「返してもらうぞ、お前が奪ったもの!」
レイヴンは高速で駆け始めた。
「露払いは任せる!」
そう言って跳躍する。
魔力の触手が次々に襲いかかってくる。
それを次々に断つ。
「ミルドの武器か……」
ネクロマンサーが舌打ちしてさらに高度を上げる。
逆側の壁を蹴ってこちらも高度を上げる。
「ええい、地を這う蟻が!」
ネクロマンサーが剣を抜き、退魔の剣を弾く。
退魔の剣は飛んでいき、からんからんと音を立てて飛んでいった。
レイヴンはその時から相手の視界から消えていた。
天井を蹴って地面に行ったのだ。
そして地面を蹴り跳躍する。
相手の腹部を殴り、そのまま天井にぶつけた。
相手が血反吐を吐いて地面に落下していく。
床に降りて、天を回転していた退魔の剣を掴む。
「ま、軽くこんなもんよ」
レイヴンはそう言ってリーシェに近づく。
「辛い思いをしたな」
リーシェは首を横に振る。
「今は、陛下の下に」
「待ってくれ!」
ヒョウンの声が響く。
そして、彼が抱えているアイリンの姿を見て一同言葉を失った。
肩から腰にかけて深い傷がある。
迷彩カラーの服は血で真っ赤だ。
「すぐに治療する。リーシェちゃんとレイヴンは行って!」
リディがそう言って駆け寄る。
「ヒョウン君も、行って! 後は私の仕事だ」
三人は頷いて、駆け始めた。
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炎の渦に飛び込む。
顔だけは隠し、灼熱に飲まれる。
「一歩届かなかったようだ……な?」
老人が目を丸くする。
焼かれる先から傷口が医療されていく。
一瞬は剣を持つ手すら焼けたが、飛び込んだ。
想像を絶する痛み。
しかし耐えた。
「一人で無茶しないで、陛下!」
ミリィが自分を奮い立たせてガイエルの範囲を広げる。
「すまん、妻よ!」
牙を剥き出しにする。
「返してもらうぞ、お前が奪ったもの!」
そう言って、俺は相手の喉笛を食いちぎった。
相手は崩れ落ち、血の噴水が起きた。
肉片を吐き、念入りに血を吐き出す。
仲間達がやってくる。
「終わったよ、皆」
俺は呟くように言っていた。
長い長い旅、その一区切りが終わろうとしていた。
つづく




