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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第四章・青年期ハイラル国編

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「返してもらうぞ、お前が奪ったもの!」

 レイヴンは高速で駆け始めた。


「露払いは任せる!」


 そう言って跳躍する。

 魔力の触手が次々に襲いかかってくる。


 それを次々に断つ。


「ミルドの武器か……」


 ネクロマンサーが舌打ちしてさらに高度を上げる。

 逆側の壁を蹴ってこちらも高度を上げる。


「ええい、地を這う蟻が!」


 ネクロマンサーが剣を抜き、退魔の剣を弾く。

 退魔の剣は飛んでいき、からんからんと音を立てて飛んでいった。


 レイヴンはその時から相手の視界から消えていた。

 天井を蹴って地面に行ったのだ。

 そして地面を蹴り跳躍する。


 相手の腹部を殴り、そのまま天井にぶつけた。

 相手が血反吐を吐いて地面に落下していく。


 床に降りて、天を回転していた退魔の剣を掴む。


「ま、軽くこんなもんよ」


 レイヴンはそう言ってリーシェに近づく。


「辛い思いをしたな」


 リーシェは首を横に振る。


「今は、陛下の下に」


「待ってくれ!」


 ヒョウンの声が響く。

 そして、彼が抱えているアイリンの姿を見て一同言葉を失った。

 肩から腰にかけて深い傷がある。

 迷彩カラーの服は血で真っ赤だ。


「すぐに治療する。リーシェちゃんとレイヴンは行って!」


 リディがそう言って駆け寄る。


「ヒョウン君も、行って! 後は私の仕事だ」


 三人は頷いて、駆け始めた。



+++


 炎の渦に飛び込む。

 顔だけは隠し、灼熱に飲まれる。


「一歩届かなかったようだ……な?」


 老人が目を丸くする。

 焼かれる先から傷口が医療されていく。

 一瞬は剣を持つ手すら焼けたが、飛び込んだ。


 想像を絶する痛み。

 しかし耐えた。


「一人で無茶しないで、陛下!」


 ミリィが自分を奮い立たせてガイエルの範囲を広げる。


「すまん、妻よ!」


 牙を剥き出しにする。


「返してもらうぞ、お前が奪ったもの!」


 そう言って、俺は相手の喉笛を食いちぎった。

 相手は崩れ落ち、血の噴水が起きた。

 肉片を吐き、念入りに血を吐き出す。


 仲間達がやってくる。


「終わったよ、皆」


 俺は呟くように言っていた。

 長い長い旅、その一区切りが終わろうとしていた。


つづく

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