「これ、偽物、ですね」
「出てこいよ」
俺は四方に広がる森林に向かって声をかける。
「出てこないと殺し合いにならないだろう?」
そう言って剣を降ろす。
背後から風切り音。
振り向くとくないが飛んできていた。
弾く。
危ないと思って振り返ると短刀を持った相手が肉薄していた。
弾く。
相手は後退して葉の中に跳躍した。
「忍びの者か」
ミリィが探知できぬわけだ。
アイリンも探知できなかった例がある。
殺気は四方からある。
この森の中がそのまま相手の胃の中。
相手の得意地形ということか。
くないが再び飛んでくる。
弾いて振り返る。
またくない。
弾く。
そして俺は、脇に剣を通した。
確かな手応えがあった。
「何故わかった……」
相手が苦しげに言う。
「お前の殺気は確かに四方八方から来るものだ。並の剣士なら当惑するだろう」
俺はそう言って振り返る。
まだ年若い少女だった。
「けど俺は並の剣士ではないのでな」
これでも英雄に師事しているのだ。
「そなた、私の部下にならぬか。相当の腕だ」
相手は悔しげに顔を歪める。
「御免!」
その次の瞬間、閃光。
危ないと思って後方に跳躍する。
相手は潔く爆散した。
「惜しい人材だった」
俺は溜息混じりに言った。
ともかく、決着は着いた感じだ。
+++
ミリィは木々の生い茂る場所に居た。
黄金の林檎だ。
あちこちに成っている。
若い男性が一人、いた。
スカーレットと似た衣装。
古代人類の衣装だ。
「良くぞ来た、選ばれし者よ。そなたなら不老不死の資格があるだろう。好きな林檎を一つ取っていくが良い」
ミリィは周囲を見渡して、言った。
「これ、偽物、ですね」
淡々と言う。
男はにぃと微笑んだ。
つづく




