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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第五章・成人期イリス国編

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「私は武も極めねばならぬ」

 早朝、木剣を振る、振る、振る。

 ミリィが寝ぼけ眼でベッドで体を起こした。


「陛下、熱心ですねえ。今までは戦術を組み立てるのが陛下の仕事でしたのに」


「レイヴンにも随分鍛えられた。これからは二人旅だ。私は武も極めねばならぬ」


「十分強いと思うけどなあ」


「条理の外の存在と言うのはいるものだ。私はレイヴンに勝る強さを得なければならぬのだ」


 微笑んで俺を見守るミリィ。

 穏やかに時間は過ぎていった。


 昼頃、ミリィが魔力探査を開始した。

 国のあちこちで魔力探知をする。

 不味いものを飲み込んだような表情になる。


「結構な手練がいる……」


「武か? 魔か?」


「私の探知では魔法使いしか引っかかりませぬ。大きな魔力をいくつか感じたがすぐに引っ込めた。結構な手練だと感じました」


「争いは避けられれば良いのだが……黄金の林檎の方は?」


「怪しい魔力を感じました。明日、訪れましょう。今日は祭りだ」


 そう言って悪戯っぽく微笑む。

 俺達を歓迎する祭りが行われるのだという。


 イリスの国王も粋なことをしてくれるものだ。

 夜になると、巨大な火柱が王都に中央に起こり、料理が振る舞われた。

 巨大な肉塊にかじりつく俺。


「太った陛下は見たくないなあ」


 ぼやくように言うミリィ。


「これが筋肉になるのだ」


 尤もらしく言う俺。


「ハイラル国王陛下ですね」


 呼ばれて、振り返る。

 十代半ば程の少年が居た。

 貴族の服だ。


「そなたは?」


「第一王位継承者、イリンです」


 挨拶だろうか。

 それにしては深刻な表情だ。側近も護衛もつけていない。

 俺は肉塊を置いて、向き直った。


「話があるようだな」


 イリンは重々しく頷いた。



つづく

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