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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第五章・成人期イリス国編

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「これ、偽物、ですね」

「出てこいよ」


 俺は四方に広がる森林に向かって声をかける。


「出てこないと殺し合いにならないだろう?」


 そう言って剣を降ろす。

 背後から風切り音。


 振り向くとくないが飛んできていた。

 弾く。


 危ないと思って振り返ると短刀を持った相手が肉薄していた。

 弾く。

 相手は後退して葉の中に跳躍した。


「忍びの者か」


 ミリィが探知できぬわけだ。

 アイリンも探知できなかった例がある。


 殺気は四方からある。

 この森の中がそのまま相手の胃の中。

 相手の得意地形ということか。


 くないが再び飛んでくる。

 弾いて振り返る。

 またくない。

 弾く。

 そして俺は、脇に剣を通した。


 確かな手応えがあった。


「何故わかった……」


 相手が苦しげに言う。


「お前の殺気は確かに四方八方から来るものだ。並の剣士なら当惑するだろう」


 俺はそう言って振り返る。

 まだ年若い少女だった。


「けど俺は並の剣士ではないのでな」


 これでも英雄に師事しているのだ。


「そなた、私の部下にならぬか。相当の腕だ」


 相手は悔しげに顔を歪める。


「御免!」


 その次の瞬間、閃光。

 危ないと思って後方に跳躍する。

 相手は潔く爆散した。


「惜しい人材だった」


 俺は溜息混じりに言った。

 ともかく、決着は着いた感じだ。



+++



 ミリィは木々の生い茂る場所に居た。

 黄金の林檎だ。

 あちこちに成っている。


 若い男性が一人、いた。

 スカーレットと似た衣装。

 古代人類の衣装だ。


「良くぞ来た、選ばれし者よ。そなたなら不老不死の資格があるだろう。好きな林檎を一つ取っていくが良い」


 ミリィは周囲を見渡して、言った。


「これ、偽物、ですね」


 淡々と言う。

 男はにぃと微笑んだ。



つづく

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