(どうやら相当の猛者のようだ)
空を飛ぶミリィの杖にまたがって移動する。
国内北部の森林地帯だ。
ミリィは降り立つと、無言で森の中を歩き始めた。
口数が少ないのは魔力探知に集中しているのだろう。
俺も、無言でその後をつづく。
そのうち、ミリィは立ち止まった。
「ここ」
そう言って何もない点を見つめる。
「空間のほころびが感じられます」
「俺にはとんとわからんな」
「陛下は剣士ですゆえ」
苦笑交じりに言うミリィ。
「今から空間を広げます」
「お前だけで行ってこい」
「陛下は?」
「デートだ」
「まあ!」
凄い勢いで振り返るミリィ。
「誰とですか何処でですか何処まで行くんですか」
「命を懸けた殺し合いだよ」
淡々とした口調で言う。
それで察したらしい。
ミリィもじっと探知を始める。
「確かに、いる……」
「俺が請け負うよ。お前は行ってこい。どうやら、俺にもどうにかなる手合いだ。お前の魔力を消耗する必要はないし、二人で裂け目から出てきたところを襲われてはかなわん」
ミリィは俺を抱きしめた。
「ご武運を」
「ああ」
ミリィが空間の裂け目の中に入っていく。
俺は剣を抜いて、振り向いた。
殺意は四方八方から感じられる。
しかし、どうやら、一人。
(どうやら相当の猛者のようだ)
俺はワクワクしていた。
元を正せば俺は武官なのだ。
つづく




