「お前は私の誇りだ」
焼け野原になった玉座の下に、皆が集まる。
リディとアイリンも遅れて辿り着いた。
その頃には、ミリィが精神統一に入っている。
「凄い、ミリィちゃん。魔力にまったくない揺れがない」
リディが目を見張る。
リーシェが人差し指を立てて口元にやる。
それで、精神集中の邪魔をしてはいけないと思ったのか、リディは口をつぐんだ。
先程までの激しい戦闘が嘘のような静寂。
そのうち、ミリィは目を開いた。
「いきます」
俺は頷く。
ミリィが呪文を唱え始める。
空間が歪み、穴ができる。
それが消えた時には、老王が現れていた。
「おお……ミリィ。やってくれたか」
老王はわななきながら言う。
ミリィは微笑んで言う。
「ええ。父上の選んでくれた伴侶と、頼りになる仲間達と歩み、学び、協力しあい。ついに父上に辿り着くことが出来ました」
「試練を通して強くなったのが良く分かる。技術、心、共に」
老王はミリィを抱きしめた。
「お前は私の誇りだ」
「父上……」
ミリィが感極まって抱きしめ返す。
三年ぶりの親子の再会。
俺は微笑んでそれを見守っていた。
レイヴンが耳打ちする。
「ここからの建て直しが大変ですぜ、陛下」
「ん?」
「リーシェ殿の見立てによると、あのネクロマンサー。相当数を魔術的儀式に使ったらしい。城内は普段は操られて生きてるように見せかけたハリボテ。それもネクロマンサーがいなくなって絶えた。必須人材が軒並み壊滅状態です」
頭を抱えて傍にいたハラドに耳打ちする。
「多分あの老人の生をつなぐためにやったのだろう。忙しくなるぞ、ハラド」
「……まあ、しがらみがないのならば宮廷復帰も考えますか」
やれやれと言った感じで天を仰ぐハラド。
今はただ、親子の再会を邪魔しないようにと、皆静かにしていた。
親子は、ぽつりぽつりと話し始めた。
三年だけではない。
妻が引きこもっていた六年を含めれば九年。
長い時間を埋めるための会話だった。
「城内をチェックします。陛下、忙しくなりますよ。先王陛下とミリィちゃんはゆったりしてて」
そう言ってリーシェがテキパキと動き始める。
ヒョウンが恐る恐ると言った感じでアイリンに話しかけている。
レイヴンの背を褒めるようにリディが叩く。
皆、日常に帰り始めていた。
旅は終わった。
一時的に、ではあるが。
つづく




