↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第七章・成人期イリス国編2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/127

「その時間は取れませぬ」

 イリス国に辿り着くと、王は健在なようだった。

 ひとまず胸を撫で下ろす。


 二人で謁見の間に入る。

 話を聞いて、イリス国王は不味いものでも飲み込んだ表情になった。


「不死者殺し、とな」


「はい、そういう噂が出ております、陛下」


「私もターゲットにされる、と思うかね?」


 イリス国王はすっかり若返った。

 一人称が儂から私に変わっているし、喋る速度も前より速い。

 不安げな老人から冷静沈着な王に変貌していた。

 俺では答えかねるのでミリィに訊ねた。


「……ミリィ、そなたの意見を聴きたい」


「率直に言えば、陛下は魔力の素養がないから探知される心配はないかと思います。ただ、人の口に戸は立てられぬもの。陛下は不死になったと自ら喧伝された。それが諸国を回り回ってかの者に伝わる可能性はあります」


「ううむ……」


 イリス王は唸る。


「王位継承者を決めねばならぬな」


「最初からそれで良かったのでは?」


 俺は肩透かしを食らった気分になる。


「決めれば弟王子がいれば反乱の機運も高まったろうが、生憎今は全員異空間の中だ。一人だけ帰還させれば問題あるまい」


 淡々とした口調で言う。


「残りの弟殿下は一生仙人の世界で……?」


「正直、政争に利用されるよりはマシな気がしておるよ」


 飄々とした口調で言う王。

 若返ってみるととんだ化物だ。


「そこで折り行って頼みがあるのだが……」


 嫌な予感がした。


「陛下。陛下の折り行っての頼みは一度聞いております。陛下を不老にしてさしあげたでしょう?」


「しかし、今私がいなくなれば国が混乱するのだよ。後のことを万全にするまでに護衛に……」


「その時間は取れませぬ」


 ピシャリと言う。


「我妻ミリィは余命幾ばくもない身。その寿命を伸ばすために時間を使いたい。それに私も自国のことがある。いずれは国に帰らねばならぬでしょう。傭兵感覚で雇えると思ってもらわれては困る」


「それもそうだな。そなたの言い分、尤も」


 イリス王は悩んでいるらしく顎に手を当て考え込んだ。


「私が折衷案を出しましょうか」


 ミリィが口を開く。


「私がこの国の仙人様を連れてくるのです。そうすれば万が一の際には避難できるでしょう」


「ふむ。黄金の林檎の万人だったか。しかしその場合弟殿下のお守りは誰がするのだ?」


「自らなされるでしょう。それぐらいは出来て良い歳だ」


「ふーむ……説得できる感触はあるか?」


「やるだけはやりとうございます」


 ミリィの意志は硬そうだ。

 仕方あるまい。


「頼んだ、ミリィ」


「はい、旦那様」


 上機嫌にミリィは言った。


「何度もすまぬ。そなたらはイリスの恩人だ」


 そう言って国王は深々と頭を下げた。


「そう言えばそなたの国の草の者が来ておったぞ。逗留してもらっておる」


「アイリンか」


 忍びの少女。

 最近少し親しくなった。


「なら、陛下も一人になることはありませぬね。私は安心して旅立てます」


「護衛をつけぬそなたのほうが私は心配だがな」


 俺はぼやくように言う。


「大丈夫、いざとなれば空を飛んで逃げれますれば」


「無理だけはするな」


 話は決まった。

 仙人の説得だ。


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。