「……歌?」
俺達は戸惑った。
それに真っ先に気づいたのはミリィだ。
「魔力探知に何かが引っ掛かりました」
リンドが身を乗り出す。
「人魚か?」
「……歌?」
ミリィは戸惑うように言う。
俺達にも聞こえてきた。
歌だ。
脳が溶けるような歌声。
ミリィが魔力結界を張る。
しかし通じない。
意識が遠くなっていく。
次に目が覚めたのは、水上だった。
皆、ぷかぷかと浮かんでいる。
ミリィの肩を揺する。
「ミリィ、ミリィ」
ミリィは放心していた。
「驚きました」
心底驚いたようにミリィは言う。
「スカーレット様に鍛えられた私の魔力障壁を透過するとは」
「ガエリオを唱えるべきだったかな?」
ガエリオ。魔法を殺す式だ。
「無駄でありましょう。あれは魔法であって魔法ではなかった。純粋な魔法なら私の障壁に阻まれたはずです」
沈黙が漂う。
「前進はあったな」
俺の言葉に、ミリィは頷く。
「人魚は、実在します」
「とりあえず、リンドを暖かい場所に連れて行こう。このまま海に放置するわけにもいくまい」
そう言って、俺は壁をよじ登り、リンドが突き刺したらしい大剣を抜く。
神通力を使わなければとても持てないだろう重い剣だ。
「妙な話になってきましたねえ」
とぼけたようにいうミリィだった。
続く




