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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第八章・成人期ラハル国編

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「……歌?」

 俺達は戸惑った。

 それに真っ先に気づいたのはミリィだ。


「魔力探知に何かが引っ掛かりました」


 リンドが身を乗り出す。


「人魚か?」


「……歌?」


 ミリィは戸惑うように言う。

 俺達にも聞こえてきた。

 歌だ。

 脳が溶けるような歌声。


 ミリィが魔力結界を張る。

 しかし通じない。


 意識が遠くなっていく。


 次に目が覚めたのは、水上だった。

 皆、ぷかぷかと浮かんでいる。


 ミリィの肩を揺する。


「ミリィ、ミリィ」


 ミリィは放心していた。


「驚きました」


 心底驚いたようにミリィは言う。


「スカーレット様に鍛えられた私の魔力障壁を透過するとは」


「ガエリオを唱えるべきだったかな?」


 ガエリオ。魔法を殺す式だ。


「無駄でありましょう。あれは魔法であって魔法ではなかった。純粋な魔法なら私の障壁に阻まれたはずです」


 沈黙が漂う。


「前進はあったな」


 俺の言葉に、ミリィは頷く。


「人魚は、実在します」


「とりあえず、リンドを暖かい場所に連れて行こう。このまま海に放置するわけにもいくまい」


 そう言って、俺は壁をよじ登り、リンドが突き刺したらしい大剣を抜く。

 神通力を使わなければとても持てないだろう重い剣だ。


「妙な話になってきましたねえ」


 とぼけたようにいうミリィだった。



続く

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