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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第五章・成人期イリス国編

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「細君の魔法なら階層を抜けることなど容易いでしょう」

 俺とイリン王子は人目を避けて小屋に入った。


「なんの用です? イリン王子」


 イリンは物憂げに言った。


「父上の妄言で貴方達を振り回して申し訳ないと思っているのです。貴方の細君の魔法なら階層をぬけることなど容易いでしょう。進まれるが良い。後は私が見つからなかったと報告します」


(……ほう)


 さて、この言動は本当に親身になって言っているのか。

 見つけられるとまずいと思っているのか。

 どちらだ?


「そうですな、検討します」


 ミリィは既に目星をつけている。

 そこを探せば林檎探しも終わる。


 帰る気など毛頭ない。

 ただ、留まると言えば万が一の可能性がある。


 だから、俺は濁した。

 イリン王子は不服げだった。


 人混みに戻る。

 ミリィが子供達に海の子の歌とやらを聴かせていた。


 俺はその隣に座る。


「陛下、なにか御用があったので?」


「ああ」


 俺はムスッとした顔で返す。


「無駄足になるかもしれんな」


 ミリィはキョトンとした表情になった。


「レイヴン様から心を読まれないようにする術を学んでから、すっかり陛下の心が読めません」


 苦笑交じりに言う。


「魔力増念派の逆応用だとはな。覚えてしまえば楽だった。今は楽しもう」


 そう言って、俺はすっと差し出された酒を高々と掲げ、炎の魔術でジョッキを燃やされた。

 そうだ、酒では失敗があったのだった。


「根に持っておるのだな」


 取っ手だけになったジョッキを申し訳なく思いながら町民に返す。


「当然でございますれば」


 ミリィは呆れたようにそう言った。



つづく

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