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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第八章・成人期ラハル国編

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「部下に欲しくなってきたのではありませぬか?」

 北の浅瀬に来てみた。

 ミリィの杖に乗ったから簡単な移動だった。

 着陸し、絶壁の上から眼下を見つめる。

 岩肌が水面から飛び出していた。


「……これは船が座礁しような」


 俺はぼやくように言う。


「船とはそんなにやわなものですか」


「木造ゆえな」


 淡々とした口調でいう俺。


「人魚は歌を歌って人を誘い船を座礁させるという。しかしこの浅瀬では座礁して当然だ。波にさらわれた船が座礁した。整然そんなものだな。わかってしまえばなんてことはない御伽話だ」


 俺はぼやく。

 ヒントは近づいたと思った。

 しかし、遠ざかるばかりだ、


「あんたら、魔法使いか」


 背後から声をかけられて、振り向く。

 リンドがいた。


「先に出た私より早いとは大した魔力だ」


「私の嫁はハイラルでも指折りの魔法使いゆえな」


 本当はダントツだ。しかしそれを言えば身の上がバレる。

 リンドは胡散臭げに俺達を見ると、横に並ぶ。そして眼下を見て、苦い顔をした。


「そりゃあ座礁するわな」


 ぼやくように言う。


「同意見だ」


 苦い顔で言う俺。


「しかし、この辺りに隠れ洞窟などがあるかもしれませぬよ? 何せ、徒歩でも船でも立ち入れぬ場所。何が隠れているか分かりませぬ」


 ミリィの発言に、俺とリンドは腑に落ちたような表情になる。


「調べてみるか。君も一緒に来るか?」


 俺はリンドに声をかける。


「いらねえよ」


 そう言うと、リンドは跳躍して崖の下へ跳躍していった。

 俺は驚いて崖下を覗き込む。

 水面スレスレの壁にリンドが大剣を突き立てて静止していた。


「……大した腕前だな」


 岩壁を豆腐のように切るとは。


「部下に欲しくなってきたのではありませぬか?」


 ミリィが揶揄うようにいう。


「制御できそうにないイレギュラーは御免だ」


 俺はぼやくように言うと、ミリィの杖に跨った。

 ミリィは杖に手を添え、崖下へと降りていく。

 浅瀬に降り立ったリンドと、一瞬目が合う。

 しかしリンドは目を逸らし、さっさと歩いていった。



つづく

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