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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第四章・青年期ハイラル国編

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「お前は私の誇りだ」

 焼け野原になった玉座の下に、皆が集まる。

 リディとアイリンも遅れて辿り着いた。


 その頃には、ミリィが精神統一に入っている。


「凄い、ミリィちゃん。魔力にまったくない揺れがない」


 リディが目を見張る。

 リーシェが人差し指を立てて口元にやる。


 それで、精神集中の邪魔をしてはいけないと思ったのか、リディは口をつぐんだ。

 先程までの激しい戦闘が嘘のような静寂。


 そのうち、ミリィは目を開いた。


「いきます」


 俺は頷く。

 ミリィが呪文を唱え始める。

 空間が歪み、穴ができる。

 それが消えた時には、老王が現れていた。


「おお……ミリィ。やってくれたか」


 老王はわななきながら言う。

 ミリィは微笑んで言う。


「ええ。父上の選んでくれた伴侶と、頼りになる仲間達と歩み、学び、協力しあい。ついに父上に辿り着くことが出来ました」


「試練を通して強くなったのが良く分かる。技術、心、共に」


 老王はミリィを抱きしめた。


「お前は私の誇りだ」


「父上……」


 ミリィが感極まって抱きしめ返す。

 三年ぶりの親子の再会。

 俺は微笑んでそれを見守っていた。


 レイヴンが耳打ちする。


「ここからの建て直しが大変ですぜ、陛下」


「ん?」


「リーシェ殿の見立てによると、あのネクロマンサー。相当数を魔術的儀式に使ったらしい。城内は普段は操られて生きてるように見せかけたハリボテ。それもネクロマンサーがいなくなって絶えた。必須人材が軒並み壊滅状態です」


 頭を抱えて傍にいたハラドに耳打ちする。


「多分あの老人の生をつなぐためにやったのだろう。忙しくなるぞ、ハラド」


「……まあ、しがらみがないのならば宮廷復帰も考えますか」


 やれやれと言った感じで天を仰ぐハラド。

 今はただ、親子の再会を邪魔しないようにと、皆静かにしていた。


 親子は、ぽつりぽつりと話し始めた。

 三年だけではない。

 妻が引きこもっていた六年を含めれば九年。

 長い時間を埋めるための会話だった。


「城内をチェックします。陛下、忙しくなりますよ。先王陛下とミリィちゃんはゆったりしてて」


 そう言ってリーシェがテキパキと動き始める。

 ヒョウンが恐る恐ると言った感じでアイリンに話しかけている。

 レイヴンの背を褒めるようにリディが叩く。


 皆、日常に帰り始めていた。

 旅は終わった。

 一時的に、ではあるが。



つづく


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