「部下に欲しくなってきたのではありませぬか?」
北の浅瀬に来てみた。
ミリィの杖に乗ったから簡単な移動だった。
着陸し、絶壁の上から眼下を見つめる。
岩肌が水面から飛び出していた。
「……これは船が座礁しような」
俺はぼやくように言う。
「船とはそんなにやわなものですか」
「木造ゆえな」
淡々とした口調でいう俺。
「人魚は歌を歌って人を誘い船を座礁させるという。しかしこの浅瀬では座礁して当然だ。波にさらわれた船が座礁した。整然そんなものだな。わかってしまえばなんてことはない御伽話だ」
俺はぼやく。
ヒントは近づいたと思った。
しかし、遠ざかるばかりだ、
「あんたら、魔法使いか」
背後から声をかけられて、振り向く。
リンドがいた。
「先に出た私より早いとは大した魔力だ」
「私の嫁はハイラルでも指折りの魔法使いゆえな」
本当はダントツだ。しかしそれを言えば身の上がバレる。
リンドは胡散臭げに俺達を見ると、横に並ぶ。そして眼下を見て、苦い顔をした。
「そりゃあ座礁するわな」
ぼやくように言う。
「同意見だ」
苦い顔で言う俺。
「しかし、この辺りに隠れ洞窟などがあるかもしれませぬよ? 何せ、徒歩でも船でも立ち入れぬ場所。何が隠れているか分かりませぬ」
ミリィの発言に、俺とリンドは腑に落ちたような表情になる。
「調べてみるか。君も一緒に来るか?」
俺はリンドに声をかける。
「いらねえよ」
そう言うと、リンドは跳躍して崖の下へ跳躍していった。
俺は驚いて崖下を覗き込む。
水面スレスレの壁にリンドが大剣を突き立てて静止していた。
「……大した腕前だな」
岩壁を豆腐のように切るとは。
「部下に欲しくなってきたのではありませぬか?」
ミリィが揶揄うようにいう。
「制御できそうにないイレギュラーは御免だ」
俺はぼやくように言うと、ミリィの杖に跨った。
ミリィは杖に手を添え、崖下へと降りていく。
浅瀬に降り立ったリンドと、一瞬目が合う。
しかしリンドは目を逸らし、さっさと歩いていった。
つづく




