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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第六章・成人期ルポイ国編

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「これはあってはいけないものです」

 洞窟の上部に開けた穴から俺達は地上に降りる。

 ミリィの杖に乗ってゆっくりと。

 だんだん、宝箱らしきものが見えてきた。


「ここに入っているのか」


 床に降り立ち、開けようとする。

 開かない。

 神通力を使って力を入れる。

 開かない。


「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ……」


「へーいーかー」


 小声で囁くミリィ。


「私、さっきなんて言いましたっけ?」


 無視して続ける。


「ブレイクスペル」


 ミリィが淡々と告げると、箱は勢い良く開いて壊れてしまった。


「つまらぬ意地を張るからです」


 ドヤ顔で言うミリィ。

 むー、尻に敷かれるのは本位ではないのだが。


「すまぬ、助かった、ミリィ」


 苦笑するしかない。

 中には巻物が一巻。


 ミリィの表情を伺う。

 無表情だった。


 彼女は無言で手に取り、開く。

 そのまま表情を変えずに言った。


「やはり、これはあってはいけないものです」


 俺は表情を強張らせた。


「それほどのものか?」


「些細な魔力の持ち主なら問題ないでしょう。けど上級魔法使いレベルが使えば不死の軍隊を作れましょう。しかも、これは魔法ではなく歌です。伝承は簡単だ。鼠算式に不死者が増える。こんなものがあっては、世界が崩壊します。古代世界のような崩壊にまで行き着くでしょうね」


 俺は真っ青になった。


「それほどのものか」


「はい」


 静かな表情で頷くミリィ。


「寿命に関する記述はないか」


 しばし、ミリィは無言で先を読み続けた。


「ありませんね。厄介なことに不老の法のみです」


「そうか……」


 溜息を吐く。


「よろしいですか? 陛下」


 仕方あるまい。その話を聞けば危険過ぎる。


「やれ、ミリィ」


 ミリィは頷く。

 一瞬で、巻物は炎に包まれ灰になった。


「まあ、前進にはなった」


「次の国にも目処を立てているのですね、なんと準備が良い」


「あてもなしにルートを決めるほど私も無謀ではないよ。世界は広いのだ」


 遠く空に目をやる。


「一旦イリスに戻り東へ。海の街へ」


「海の、街……」


「ああ」


 俺は頷く。


「そこには、水も何も食べずに生きている人間がいるという。あの王都奪還で敵だった彼の証言だ」


「水も、何も、食べず……仙人様ですね」


「ああ。仙人が支配する地だ」



 つづく

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