろ」


 ミリィに促されて俺は剣を抜く。


「やめろ、馬鹿!」


 リンドの声に弾かれたように、ヴーン・ソルジャーが立ち上がった。

 その頭部が開き、魔法の矢が放たれようとする。


「案外、簡単だな」


 俺は呟くと、次の瞬間圧倒的な速度でヴーン・ソルジャーに肉薄していた。

 そして、開いた頭部に拳を叩きつける。

 ヴーン・ソルジャーは煙を吐いて崩れ落ちた。


「ば、化け物……」


 リンドが唖然としたように言う。


「ただのお兄さんだ」


 俺は淡々とした口調で言った。


「旦那様ももうオッサンの年でありますれば」


 ミリィは楽しげに言う。


「二十代前半でオッサン判定は厳しいと思うのだがなあ、まあ、いざ王だ」


 俺の言葉に、一行の表情が引き締まる。

 俺達は、人魚を捕らえたという王の下へ向かおうとしていた。



つづく

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